東北大学を中心とした研究グループが、アンチエイジングを目指す内服薬を人に投与した試験結果を報告し、生物学的年齢が平均2〜3歳若返るなどの効果が確認された。結果は2026年5月に報告された。
アンチエイジングを目的とした「TM5614」

若返りの効果は。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- PAI-1阻害薬を検証→ TM5614はPAI-1の働きを抑える内服薬で、アンチエイジング効果が期待されている。
- 20人を対象に試験→ 50〜75歳の20人が4カ月間服用し、投与前後の変化を調べた。
- 老化細胞への作用に期待→ 免疫機能を通じて老化細胞の除去を促す可能性があると考えられている。
研究グループは、東北大学のほか、広島大学、東海大学、レナサイエンスで構成された。今回、アンチエイジングを目指す内服薬「TM5614」を人に使った試験が行われた。
対象になったのは、高血圧や2型糖尿病、慢性腎臓病、高脂血症などを持ちながら、症状が安定している50〜75歳の20人だ。全員にTM5614を4カ月間飲んでもらい、飲む前と後で体の変化を調べた。効果の評価は、必要な検査がそろった19人について行われた。
なお、TM5614は、血栓の形成に関わる「PAI-1」というたんぱく質の働きを抑える内服薬だ。もともとは血栓やがんとの関係でも研究されてきたが、今回の試験では、老化細胞の除去に関わる免疫の働きを高める可能性もある薬として、アンチエイジングの観点から検証された。
生物学的年齢は平均2〜3歳若返り

XPRIZE Healthspan。(出展/XPRIZEウェブサイト)
- 生物学的年齢が改善→ 遺伝子解析では平均2〜3歳程度の若返りが示された。
- 幅広い指標で変化→ 免疫、代謝、骨・筋肉、酸化ストレスなど複数の老化関連指標が改善した。
- 次は大規模試験へ→ 今回は20人・4カ月の予備的試験で、今後は100人超の国際共同試験が予定されている。
発表によると、遺伝子の状態から推定する「生物学的年齢」は、2つの計算法でみて、いずれも平均2〜3歳ほど若返った。
具体的には、ホーヴァス(Horvath)法では61.7歳から58.3歳へ、PCホーヴァス(PC-Horvath)法では58.0歳から56.1歳へ低下した。研究グループは、これをそれぞれ3.4歳、1.9歳の若返りに当たるとしている。
そのほかにも、老化関連microRNAの低下、免疫や代謝、骨・筋肉、認知・神経生理に関わるタンパク質の変化、造血幹・前駆細胞の増加、酸化ストレス指標や終末糖化産物の改善などが報告された。
大学側は、遺伝子、エピゲノム、タンパク、細胞といった幅広いレベルで改善が見られたとしている。
今回の試験は、健康寿命を延ばす技術を競う「XPRIZE Healthspan」の途中段階として行われた。
結果は注目されるが、試験の規模は20人、期間は4カ月と小さく、これだけで「老化を遅らせる薬ができた」とは言えない。健康寿命が本当に延びるのか、筋力や認知機能にどこまで効果があるのかは、今後の検証が必要になる。安全性では、軽度の肝機能異常が1例あった。
老化細胞への作用が期待される飲み薬が、人で試され、変化が示された意義は小さくない。次は100人以上を対象にした国際共同試験が焦点になる。
参考文献
PAI-1阻害薬「TM5614」の抗老化効果をヒトで確認-XPRIZE Healthspanセミファイナル臨床試験結果-
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/05/press20260514-02-tm5614.html
