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家庭用EMS美顔器に失神リスク、首付近への使用は避けるよう推奨、消費者庁が注意喚起

カレンダー2024.4.15 フォルダー 国内

 家庭での美容機器の利用が一般化する中、特にEMS(Electrical Muscle Stimulation)美顔器を首近くに使用したときに、失神のリスクがあるとして、2024年4月11日に消費者庁が注意喚起をしている。

首の両側をはさむタイプでめまい

EMS美顔器で失神することがある。(写真/消費者庁)

EMS美顔器で失神することがある。(写真/消費者庁)

 消費者庁の関連組織である消費者安全調査委員会は、首の両側をはさむヘッドホンタイプのEMS美顔器の使用によって突然のめまいが発生した事例について報告している。同委員会が情報を得て調査を進めたところ、同様の事故が再発する可能性があることが確認されたという。

 報告によると、首付近に美顔器を使用すると、頸動脈が刺激されて失神に至るリスクがある。特に首に強い圧力がかかった場合に「反射性失神」が発生しやすくなるので注意を要する。失神自体は短時間で回復することが多いものの、失神したことで転倒した場合に頭をケガするなどの二次的な被害に遭う可能性が考えられている。

 消費者庁では、めまいなどの失神の前兆があるときには使用を中止し、なるべく早く横になって休むように求めている。失神の前兆として次のような症状を挙げている。

  • 頭が締め付けられるような感覚
  • 物がダブって見える状態
  • 吐き気や嘔吐を催すとき
  • 意識が遠のく感覚など

 前兆があったときにすぐにできることとしては、座っている場合は足を交差させて組ませたり、立っている場合は座ったり、横になったりするなどで、次のような対応を挙げている。

  • その場でしゃがみこむ
  • 横になる
  • 立っている場合は足を動かす
  • 座っている場合は足を交差させて組ませる
  • 両腕を組んで引っ張り合う

 いずれにしても早く休むのが重要だと説明している。また、高齢者では、首をはさむことで圧迫されて、血管の中で血液が固まるという別のリスクもあり注意する必要がある。

 消費者庁では、EMS美顔器を首周辺に使うのは避けるように推奨している。

人気の美容家電、トラブルの報告も

首に押し当てて使うことがあり得るEMS美顔器のタイプ。(写真/消費者庁)

首に押し当てて使うことがあり得るEMS美顔器のタイプ。(写真/消費者庁)

 消費者庁によると、家庭用美顔器には様々なタイプがあり、それぞれに異なるメカニズムでフェイスラインを引き締める効果を出す。その中でも、EMSは直接筋肉を刺激する方式で運動効果を得るものとなる、脂肪に直接働いて脂肪を減らすものではない。上の図のような美顔器が首に押し当てて使われることがあり得るという。消費者庁が運営する「事故情報データバンク」によると次のような報告があった。

  • 首のあたりにEMS(電気筋肉刺激)のマットを当てられ、2時間電気をかけると言われたが、1時間もしないうちに気分が悪くなり耐えられなくなった。
  • 美顔器を顎と鼻にすべらせたが、頭の中がグルグル回っているような感覚に襲われた。
  • スポーツクラブの宣伝販売で、美顔器ローラーを右の頬に当てられ、強く上げられたため、右頬が上がったような状態になった。4日後の夕方にめまいがして吐き気がひどく倒れてしまった。
  • お肌がきれいになるという美顔器を1、2回説明書どおり、頭に使ったところ、めまいがした。
  • 美顔器を使用していたら、心臓の動悸がして、使用をやめたらなくなった。
  • 美顔器の使用2日後にめまいがするなど体調を悪くした。

 このほか超音波は、振動による深部温熱療法、RF(高周波、ラジオ波)は体内深部の水分や分子を振動させ、血行やリンパの流れを改善する方式という。それぞれ異なる方式によって、使用時の注意点も異なる。

 美容や健康の家電は人気を集めて、国内市場は25年に、22年の114.9%に当たる4220億円に達するという予想がある。フェイス用の美顔器もこの中に含まれている。美顔器をめぐっては今回のような健康に関連したトラブルのほか、通信販売の返金トラブルが報告されている。身近な製品であるだけに事故の情報も理解しておくと良いだろう。

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ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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