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エステでのHIFUは法律違反、施術には医師免許が必要、医師の指示を受けた診療補助の看護師は問題なし、厚生労働省が健康被害の増加を受けて通知

カレンダー2024.6.13 フォルダー 国内
厚生労働省。(写真/Adobe Stock)

厚生労働省。(写真/Adobe Stock)

 厚生労働省は2024年6月7日に、医師免許を持たない者がHIFU(高密度焦点式超音波治療、集束超音波医療、ハイフ)を行うことが医師法違反であるという見解を示した。

 以前よりハイフを原因としたトラブルが多数報告されているが、今回の見解が示されたことで、医療機関以外のエステなどでのハイフは法律違反となる。

ハイフは医師法の規制対象

ハイフでは超音波が熱を発生させる。(出典/消費者庁)

ハイフでは超音波が熱を発生させる。(出典/消費者庁)

 ヒフコNEWSでも伝えているが、23年3月に国の消費者安全調査委員会が報告書を出し、この中で医師免許を持たない施術者によるハイフを原因とする、急性白内障や神経まひといった重大な健康被害が多く報告された。

 ハイフは、皮下組織に熱を加えて顔や体の引き締め、シワ改善を目指すものだが、皮膚や筋肉、血管や神経などの仕組みを正しく理解しておかないと、思わぬ事故につながる可能性がある。

 従来ハイフは法律で規制されていなかったため、医療機関以外の施設でも自由に行われており、それが問題視されていた。同委員会も、厚労省に対して、医師のみが医療行為を行ってよいと定めている医師法のルールに照らしたときに、ハイフをどのように取り扱うかという考え方を整理するように求めていた。

 そこで、今回、厚労省はハイフに関する見解を示すこととなった。ポイントはハイフが医師法の規制対象であると明示したことだ。その上で、次の3点の見解を示した。

  • 医師のみが行える
  • 医療機関だけで行える
  • 違反行為には行政による指導などを行う

 厚労省はハイフに対して医師法を適用し、ハイフを行えるのは医師のみに限られることを明示した。使用する機器が医療用であるか否かにかかわらず、ハイフを照射し、細胞に熱凝固を引き起こす行為は健康被害を起こす恐れがあると説明した。

 さらに、厚労省は、医療提供施設に行うことも求め、違反行為があった場合には行政による指導を行い、改善が見られなければ警察とも連携する必要性を指摘した。

 なお、医療機関では、医師の指示の下で看護師が行うことが多いが、厚労省によると、レーザー脱毛などと同様にハイフも、医師の指示を受けた看護師が診療の補助として行うことは問題ない。

医療機関以外でのハイフは法律違反

23年3月国の委員会がハイフによるトラブルの増加など報告書を出した。(出典/消費者庁)

23年3月国の委員会がハイフによるトラブルの増加など報告書を出した。(出典/消費者庁)

 現時点では、ハイフが医療機関以外でも提供されることがあるが、今後はなくなっていくことが予測される。エステのほか、セルフエステ、通信販売などでハイフが扱われていたが、それらは法律違反と見なされることになる。

 医療機関以外でのハイフが減少することで、ハイフによる健康被害は大幅に減少すると見られる。一方で、ハイフによる健康被害は美容クリニックでも発生しているため、ハイフを検討するときには合併症の可能性があることを常に認識しておく必要があるだろう。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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