ニキビの原因になるアクネ菌、厄介なバイオフィルムをヘパリン類似物質で撃退可能?
ポイント
- ニキビの原因となるアクネ菌の作るバイオフィルムが治療を難しくしている
- ヘパリン類似物質はこのバイオフィルムができるのを抑えられることが分かった
- バイオフィルムを抑えることで、殺菌成分の効果を高められると判明した
化粧品や保湿剤によく使われている「ヘパリン類似物質」が、ニキビの原因となるアクネ菌の殺菌成分の効果を高める可能性があるようだ。小林製薬が2023年8月、研究結果を発表した。
ニキビ治療を邪魔する厄介な存在
ヒフコNEWSは以前、ヘパリン類似物質が肌のバリア機能を高めるという研究結果を紹介したことがある。今回、これがニキビにどのような効果を持つかが明らかになった。
ニキビはアクネ菌が増え、皮膚に炎症を起こすことで発症する。厄介なのは、これらアクネ菌が増えると「バイオフィルム」と呼ばれる膜を作ること。このバイオフィルムによって、殺菌成分や抗生物質が効きづらくなることが問題になっていた。
これまで小林製薬の研究グループは、バイオフィルムを抑えられる物質を検討してきた。今回、ヘパリン類似物質のバイオフィルムを抑える効果について検討した。
アクネ菌の殺菌効果が高まった
こうして認められたのが、ヘパリン類似物質がバイオフィルムを抑えること。それによって、殺菌成分の効果を高められることが分かった。
ヘパリン類似物質は、アクネ菌が作る「AI-2」という物質を邪魔することで、バイオフィルムを抑制していた。
このようなバイオフィルムを抑える効果によって、殺菌剤の効果が高まると考えて、この仮説を確かめた。
研究グループは、イソプロピルメチルフェノールという医薬品に配合される殺菌剤の効果が変化するか見たところ、実際に、ヘパリン類似物質がバイオフィルムを抑えることで殺菌効果が高まると判明した。
ニキビ治療のためにヘパリン類似物質の利用が注目されるかもしれない。
参考文献
ヘパリン類似物質の新たな作用を発見~アクネ菌のバイオフィルム形成抑制作用を発見、殺菌技術に応用~
https://www.kobayashi.co.jp/release/2023/0801_01.html
「ヘパリン類似物質」の皮膚保護効果を発見、大正製薬が明らかに
https://biyouhifuko.com/news/research/1314/
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