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目元の若返りのためのPRP治療、有効性、満足度、副作用はどうなっている?

カレンダー2023.4.1 フォルダー最新研究

ポイント

  • 自分の血液を使う治療であるPRP(多血小板血漿)の目元の若返り効果を検証
  • PRPによる目元の若返り効果の満足度は高く、シミの改善も確認された
  • 長期の効果には不明点もあるほか、副作用が起こる可能性も認識しておく必要もある

目元のシワにどんな効果がある?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 目元のシワを目立たなくするために行われるのが、自己多血小板血漿(PRP)を皮下に注入する方法だ。PRPには成長因子が含まれ、皮膚を持ち上げてシワを減らす。研究者たちは現在、この処置がどれほど効果的であるかを研究している。

若返りにおけるPRPの有効性。シワ、色素沈着、光老化への効果は?

自分の血液から赤血球と白血球を分離し、血小板を多く含む血漿を取り出す。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 血小板は血液の成分で、出血を止める働きがあり、この血小板には成長因子が含まれ、組織を作り上げる働きがある。この組織を作る効果を利用するために、遠心分離機という機械を使って血液から血小板を多くふくんだ血漿を分離して作られるのがPRPだ。

 PRPは医療において様々な用途に使用されている。例えば、ケガの治療や、膝の軟骨組織の再生に使用する。美容医療では、成長因子を用いてコラーゲンを増やし、シワやシミを改善する。このようにPRPは若返り目的で使用されている。

 米国のメハリー医科大学の研究グループは、複数の研究を収集・検討してPRPの有効性を調査した。この研究は、アーカイブズ・オブ・ダーマトロジカル・リサーチ誌という皮膚科の医学雑誌に掲載された。

 論文で行なわれた調査内容は次の通り。

  • 研究内容は、28歳から60歳の女性を中心とした19の研究、合計455人の被験者を対象としたもの。
  • 研究の焦点は3つに分かれていた。シワに関する研究が11件、目の周りの色素沈着に関する研究が7件、光老化に関する研究が6件である。

PRPの副作用にも注意を要する、視力低下の報告も

副作用の可能性にも注意を。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 このような分析から分かったのは、PRPが目元の組織を活性化させる効果があること、そして、治療を受けた人たちがその効果に満足しているようだということである。

 この研究では、23日間で平均3回の施術を行い、患者さんを平均3カ月間フォローアップした。その結果、生理食塩水や血小板の少ない血漿、水光注射などの他の注入方法と比べて、PRPの方が、満足度が高いことが分かった。また、顕微鏡で観察したところ、加齢によるシミの改善効果も確認された。

 過去に行なわれた研究では、PRPの効果は比較的短期間であることが実証されている。研究者たちは、長期的な効果についてはもっと研究が必要であると指摘している。PRPの治療対象である色素沈着を引き起こす複数の要因を調査する必要性、または偏った結果やスポンサー付きの研究を避ける必要性も強調している。

 研究の要点は以上の通りだ。

 2022年4月に米国メリーランド州の医療機関より、PRP施術後に視力が低下した事例も報告されている。副作用のリスクがあるため、その可能性を認識した上で、施術後に何らかの問題が発生した場合は速やかに医療機関を受診することが重要だ。

参考文献

Evans AG, Ivanic MG, Botros MA, Pope RW, Halle BR, Glassman GE, Genova R, Al Kassis S. Rejuvenating the periorbital area using platelet-rich plasma: a systematic review and meta-analysis. Arch Dermatol Res. 2021 Nov;313(9):711-727. doi: 10.1007/s00403-020-02173-z. Epub 2021 Jan 12. PMID: 33433716.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33433716/

Wu SZ, He X, Weiss RA. Vision Loss After Platelet-Rich Plasma Injection: A Systematic Review. Dermatol Surg. 2022 Jun 1;48(6):697-698. doi: 10.1097/DSS.0000000000003451. Epub 2022 Apr 12. PMID: 35412481.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35412481/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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