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厚労省の会議、エクソソームがテーマに、日本再生医療学会が国にガイダンス示す、今後の検討は美容医療にも影響、厚労省の再生医療等評価部会

カレンダー2024.6.22 フォルダー 国内
厚生労働省。(写真/Adobe Stock)

厚生労働省。(写真/Adobe Stock)

 エクソソームについては現在、法律上の規制対象になっているが、今後、どう取り扱うかについての議論が活発になりそうだ。

 厚生労働省は2024年6月14日、再生医療に関する会議を開催し、この中で専門家がエクソソームを含めた「細胞外小胞等」についての情報提供を行った。今回の情報提供では規制などについて話し合われたわけではないが、この6月に改正安確法が成立し、今後次期改定に向けた議論が始まることになる。今回の情報提供はエクソソームのルール作りという点では議論のスタートと位置付けられる。

※「安確法」は「再生医療等の安全性等確保に関する法律」の略称である。安確法は再生医療法とも呼ばれることがある。

日本再生医療学会がガイダンスを示す

日本再生医療学会が「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」を発表。(出典/日本再生医療学会)

日本再生医療学会が「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」を発表。(出典/日本再生医療学会)

 今回、厚生労働省で「第95回厚生科学審議会再生医療等評価部会」が開催され、この中で、日本再生医療学会理事長の岡野栄之氏と、同常務理事の岡田潔氏が細胞外小胞等についての学会でのガイダンスなどの情報提供した。

※細胞外小胞とは、細胞から分泌される膜を持った粒子で、これにはエクソソームが含まれる。

 ガイダンスは4月に学会から公表された。ヒフコNEWSでも伝えているように、エクソソームなどの使用を止めるのではなく、安全に使用するためのプロセスごとの推奨項目を示している。

 細胞外小胞等の品質チェックを適切に行い、有効性を適切に評価できるようにすることなどを重視する内容だ。

 日本再生医療学会は第89回の会議で「安心、安全なEVsの治療応用のガイドライン作成は急務」と提言していた。同学会は3月に「まず教科書を示し、国に働きかける」と示しており、4月公表のガイドラインは、まず教科書としてまとめたものに当たる。今回の会議はこれを国に示した形になり、これを一つのきっかけとして、同学会は厚労省への働きかけを続けていくと見られる。

現時点で法律の対象にしないが検討

細胞から発生するエクソソーム。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

細胞から発生するエクソソーム。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 冒頭に書いたように改正安確法がこの6月に参議院で賛成多数により可決、成立した。この改正法では、遺伝子治療が規制対象となったが、細胞外小胞等については含まれなかった。

 改正法の検討に当たって厚労省は次のような方針を示している。「エクソソーム等は、細胞断片として整理されるものであり、ヒトへの投与物としての明確な定義づけが困難であることや、諸外国における規制状況も勘案し、現時点においては、エクソソーム等を再生医療等安全確保法の対象とはせず、今後の医療技術の進展を踏まえ、必要に応じ検討すべき」。

 今回法律が改正されたことで、今後、さらなる改正に向けた検討が続くことになる。エクソソームに関しては今回の情報提供でスタート台に上がったことになる。

 厚労省によると、「今回の会議は第89回に日本再生医療学会からあった提言を踏まえて情報提供をしたもの。規制を前提としたものではない」という。しかし、今後、検討の中で規制に関する議論も出てくるだろう。

 岡田氏は会議で「再生医療等安全性確保法におけるリスク分類の見直しに資する調査研究」に着手することについて説明した。

 国の助成金を受けて調査が進められることになる。この結果を踏まえて、国も対応を考えていくことになる。

 今後、エクソソームに関する国での検討は繰り返されていくことになる。美容医療においてエクソソームの利用は活発で、このルールは大きな影響を与えることが予想され、注目されそうだ。

参考文献

第95回厚生科学審議会 再生医療等評価部会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40722.html

未承認エクソソーム対応へ、美容医療などでの使用に推奨事項を示す、日本再生医療学会が新ガイダンス、国の新たなルールへの一歩にも
https://biyouhifuko.com/news/japan/7097/

NMN、幹細胞培養上清、エクソソーム、点滴や注射「推奨しない」、日本抗加齢医学会が医療関係者に注意喚起
https://biyouhifuko.com/news/japan/6668/

エクソソームをもっと理解するための9つキーワード、「EVs」「ISEV」「miRNA」「CQA」……日本再生医療学会の講演から振り返る
https://biyouhifuko.com/news/japan/6338/

エクソソームの医療への展開と美容目的での前途、シンガポールの第一人者が日本再生医療学会で講演、「製造プロセスやメカニズム解明が重要」
https://biyouhifuko.com/news/japan/6304/

4月にエクソソーム関連ガイドライン発表へ、美容医療にも影響、乱用抑制や安全性や有効性の確立へ、日本再生医療学会が記者会見で見通し示す
https://biyouhifuko.com/news/japan/6291/

エクソソーム規制強化、美容医療ルール作りに注目、日本再生医療学会が厚労省で提言
https://biyouhifuko.com/news/japan/4254/

エクソソームの安全性に注目集まる理由、幹細胞培養上清液での死亡事例の報告がきっかけに
https://biyouhifuko.com/news/japan/4036/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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