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サプリメントの品質管理が厳しく、健康被害の情報提供を義務化、薬並み「GMP」製造管理も、森下竜一氏が国の方針を解説、第24回日本抗加齢医学会総会が開催

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第24回日本抗加齢医学会が熊本市で開催。(写真/編集部)

第24回日本抗加齢医学会が熊本市で開催。(写真/編集部)

 紅麹を原因とした健康被害が報告された問題に関連して、国は2024年5月31日、サプリメントの品質管理を従来より厳しくすることを決めた。

 6月1日に熊本市で開催された第24回日本抗加齢医学会の「緊急企画」の中で、紅麹が関わる「機能性表示食品制度」作りをリードした大阪大学寄附講座教授の森下竜一氏が登壇し、国による今後の制度見直しを解説した。

「食品の衛生管理」が問題であると解説

第24回日本抗加齢医学会。(写真/編集部)

第24回日本抗加齢医学会。(写真/編集部)

  • 紅麹の使用→食品に幅広く使われる紅麹の赤い色素が一般的に口にされるものであると説明。
  • 健康被害の原因→紅麹自体の問題ではなく、製造工程で発生した青カビが原因であることが政府の調査で明らかになった。
  • ブペルル酸→青カビが作ったと推定されるブペルル酸が動物実験で腎臓トラブルを引き起こすことが確認された。

 緊急企画は、機能性表示食品の一つである紅麹を原因として死亡を含む健康被害が発生した問題を受けて開かれたもの。テーマは「サプリメントとどう向き合うのか」。日本抗加齢医学会理事長の山田秀和氏と、同理事で健康食品の関連団体である日本抗加齢協会理事長である堀江重郎氏がそれぞれ座長を務めた。

 最初に日本抗加齢医学会理事である中島こうやクリニック(福岡県那珂川市)院長の中島孝哉氏がサプリメントの衛生管理の課題を解説し、その後、森下氏が前日に出た国の方針を踏まえ、これからのサプリメントの品質管理の方向を語った。

 森下氏は、紅白まんじゅうの赤色など、食品には幅広く紅麹の赤い色素が使われ、一般的に口にされているものと解説。ごく身近な食品であることを示した上で、政府による調査の結果として、紅麹の問題は、健康被害の発生時期や動物実験の結果などから、製造過程で発生した青カビによるものであることが明らかになったと説明した。つまり、紅麹がもともと持っている成分とは関係がなく、紅麹自体の問題というよりも、製造工程で発生した青カビの問題となる。

 こうした点から森下氏は「機能性表示食品そのものの問題ではなく、あくまで食品の衛生管理の問題」と述べた。現在までに、青カビが作ったと推定されるブペルル酸という成分が動物実験により腎臓のトラブルを引き起こすことが確認された。このブペルル酸の関連などについては引き続き検証が進められることになる。

医薬品並みの「GMP」に従う製造管理を求める

森下竜一氏。写真は第1回再生医療抗加齢学会のもの。(写真/編集部)

森下竜一氏。写真は第1回再生医療抗加齢学会のもの。(写真/編集部)

  • 情報提供の義務化→健康被害が発生した場合、事業者は消費者庁長官と都道府県知事へ情報提供が義務化される。
  • 品質管理ルールの厳格化→サプリメントの製造にはGMP(適正製造規範)に従った製造管理が求められ、消費者庁が立ち入り検査を行えるようになる。

 その上で、5月31日に内閣府が公開した機能性表示食品制度に関連する制度見直しの要点を解説した。

 第1に、今後、機能性表示食品について健康被害が発生した場合、事業者には消費者庁長官と都道府県知事への情報提供が義務化される。国が健康被害の情報を速やかに収集できるため、早く対策を打つことが可能になる。

 第2に、信頼性を高めるための品質管理ルールが厳しくなる。一般的に医薬品の製造では「GMP(適正製造規範)」というルールに従った製造管理が求められるが、今後、サプリメントを製造する場合でも、医薬品と同じようにGMPに従った製造管理が求められることになる。さらに、消費者庁が立ち入り検査を行えるようにもなる。

 このほか、新規成分の評価での専門家の関与や定期的な自己評価と公表、健康被害の発生規模が大きいときには国が対応するなどの制度見直しが進むことになる。サプリメントは美容医療とも関連が深い。健康被害を起こさないための安全と安心の仕組み作りへの関心が引き続き高まりそうだ。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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