酒さはいわゆる「赤ら顔」の症状を示す皮膚の病気で、たばこやお酒との関連が指摘されることがある。今回、喫煙本数が酒さの発症と関連すると示された一方で飲酒量との関連は見られなかった。
中国の研究グループが2024年6月16日に皮膚科の医学誌で発表した。
酒さは美容面でも問題に
酒さは成人の約5%に認められるとされる。慢性的に皮膚が赤くなり、時に腫れたり痛みが出たりする炎症性の病気として知られる。この病気になると顔の赤みが出てくることから、美容面でも大きな問題になる。ただし、正確なメカニズムはよく分かっていない。従来の研究では、喫煙や飲酒との関連が示されていたが、それぞれ別の要因とも複雑に絡み合っているため、因果関係を確かめるのは難しいとされていた。
今回の研究では、喫煙(1日あたりの喫煙本数、過去の喫煙状況、現在の喫煙状況)および飲酒(週あたりの飲酒量)と酒さの関連を独立して調査するために、「メンデルランダム化法」と呼ばれる方法を使って分析した。
※メンデルランダム化法は、遺伝的な特徴を利用して、偏りなく、原因と結果との関連を分析することができることから世界中の研究で採用されている。
顔ダニとも関連?
こうして明らかになったのは、1日あたりの喫煙本数が酒さの発症リスクと負の関連を持つこと。これは、喫煙本数が多いほど、酒さの発症リスクが低くなることを意味する。また、一方過去に喫煙していた場合、酒さの発症リスクが高まることも分かった。禁煙後は、酒さになりやすくなることが示された。
現在の喫煙状況は酒さに関係が見られなかった。これはたばこを吸っている人でも、何本も吸っている人もいれば、大して吸っていない人もいることが関係していると推測される。
また、意外なことに、お酒と酒さは関係するとよくいわれるが、週当たりの飲酒量と酒さの間には関連が見られなかった。
喫煙本数が多いと酒さの発症リスクが低下するメカニズムはさらに研究が必要であるものの、免疫や神経血管に関連した異常、太陽光によるダメージ、顔ダニと関連している可能性が指摘されている。
たばこを吸うことは健康に悪影響があるものの、酒さの解決につながるヒントになるかもしれない。