
ロレアルが発表。(写真/Adobe Stock)
2025年3月、世界最大手の化粧品企業であるロレアルが、エピジェネティクス分野の関連企業である米国トル・ダイアグノスティック(Tru Diagnostic)と提携したと発表した。
この提携は、日本国内の美容医療分野にも今後影響を及ぼす可能性がある。
「エピジェネティクス」とは何か

身体的な年の取り方には個人差がある。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
世界的に影響力のあるロレアルが、エピジェネティクスを専門とするトル・ダイアグノスティックと連携することで、今後、この分野の技術を応用した検査が現在よりも認知度を上げて普及していく可能性がある。ロレアルは、肌や髪の分野での長い実績を踏まえて、エピジェネティクスの分野の技術を応用しようと計画している。
そもそもエピジェネティクスとは何かというと、遺伝子やDNAに関連した技術となる。人の身体は、細胞の中にあるDNAという設計図を基に作られている。そうした中で、エピジェネティクスとは、DNAのメチル化と呼ばれる化学的変化によって、遺伝子のスイッチ(発現)が制御される仕組みのことをいう。DNAのメチル化は、時間などにより変化し、年を取ると共に変化する。
エピジェネティック・クロックとは、DNAのメチル化パターンが加齢とともに変化することに着目し、暦年齢とは異なる「生物学的年齢」を測定する手法である。
美容医療の効果測定など身近になる可能性

唾液で検査。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
エピジェネティクスの研究が進むにつれて、美容医療における新たな尺度としても「生物学的年齢」が注目されている。この技術が美容領域に応用されれば、治療やスキンケアの効果を数値で可視化することが可能となる。例えば、美容医療の施術によって「3歳若返った」といった定量的評価が可能になれば、その信頼性の向上につながる可能性がある。
最近では、欧州の製薬企業バイエルなどが開発した唾液中の炎症マーカーを用いた測定法「InflammAge(インフラメイジ)」が注目された。血液を使わず唾液で測定できる手法の登場により、検査がより身近になる可能性もある。
世界最大手の化粧メーカーが技術開発を進めることで、今後、エピジェネティクスの技術が一般にも広く活用される可能性がある。