2024年3月18日、米国の研究グループが腹部形成術の合併症発生率に関する分析結果を発表した。その発生率は全体で2.1%。単純計算すると50人に1人の割合となった。
全世界では第4位の美容外科手術
国際美容外科学会(ISAPS)調査によると、腹部形成術は全世界で年間118万件が実施されているとされ、美容外科手術の中で4位の位置を占めている。
日本国内でも、腹部形成術は一般的な美容外科手術の一つとして行われている。肥満などの理由でおなかの皮膚がたるんだ場合に、その皮膚を切除してたるみを解消する手術。英語ではタミータックとも呼ばれることもあるが、手術の方法には複数の種類が存在する。腹部形成術を受けた人での合併症が報告されているが、合併症の詳細は不明点もあるとされる。
今回、米国の研究グループは、美容外科手術のデータベースを基に、15年から22年までの腹部形成術の合併症について詳しく分析した。その結果をまとめると次の通りとなった。
- 総患者数→5万5596人の腹部形成術について検討。
- 全体の合併症率→2.1%。
- 腹部形成術の種類ごとの合併症率→フルール・ド・リス腹部形成術の合併症が最も高い。
- 合併症が増える要因→手術年、低体重または肥満度が極端な体重、糖尿病、男性。
- 一緒に行われる手術→1万5000人以上(27.2%)が、乳房手術、ボディコントゥアリング、脂肪吸引、顔の手術を実施。
- 一緒に行う手術と合併症リスク→複数の条件を考慮しても、腹部形成術単独に比べて重大な合併症リスクは増えない。
合併症の可能性を理解することは不可欠
特に合併書の発生率が高いとされた「フルール・ド・リス腹部形成術」は、フルー・ド・リスというアヤメの紋章の名前を冠した手術となる。その名前の通り、おなかの皮膚をトランプのスペードのような形の紋章の形で切り取り、縫合してたるみを解消する。
美容外科手術は一般的に広く行われており、合併症が起こることもある。最近では脂肪吸引での合併症が注目されたことがあった。美容外科の手術を検討するときには、合併症の可能性についての理解が不可欠となる。今回のデータは海外のものではあるが、参考にしてよいかもしれない。