ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

ニキビの原因になるアクネ菌、厄介なバイオフィルムをヘパリン類似物質で撃退可能?

カレンダー2023.9.3 フォルダー最新研究

ポイント

  • ニキビの原因となるアクネ菌の作るバイオフィルムが治療を難しくしている
  • ヘパリン類似物質はこのバイオフィルムができるのを抑えられることが分かった
  • バイオフィルムを抑えることで、殺菌成分の効果を高められると判明した

 化粧品や保湿剤によく使われている「ヘパリン類似物質」が、ニキビの原因となるアクネ菌の殺菌成分の効果を高める可能性があるようだ。小林製薬が2023年8月、研究結果を発表した。

ニキビ治療を邪魔する厄介な存在

気になるニキビ。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

気になるニキビ。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 ヒフコNEWSは以前、ヘパリン類似物質が肌のバリア機能を高めるという研究結果を紹介したことがある。今回、これがニキビにどのような効果を持つかが明らかになった。

 ニキビはアクネ菌が増え、皮膚に炎症を起こすことで発症する。厄介なのは、これらアクネ菌が増えると「バイオフィルム」と呼ばれる膜を作ること。このバイオフィルムによって、殺菌成分や抗生物質が効きづらくなることが問題になっていた。

 これまで小林製薬の研究グループは、バイオフィルムを抑えられる物質を検討してきた。今回、ヘパリン類似物質のバイオフィルムを抑える効果について検討した

アクネ菌の殺菌効果が高まった

バイオフィルムが抑えられた。(出典/小林製薬)

バイオフィルムが抑えられた。(出典/小林製薬)

 こうして認められたのが、ヘパリン類似物質がバイオフィルムを抑えること。それによって、殺菌成分の効果を高められることが分かった。

 ヘパリン類似物質は、アクネ菌が作る「AI-2」という物質を邪魔することで、バイオフィルムを抑制していた。

 このようなバイオフィルムを抑える効果によって、殺菌剤の効果が高まると考えて、この仮説を確かめた。

抗菌成分の効果が高まった。(出典/小林製薬)

抗菌成分の効果が高まった。(出典/小林製薬)

 研究グループは、イソプロピルメチルフェノールという医薬品に配合される殺菌剤の効果が変化するか見たところ、実際に、ヘパリン類似物質がバイオフィルムを抑えることで殺菌効果が高まると判明した。

 ニキビ治療のためにヘパリン類似物質の利用が注目されるかもしれない。

参考文献

ヘパリン類似物質の新たな作用を発見~アクネ菌のバイオフィルム形成抑制作用を発見、殺菌技術に応用~
https://www.kobayashi.co.jp/release/2023/0801_01.html

「ヘパリン類似物質」の皮膚保護効果を発見、大正製薬が明らかに
https://biyouhifuko.com/news/research/1314/

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。