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医療脱毛クリニック突然閉院、SNSで嘆きの声、相談窓口の設置も

カレンダー2023.4.27 フォルダー 国内

ポイント

  • 医療脱毛のウルフクリニックが突然の閉院で利用者が路頭に迷っている
  • かねてエステ脱毛事業者の苦境は伝えられており、倒産が増加していた
  • 法律事務所が返金を求める方のための緊急相談窓口を設置した

 「ただいま営業時間外となります」

 医療脱毛を手掛けるクリニック「ウルフクリニック」が突然閉院され受診者が路頭に迷う事態に陥っていることが分かった。4月25日にテレビ朝日(ANN)が報道し明るみに出たものだ。4月26日の営業時間内に電話をかけてみたところ、冒頭のような自動音声が流れてきた。

 同医院のホームページによると、「年末年始のみ休院」と示されているが、平日であるにもかかわらず電話が通じない。確かに医院の営業に何らかの異変が起きているようだ。同医院の突然の閉院を受けて弁護士事務所が緊急相談窓口を設置した。

コース料金の半額で人を集める

コース半額を打ち出した。出典/ウルフクリニックホームページ

コース半額を打ち出した。出典/ウルフクリニックホームページ

 同医院ホームページによると、「男性専門」が特徴だ。脱毛を手掛ける医院およびエステは数多く競争が激化し、他との差別化を図るため、「男性専門」「メンズ脱毛」など特定分野に特化する医院や店舗も多い。ウルフクリニックも専門性をうたった医院の一つに位置づけられた。

 「月額で安く見せてるだけのクリニックに要注意」

 ウルフクリニックのホームページのトップにはこのような文言が掲げられており、大袈裟なイラストと共に目に飛び込んでくる。

 「ウルフクリニックの医療脱毛は、コスパ最強、今なら全コース半額」

 ページのさらに下部にはこう大きく示される。月額ではなくコース自体が安価が特徴である。具体的に見ると、脱毛料金は、全身を対象にしたコースは、一括支払いの場合、通常27万3000円のところ半額の13万6500円にするという。部位別ではその部位により3万円~6万円と幅がある。他クリニックと比べると半額程度の値段設定というところか。男性の濃い体毛の対応を考えると安価であると、利用を考えた男性は思ったことだろう。

 コース料金以外には、初診料、アフターケア、キャンセル料、剃毛料、照射漏れへの対応が無料というのも特徴に掲げている。ホームページには次のような画像も掲げられていた。「安すぎて怪しいって?」とある。トラブルとは無縁で怪しくないと伝える意図だっただろうが、皮肉にも同医院は突然の閉院のトラブルを起こしてしまった。

安すぎて怪しい?と不安に応えようとしていたが閉院の事態に陥った。出典/ウルフクリニックホームページ

安すぎて怪しい?と不安に応えようとしていたが閉院の事態に陥った。出典/ウルフクリニックホームページ

 このほかホームページのQ&Aでは「剛毛ほど高い脱毛効果が期待できます」と示し、男性ならではのニーズに応えようとするアピールも目に付く。全国5医院を展開していた。

 低価格に魅力を感じて来院した利用男性も多かったと見られるが、冒頭で紹介したように共通フリーダイヤルに電話をしたが応答はなかった。ウルフクリニックとTwitterで検索してみると閉院に直面した人が多いようで「やられた」など嘆きの声が多数見られる。

突然の店舗閉鎖などの被害を防ぐには?

エステ脱毛の倒産が急増した。出典/帝国データバンク

エステ脱毛の倒産が急増した。出典/帝国データバンク

 今回の件は脱毛クリニックの閉院トラブルだが、最近、エステ脱毛の店舗倒産の問題が注目されたばかりだ。

 これはヒフコNEWSでも既に伝えているが、エステ脱毛は倒産が2000年以降で最高になっていた。その背景にあるのは、利用者と店舗数の増加である。それによって、対応する人材の不足、競争激化のための宣伝広告費の増大が起きていた。結果、予約が取りづらい状況も生まれ顧客離れを起こした。収入が伸びない中でコストばかり上昇して店舗は利益が圧迫され、最終的には倒産に追い込まれるという状況になっていたのである。

 今回のウルフクリニックの突然閉院の背景に何があるのかはいまだに不明だが、医療機関でも脱毛を手掛ける医院が増えており、人材不足や宣伝広告費の増加という状況は変わらない可能性もある。

 医療脱毛も、予約が容易に取れなくなっている事態があれば顧客離れを招き、倒産に至る可能性はある。

弁護士事務所が救済に乗り出す

 今回のウルフクリニックの突然閉院を受けて、アディーレ法律事務所が緊急相談窓口を設置し、4月25日から相談を受け付けている。

 「医療」脱毛なのに許せない!

 このようにメッセージを掲げて被害救済を訴えている。「連絡も取れず、施術が受けられないばかりか、返金にも応じてもらえない状況が続いているようです」と状況も伝えている。同事務所は代表が、弁護士兼美容医師の石丸幸人氏ということで、ダブルライセンスであるからこそ役立てると説明している。今後、返金を求める人を対象として、返金に向けた支援などをするという。

 エステ脱毛の苦境は既に伝えられているが、医療脱毛についても施術を検討する際には、情報収集に気を付けるとよい可能性がある。

参考文献

ウルフクリニック
https://wolfclinic.net/company/

【独自】全身脱毛30万円…突然閉院「お金返して」800人被害か 電話もLINEもつながらず【もっと知りたい!】(2023年4月25日)
https://www.youtube.com/watch?v=CEmx371k9-c

脱毛サロン倒産急増、予約トラブルなど影響、帝国データバンク
https://biyouhifuko.com/news/japan/860/

コロナの衝撃から立ち直った美容医療、急がれる課題への取り組み
https://biyouhifuko.com/news/japan/1283/

エステ市場3年連続縮小、男性市場拡大するも脱毛倒産響く、矢野経済研究所調べ
https://biyouhifuko.com/news/japan/1195/

男性専門医療脱毛ウルフクリニック閉鎖で、救済の動きが広がる
https://biyouhifuko.com/news/japan/1330/

「ウルフクリニック」で被害にあわれている方へ! 弁護士と美容クリニックが全力で救済します!https://www.official.adire.jp/campaign/datsumou/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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