SNS広告経由の美顔器購入でトラブル、説明の分かりづらさには問題のリスク、国民生活センターがトラブル解決事例を公開
ポイント
- 国民生活センターが美顔器の通販トラブルの解決事例を公開
- SNS広告経由の購入で分割手数料関連トラブルが発生
- 説明の分かりづらさには問題のリスクがあるので注意が必要
2023年12月20日、国民生活センターは、SNS広告をきっかけとした美顔器の通信販売トラブルの解決事例を公開した。
美容医療分野でも一般的なSNS広告に関しては、このようなトラブルを教訓として、その内容の慎重な確認の大切さをあらためて認識すると良さそうだ。
分割手数料の負担でトラブルに
国民生活センターでは、紛争解決委員会を介して消費者のトラブルに対処し、そのほとんどは非公開だが、重要なケースは法律に基づき公開している。同様の問題の解決につながると考えられるからだ。
今回、同センターはADR(裁判外紛争解決手続)の結果より、重要な解決事例の21件を公開。その一つとして「美顔器の通信販売に関する紛争」があった。
※ADRとは、従来の訴訟手続とは異なる観点から紛争に対処するための手法。関係者全員が納得できる柔軟な紛争解決を目指す。今回の場合は、国民生活センターが、あるエステでの返金トラブルについて当事者間の話し合いによる解決に取り組んだもの。
このトラブルは、美顔器を一括払いで買おうとした人が、意に反して分割手数料を支払い、想定以上の分割払で購入することになったというもの。
報告によると、次のようなトラブルだった。
- この人は22年12月下旬にSNS上のオンライン広告を見て通販サイトで美顔器を購入。
- このときにチャットボットの質問に答え、約7万5000円の美顔器を2万円のクーポンで割引を受けて月約2500円で購入するつもりだった。
- しかし、消費税6000円や分割手数料1万円が加わり、月々の支払いが約2500円以上になることが分かった。
- 認識が異なっていたことから購入をいったんキャンセルして一括払いに変更したいと申し出た。
- 販売した企業はキャンセルを認めず、カード会社も販売企業次第と回答しトラブルになった。
- 購入者は不信感から契約をなかったことにしたいと求めた。
国民生活センターが紛争の調停に関与した。
SNS広告では説明の分かりづらさに注意
国民生活センターが関与し、次のような解決に至った。
- 販売した企業とカード会社はキャンセルはできないが和解には応じる方針を示して、分割手数料分の負担を提案。
- 購入者は、チャットボットでの分割手数料の表示の分かりづらさを指摘。
- 国民生活センターの仲介委員は、クーリングオフの表示の分かりづらさを指摘。
- 販売企業は、分割手数料はカード会社によって異なり、クーリングオフについても別ページで理解できると説明。議論は平行線をたどったが、最終的には、販売企業がクレジットカードの分割手数料を負担する和解案で解決。
SNS広告をきっかけとした商品やサービスの購入では、説明の分かりづらさが問題のリスクをはらむ。一度購入するとキャンセルが難しい場合も珍しくないため、説明を慎重に確認し、購入時の十分な検討が欠かせない。これは美容医療でも気を付けると良いだろう。
参考文献
国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(令和5年度第3回)
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20231220_2.html
シミ取り施術での問題発生、国民生活センターが返金トラブルを詳細解説
https://biyouhifuko.com/news/japan/3684/
当日の高額コース契約&施術、キャンセル時の返金トラブル、国民生活センターが経緯を明らかに
https://biyouhifuko.com/news/japan/3627/
エステ返金トラブル解決の実態とは?国民生活センターが公開した和解プロセス
https://biyouhifuko.com/news/japan/2296/
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