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ブルーライトの影響を軽減。デジタル機器の光による肌ダメージ、シワ、たるみを防ぐコツを考える

カレンダー2023.3.15 フォルダー最新研究

ポイント

  • デジタル機器の画面から発せられるブルーライトは、肌荒れやシミ、たるみなどの原因になる可能性
  • ブルーライトには、活性酸素の発生、体内時計の乱れ、コラーゲンを分解する酵素の活性化などの問題
  • ブルーライトにさらされる時間を減らす工夫で、悪影響を減らせる可能性がある
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ブルーライトは肌にも影響。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 いまやスマートフォンへの依存度が高い時代。しかし、スマホの画面の光は、私たちの肌の見た目を予想以上に傷つけているかもしれない。というのも、スマホなどデジタル機器の光が、肌荒れやシミ、たるみの原因になる可能性があるからだ。実は画面から発せられるブルーライトは、私たちの目にも肌にも有害な影響がある。最近では、ブルーライトカットの日焼け止めが話題になるほど。この光の影響について、海外の研究者が調査結果を発表している。

ブルーライトの肌への悪影響について

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身近な存在となったブルーライト。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 肌は日々さまざまなストレスにさらされている。そのうちの一つが光。肌に悪影響をもたらす光というと太陽からの紫外線がすぐに思い浮かぶところだが、屋内のスマホやノートパソコンなどのデジタル機器の画面から発せられる光も肌への影響が心配されている。

 私たちの肌は、さまざまな種類の光にさらされるなど、日々、さまざまな環境ストレスにさらされている。

 というのも、デジタル機器の画面から出る光、特にブルーライトが問題視されるからだ。光は可視光線と不可視光線に分類され、前者は私たちが目にする光、後者は紫外線や赤外線を含む。ブルーライトは可視光線に含まれている。

 現在では、ランプやデジタルディスプレイなどのLED照明の普及により、私たちはより多くのブルーライトを浴びるようになった。目を保護するためにブルーライトカット眼鏡を使用する方も多いが、ブルーライトは肌にも影響を与えることを知っておくことは大切だ。

 今回、インドのシルチャル医科大学の研究グループは、ブルーライトが皮膚にどのような影響を与え、どのような弊害をもたらすかを調べた。研究者らは過去の研究を調べ、結果を2023年1月3日にジャーナル・オブ・コスメティック・ダーマトロジー誌という美容皮膚科の医学雑誌に発表した。

ブルーライトの肌への悪影響、老化の促進や修復プロセスに関連

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明らかになってきたメカニズム。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 明らかになったのは、電灯やスクリーンから発せられるブルーライトは肌に害を与え、老化を早めることだ。論文で述べられているブルーライトの有害性は次の通りだ。

 研究者らは、特に活性酸素を発生させることで、肌に悪影響を及ぼす可能性があることを問題視する。活性酸素は肌の老化や色素沈着、そばかす、DNA損傷などを引き起こす。DNA損傷はさらに、炎症、コラーゲンやエラスチンの破壊を引き起こし、肌のたるみ、シワ、早期老化の原因となる可能性がある。

 さらに、ブルーライトは、体内時計を狂わせて、肌が本来持っている自己修復能力を妨げるなど、肌に悪影響を及ぼす可能性もあるという。ブルーライトはコラーゲンを分解する酵素を活性化させ、肌のたるみやシワの原因になることがある。これらの影響は、肌の色が濃い人ほど顕著に現れるようだ。

 以上が論文のポイントになるところだ。

 見てきた論文報告では、ブルーライトが肌に悪影響を与え、シミやシワ、たるみなどのトラブルを引き起こす可能性があることを取り上げた。仕事や日常生活の中で、パソコンのディスプレイやスマホなどの電子機器からブルーライトを浴びている人は少なくない。ブルーライトの視力への影響はよく知られているが、ブルーライトの照射による肌への悪影響にも注意する必要があるのかもしれない。露出を減らすための対策としては、可能な限り照明を消す、画面を見る時間を短くする、ブルーライトをカットするフィルターなどを使うといった対策が有効である可能性もある。

ブルーライトは、赤、橙、黄、緑、青、紫などの色に含まれる可視光線の一部だが、ブルーライトの波長450〜495nm程度で、可視光線の中でも高いエネルギーを持つ。例えば、赤色の光の波長は620~750nmで1.5倍ほど。波長が短いほどエネルギーは高くなる。このためブルーライトは人体への影響も大きくなる可能性がある。

参考文献

UCAR Center for Science Education
https://scied.ucar.edu/image/wavelength-blue-and-red-light-image

Kumari J, Das K, Babaei M, Rokni GR, Goldust M. The impact of blue light and digital screens on the skin. J Cosmet Dermatol. 2023 Jan 3. doi: 10.1111/jocd.15576. Epub ahead of print. PMID: 36594795.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/jocd.15576

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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