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「オーバーフィルド(入れ過ぎ)症候群」韓国でも問題、バランス崩し不自然な見た目に、ヒアルロン酸でもボツリヌス療法でも、第33回日本形成外科学会基礎学術集会TAATで講演

カレンダー2024.11.4 フォルダー 国内

 ヒアルロン酸やボツリヌス製剤のフィラー注入をやり過ぎてしまう「オーバーフィルド(入れ過ぎ)症候群」が、世界的に問題になっているが、韓国でも問題になっている。

 第33回日本形成外科学会基礎学術集会と同時開催された「The 1st Aesthetic and Antiaging Tokyo (TAAT)」で、韓国ソウル、Image Plastic Surgery Clinicの院長、リー・ホンキ(Hong-Ki Lee)氏が発表した。

ボツリヌス療法の入れ過ぎも問題

第33回日本形成外科学会基礎学術総会の会場。(写真/編集部)

第33回日本形成外科学会基礎学術総会の会場。(写真/編集部)

 美容医療で広く行われているヒアルロン酸やボツリヌス製剤のフィラー注入では、入れすぎて顔の輪郭が失われたり、バランスが崩れたりして、不自然な見た目になることがある。これはオーバーフィルド症候群と呼ばれている。

 リー氏はオーバーフィルド症候群について、フェイシャルオーバーフィルド症候群と呼び、「FOS(facial overfilled syndrome)」と呼んでいた。フィラーの過剰使用、施術者の技術不足のほか、メディアや有名人の影響、施術計画の不備が原因になる。

 オーバーフィルド症候群の特徴として4つ挙げた。

症状 説明
不自然な顔立ち 顔全体が膨らみ、不自然な形状になる。
ドンキーリップ 唇に過剰なフィラーが注入され、重く見える。
顔の非対称性 一部の顔面部位に過剰なフィラーが注入されることで、顔の左右が不均等になる。
顔の輪郭の歪み 顔の骨格や筋肉のバランスが崩れ、自然な輪郭が失われる。

 オーバーフィルド症候群は、ヒアルロン酸だけではなく、ボツリヌス製剤でも起こり得る。最近でも、ボツリヌス製剤で顔が麻痺したという経験談が話題になることがあるが、オーバーフィルド症候群といっていいだろう。リー氏によると、治療は次の通りだ。

治療法 説明
フィラーの溶解 ヒアルロン酸フィラーの場合は、ヒアルロン酸分解酵素(ヒアルロニダーゼ)を使用してフィラーを溶解する。ボツリヌス製剤の場合は、効果を元に戻す特定の治療法は存在せず、時間とともに自然に代謝されるのを待つ。
ステップワイズアプローチ 段階的なフィラー削減を行うこと。一度に大量のフィラーを溶解するのではなく、段階的に少量ずつ溶解していくことで、顔の自然なバランスを取り戻す。
リフト手術の検討 外科的手法としてフェイスリフトなどの手法を組み合わせ、顔全体のバランスを整える。
追加の美容施術 ボツリヌス製剤の再調整をすること。ボツリヌス製剤の効果を調整し、筋肉のバランスを取り戻す。レーザー治療やラジオ波治療を行い、皮膚の引き締めや再生を促進するための補完的な施術を行う。

施術者を慎重に選び計画を立てること

国際セッションである「The 1st Aesthetic and Antiaging Tokyo(TAAT)」も開催。(写真/編集部)

国際セッションである「The 1st Aesthetic and Antiaging Tokyo(TAAT)」も開催。(写真/編集部)

 リー氏は、オーバーフィルド症候群を予防するためには、施術者を慎重に選び、フィラーを適切に選ぶこと、施術の計画をしっかり行うことなどが重要だと指摘した。

 リー氏は「フェイシャル・オーバーフィルド症候群は、美容医療における重要な問題で、フィラーの適切な使用と施術者の技術が求められる。過剰なフィラー注入は顔の自然なバランスを崩し、不自然な見た目を引き起こすので、適切な治療法と予防策の導入が欠かせない。教育と技術の向上、施術者の責任感が予防と治療において重要な役割を果たす」と述べる。

 フィラー注入ではトラブルも報告されている。適切な施術はどうすればよいか、改善の余地はまだあるようだ。

参考文献

オーバーフィルド症候群(入れすぎ症候群)の最新治療、超音波を活用したヒアルロニダーゼ注射とは?欧州の研究グループが報告
https://biyouhifuko.com/news/research/6079/

ヒアルロニダーゼの使い方、ヒアルロン酸フィラー注入失敗時の対策、注意すべき血管塞栓などの合併症、韓国の医師が解説
https://biyouhifuko.com/news/research/8130/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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