
シワと保湿の関係。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
シワのある部分は、保湿しても乾燥感が残りやすい。その背景にある仕組みを示す研究結果を、ポーラ化成工業が2026年5月に発表した。
シワ部分、水分を補ってもうるおいを保ちにくい

シワの部分の保湿に影響する表皮や真皮の変化。(出典/ポーラ化成工業)
- シワ部分は乾燥しやすい→ シワのある部分では、保湿しても乾燥感が残りやすいことに着目した。
- うるおいを保つ酵素が減少→ シワ部分では、フィラグリンを働かせるSASPaseが少なくなっていた。
- 水分を抱えにくい状態→ シワ部分の角層は、水分を補ってもうるおいを保ちにくい可能性がある。
ポーラ化成工業は、シワ部分では保湿ケアをしても乾燥感が残りやすい点に着目し、シワ部分に特有の乾燥の仕組みがあるのではないかと考えた。
同社が表皮細胞を調べたところ、シワのある部分では、シワのない部分に比べて、肌のうるおいを保つために必要な成分を働かせる酵素が少なくなっていた。
この酵素が「SASPase」と呼ばれるものだ。
SASPaseは、肌が水分を抱え込みやすい状態を保つために必要な成分を、きちんと働ける形に整える役割を持つ。
その成分は、最初は「プロフィラグリン」という形で存在している。SASPaseの働きによって、これが「フィラグリン」に変わる。フィラグリンは角層細胞の構造を整え、水分を保ちやすくする役割を担う。
そのため、シワ部分でSASPaseが減ると、角層は水分を抱え込みにくくなり、水分を補っても保湿されにくい状態になっている可能性がある。
言い換えると、シワのある部分は、単に水分が足りないのではなく、その部分自体が水分を抱え込みにくい状態に変化している可能性があるということだ。
真皮のシワにも関与か

肌の状態。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 表皮から真皮へ影響か→ SASPaseが減るとIL-8が増え、真皮のシワにも関わる可能性がある。
- ハリを支える組織に影響→ IL-8により好中球が集まると、コラーゲンなどを傷める酵素が出やすくなる。
- シワに合わせた保湿へ→ シワ部分の角層環境に着目した、新しい保湿の考え方が示された。
ここまで見てきたのは、主に表皮で起きている変化だ。シワ部分では、水分を抱え込みにくい角層になっている可能性がある。
そこで同社は、この変化が表皮の乾燥だけにとどまるのか、それとも真皮に関わるシワにもつながるのかを調べた。
その結果、SASPaseが減った表皮細胞では、「IL-8」という物質が増えることが分かった。
IL-8は、炎症に関わる免疫細胞の一つである好中球を呼び寄せる物質だ。
好中球が集まると、肌のハリを支えるコラーゲンや弾性線維を傷める酵素が出やすくなることが知られている。
このため、表皮で始まった変化が、真皮にシワができやすい状態にもつながる可能性があるという。
つまり、SASPaseの減少は、シワ部分の乾燥感だけでなく、真皮のシワにも関わる可能性がある。
また、ヒメフウロとクチナシの混合エキスには、SASPaseを増やし、IL-8を抑える働きも確認された。
ポーラ化成工業は、シワのある部分に合わせた保湿という新たな考え方を提案している。
シワ部分の乾燥をどう捉えるかを考えるヒントになりそうだ。
参考文献
シワには“シワのための保湿メカニズム”があることを発見
https://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20260515_2.pdf
