肌の若返りが進化、最先端のレーザーと高周波による治療とは、第111回日本美容外科学会(JSAS)
ポイント
- 第111回日本美容外科学会(JSAS)が始まり、一つのシンポジウムでレーザーと高周波が議論された
- レーザーと薬物投与の組み合わせ、レーザーと高周波の使い分けなどが注目された
- 国の承認が進むにつれてレーザーや高周波の普及にさらに弾みがつく可能性がある
5月11日に、第111回日本美容外科学会(JSAS)が大阪府立国際会議場で始まった。その中のシンポジウム「高周波治療の未来」では、レーザー治療や高周波治療の進歩によって進化する肌の若返りについて専門の医師が議論した。
レーザーと高周波の使い分けに注目
最初に登壇した、クリニックF(東京都千代田区)の藤本幸弘氏は、医学博士に加えて、工学博士や薬学博士の資格も持ち、美容医療でのレーザーや薬剤の使い方についての最新の動向に常に目を配っている。そんな藤本氏が注目するのが、「フラクショナルレーザー」と呼ばれるドット状にレーザーを当てる技術を、薬の投与に活用する方法である。
2004年~05年にかけて開発されたフラクショナルレーザーは、皮膚全体に光を当てるのではなく、皮膚にドット状のパターンで光を当てて熱を加える技術。これは肌の若返りなどに使われているが、薬剤などの投与に組み合わせることも可能だという。藤本氏によると、熱によって削られた皮膚は乾燥しているのが利点になる。美容医療でも、さまざまな薬剤が注射を使って注入されるが、薬剤が体液などのために押し戻されて浸透しづらいことがネックだった。それが、フラクショナルレーザーによって乾燥していることで浸透しやすくなる。今後、フラクショナルレーザーが薬剤投与に応用される場面が増えるかもしれない。
続いて登壇したのは、KO CLINIC &Lab(横浜市中区)の黄聖琥氏は、皮膚の若返りのためのレーザー治療の進化と、肝斑=シミの治療について紹介した。
アジア人の肌の赤みや色素沈着は大きな問題になる。それに対する解決策として2000年代以降にレーザーによる治療が進化したが、必要以上に肌の色素が脱落する「色素脱失」が起こることがある。
それに対して色素脱失を避けながら行える方法として注目されるのが「パルス発信式ニードルRF」だという。これによって色素を作り出すメラノサイトの活動性を抑え、同時に合併症も少なくできると期待する。黄氏は「シルファーム(SYLFIRM)」や「ポテンツァ(POTENZA)」といった機器を使い分けながら赤みや色素沈着の治療を進めていることを実例と共に説明した。
次に登壇したヒルズグレイスクリニック(横浜市青葉区)院長の奥謙太郎氏が紹介したのはレーザーと高周波の使い分け。
レーザーの特徴は肌への影響力が強く、肌を広くカバーできる利点があるのに対して、高周波の特徴は組織の再生を促しやすいほか、肌の奥への浸透性が高い利点があるという。
奥氏はシミなどの治療においてはレーザーと高周波の特徴を踏まえて、シミの状態に合わせて使い分けるとよいという。実際の症例を提示しながら紹介した。
普及を後押しする国による機器の承認
八重洲形成外科・美容皮膚科院長(東京都中央区)の原かや氏は、非外科的治療としての高周波やレーザーの活用の拡大について紹介した。
国内の統計では美容医療施術の9割近くが非外科的な治療になっている。そうした中で高周波治療の関心も高まっている。
「日本では未承認の医療機器を中古販売することはできないが、承認された医療機器は中古での取引が可能」と説明。そのため、今後は医師が個人輸入するだけではなく、中古の医療機器を使いやすくなるという。非外科的な治療の普及には医療機器の国からの承認が増えている状況も関係してきそうだ。座長を務めた東海大学形成外科教授の河野太郎氏も、「レーザーなどが2015年以降に承認される動きが続いている。レーザーや高周波の進化はさらに進みそうだ」と言う。
ヒフコNEWSでもたびたび伝えているが、非外科的治療の広がりは世界的なトレンドになっている。国内でも実例や研究が増えてくるにつれて、より活用が広がってきそうだ。
参考文献
美容整形手術の最新動向、脂肪吸引が豊胸術を抜き、世界で最も人気のある美容整形手術に
https://biyouhifuko.com/news/world/925/
コロナ禍の中で美容医療を受ける人が急増、リモートワークの影響などか?
https://biyouhifuko.com/news/world/1049/
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