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脂肪吸引のリスク、施術後、気道閉塞で窒息死するケースも

カレンダー2023.8.17 フォルダー 国内

ポイント

  • 脂肪吸引施術に関連した死亡例が2023年5月に報告された
  • 顔の脂肪吸引の施術を受けた翌日に体調を崩し、気道閉塞のため自宅で死亡
  • 脂肪吸引に限らず、美容医療を受けるときには効果だけではなくリスクも確認を

 脂肪吸引のトラブルが問題視されている。死亡ケースも発生しており、消費者庁が2023年5月に「重大事故等」として公開した。

4月、自宅で窒息死の報告

脂肪吸引後に窒息死した事例が重大事故の一つに挙げられている。(出典/消費者庁)

脂肪吸引後に窒息死した事例が重大事故の一つに挙げられている。(出典/消費者庁)

 23年1月に発表された国際美容外科学会(ISAPS)の最新統計によると、脂肪吸引は世界で最も人気のある美容整形手術になっている。日本の統計は不完全だが、海外と比べると、脂肪吸引の実施は少ないと見られる。矢野経済研究所の調査によると、脂肪吸引の調査項目がなかったが、痩身としては他の施術と比べて少ない状況が報告されていた。

 そうした中で、23年5月に消費者庁は顔の脂肪吸引に伴う死亡事例を報告した。その報告によると、発生したのは23年4月29日である。消費者庁が公開した資料では次の通り説明している。

 「美容外科において、顔の脂肪吸引の施術の翌日、利用者が体調不良により病院を受診したが、その後、自宅において、気道閉塞を原因とする窒息による死亡が確認された」

 警察庁から消費者庁に5月2日に通知されたものだ。このケースがどこのクリニックで発生したものかは不明だが、消費者庁では「重大事故等」として情報を公開している。

過信は禁物

 ヒフコNEWSの看護師による座談会でも、脂肪吸引は医療事故のリスクが高いのではないかという声が出ていた。死亡事例についても言及されていたほか、致命的でなくとも、腕を切断する事例が指摘されている。

 これとは別にヒフコNEWSで、脂肪吸引の際に足の脂肪を過度に取り、筋肉なども傷つけ歩行困難になったという日本美容外科学会(JSAS)での発表を伝えている。このケースでは脂肪を移植するなどして修正し、最終的に回復に至ったが、重大な合併症と言えるだろう。講演によると、施術を担当した医師は脂肪の吸引量を誇るような言動をしていたと言い、自信過剰な医師に注意すべきだと指摘されていた。

 脂肪吸引では一度の施術で吸い過ぎて合併症が起こる事例がある。見た目の変化が少なくとも、徐々に脂肪を減らすように、回数を分けて吸引するような施術が好ましいという意見もある。

 ヒフコNEWSでは、カウンセリングで聞くべき事柄について記事にしているが、脂肪吸引に限らず、美容医療を受けるときには効果だけではなく、安全性やリスクも含めて情報収集していくべきだろう。

参考文献

消費者安全法の重大事故等に係る公表について(2023/5/11)
https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_safety_cms201_230511_01.pdf

美容整形手術の最新動向、脂肪吸引が豊胸術を抜き、世界で最も人気のある美容整形手術に
https://biyouhifuko.com/news/world/925/

美容医療の施術後の修正、実践と進化、第111回日本美容外科学会(JSAS)
https://biyouhifuko.com/news/japan/1432/

看護師覆面座談会vol.3 「美容クリニックで医療事故が最も起きやすい施術は?ダメ医師に当たらないために」
https://biyouhifuko.com/news/column/2641/

カウンセリングで安心、美容外科手術前に医師に聞くべき、米国形成外科学会が勧める重要質問
https://biyouhifuko.com/news/world/2351/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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