加齢とともに目立ちやすくなる目の下の「目袋」は、目元を疲れた印象や老けた印象に見せる一因となる。目袋には、眼窩脂肪のせり出しに加え、下まぶたのたるみも関係している。
ポーラ化成工業は2026年7月7日、20~90代の下まぶたの組織を調べ、加齢に伴って皮膚を支える線維が減少し、細くなる変化を確認したと発表した。
また、筋肉からつくられる物質が、この線維の維持に関わる可能性も細胞を用いた実験で示した。
「涙袋」と「目袋」は異なる

涙袋は下まぶたのすぐ下にできるふくらみで、目袋はその下に現れるたるみやふくらみを指す。(出典/ポーラ化成工業)
- 涙袋と目袋は別の構造→ 涙袋は眼輪筋によるふくらみで、目袋は眼窩脂肪のせり出しや皮膚のたるみで生じる。
- 支持線維が加齢で減少→ 下まぶたを支えるRCは、年齢とともに密度が低下し、細くなる変化が確認された。
- たるみとの関連を示唆→ RCの衰えによって皮膚を支える力が弱まり、目袋が目立ちやすくなる可能性がある。
上の図に示されているように、「涙袋」と「目袋」は、できる位置や仕組みが異なる。
涙袋は、下まぶたにある眼輪筋によって形成されるふくらみだ。一方、目袋は涙袋より下に現れ、眼球を守る眼窩脂肪が前方へせり出したり、皮膚がたるんだりすることで生じる。これにより、目元を疲れた印象や老けた印象にする。
下まぶたを外側から順に見ると、薄い皮膚の下に皮下組織があり、その奥に目の周りを囲む眼輪筋、さらに内側に眼窩脂肪がある。
皮下組織には、「Retinacula cutis(RC、皮膚支持帯)」と呼ばれる細い線維が走っている。RCは皮膚とその下の組織をつなぎ、皮膚が垂れ下がらないよう支える役割を持つ。
研究では、20~90代の下まぶたの組織断面を染色し、RCの密度や太さ、線維が走る方向を画像解析した。
下に示した図の組織画像では、20代のRCは比較的太く、横方向に伸びている。これに対し、高い年代の組織ではRCの密度が低く、線維も細くなり、下向きに垂れる様子が示されている。
解析結果でも、加齢に伴ってRCの密度と平均の太さが低下していた。こうした変化によって下まぶたを支える力が弱まり、皮膚のたるみや目袋につながる可能性があると研究グループは見ている。
筋由来の「イリシン」に着目

加齢に伴う下まぶたの構造変化と、筋肉由来のイリシンによる皮膚支持帯への働きを示した模式図。(出典/ポーラ化成工業)
- 筋由来のイリシンに注目→ 眼輪筋から作られるイリシンが、下まぶたの支持構造に働く可能性が示された。
- コラーゲン産生を促進→ 細胞試験では、イリシンによりⅠ型コラーゲンやMFAP4の産生が増えた。
- 人での効果確認は今後→ 目袋の改善につながるかどうかは、今後の臨床研究で検証する必要がある。
研究グループは、下まぶたの皮下組織と眼窩脂肪の間にある眼輪筋にも注目した。
図に示されているように、眼輪筋は、RCがある皮下組織のすぐ下にあり、その奥にある眼窩脂肪とも隣り合っている。この位置関係から、眼輪筋からつくられる物質が、RCと眼窩脂肪の双方に働く可能性に着目した。
調べたのは、筋肉からつくられる「イリシン」だ。RCの維持に関わる腱細胞を使った試験では、イリシンによって、RCの主な材料となるⅠ型コラーゲンと、線維を束ねるタンパク質「MFAP4」の産生が増えた。
この結果から、眼輪筋からつくられるイリシンが、下まぶたを支えるRCの維持に関わっている可能性が示された。
イリシンには、脂肪細胞に働きかける作用も知られている。同社は、RCを保つ働きと脂肪への働きを通じ、下まぶたのたるみと眼窩脂肪のせり出しの双方に作用する可能性があるとしている。
また、骨格筋細胞を使った試験では、ヘリクリスムイタリクムとセイヨウノコギリソウの複合エキスによって、イリシンの発現が増えたという。
今回の研究から、下まぶたのたるみにはRCの加齢変化が関わり、筋肉から作られるイリシンがRCの維持を助ける可能性が示された。目袋が目立つ仕組みを考える上で、新たな手掛かりとなりそうだ。
参考文献
加齢で目立つ“目袋”に繋がる「下まぶたの構造変化」を解明
https://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20260707_1.pdf
