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目元の美容外科手術はアジア人の美しさで、目元は6タイプと指摘、目頭切開や目尻切開などでは合併症の理解も重要、第33回日本形成外科学会の関連講演会TAAT

カレンダー2024.11.7 フォルダー 国内

 目元の美しさを追求する美容医療において、アジア人ならではの美的価値を尊重する考え方が広がりを見せている。

 第33回日本形成外科学会基礎学術集会の関連講演会「TAAT」で2024年10月、シンガポールのワッフルズ・ウー氏(ワッフルズ・ウー エステティック サージェリー&レーザー センター院長)がアジア人に適した目元形成について講演し、技術の進化やリスク管理の重要性について言及した。

アジア人の目元ならではの美しさ

第33回日本形成外科学会基礎学術総会の会場。(写真/編集部)

第33回日本形成外科学会基礎学術総会の会場。(写真/編集部)

  • 目元形成の種類→「目頭切開」「目尻切開」「下眼瞼下制術」があり、目の内側や外側、下まぶたの調整を行う。
  • 歴史的背景→1940年代から1970年代にかけて、「欧米風」を求める施術として広まり、不自然な仕上がりに悩むケースもあった。
  • 最近の変化→アジア人特有の美しさや自然な目元を尊重する技術が進歩し、個々の美的ニーズを重視した施術が行われるようになった。

 目元形成は、目頭の蒙古ひだを切開して目の内側を広げる「目頭切開」や、目尻を広げる「目尻切開」、下まぶたの調整を行う「下眼瞼下制術」がある。英語では、目の角度(カント)を調整するという意味から「カントプラスティ」や「エピカントプラスティ」と呼ばれる。

 ウー医師によると、こうした目元形成手術は、かつて「欧米風」の目元を目指す施術として広まり、人工的な二重まぶたや高い鼻を作る手術が一部で行われてきた。1940年代から1970年代にかけて、欧米の美容外科医からはアジア人が「欧米風」を求めていると誤解されていた。その結果、アジア人の美的感覚にそぐわない手術が行われ、不自然な仕上がりに悩むケースも少なくなかった。

 しかし、最近では、こうした誤解や偏見が見直され、アジア人特有の美しさや自然な目元を尊重する技術が進歩している。現在の目元形成術は、アジア人の特徴や個々の美的ニーズを重視し、単に目を大きくするだけでなく、目の形を自然に保ちながら、その人らしい顔立ちに合った施術を行うようになった。

技術の進化と多様な美的ニーズへの対応

国際セッションである「The 1st Aesthetic and Antiaging Tokyo(TAAT)」も開催。(写真/編集部)

国際セッションである「The 1st Aesthetic and Antiaging Tokyo(TAAT)」も開催。(写真/編集部)

  • 最新の手術技術→アジア人特有の目の構造に合わせた施術が可能となり、「Z形成術」によって傷跡が目立たない自然な仕上がりが実現された。
  • 目の形状の分類→アジア人の目は6つに分類され、蒙古ひだの状態に応じてタイプ1(目頭が開いている)からタイプ6(目頭が覆われている)までがある。
  • 施術の個別対応→分類に基づき、目元の特徴や美的ニーズに合わせた個別の施術が行われる。

 ウー氏は、最近の手術では、アジア人特有の目の構造に合わせた手術が可能になっていると説明した。従来は皮膚を大きく切開する方法が主流であり、傷跡が目立つという課題があった。それに対して、日本の外科医が開発した、皮膚をZの字に切開する「Z形成術」により、蒙古ひだを自然に切開して目立たない傷跡で仕上げる手法が導入された。これにより自然な仕上がりが実現できるようになった。

 ウー氏によると、アジア人の目の形状は6つに分類され、目の形状や美的ニーズに応じた個別の施術が行われるようになっている。タイプ1からタイプ6は、主に蒙古ひだの状態によって分かれている。タイプ1は、蒙古ひだが目立たず、目頭が開いている。それに対して、タイプ6は、蒙古ひだが目立ち、目頭が覆われている。

 これらの分類に基づいて、その人の美的なニーズや目元の特徴に合わせて施術を行うことが重要となる。

 一方で過剰な手術によるトラブルのリスクも指摘されている。中国では、目頭形成が原因で目を閉じにくくなるケースもあり、修正手術が必要になる場合もある。術後の合併症リスクに対するケアや説明の重要性も指摘された。

 安全性に配慮しつつ、その人の魅力をどのように引き出すかが、目元形成において求められている。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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