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短く効くボツリヌストキシン製剤「Boey(ボーイ)」が欧州で承認、最短8時間で効果、2〜3週間で元の状態へ 同成分は日本でも承認申請済み

カレンダー2026.8.3 フォルダー 海外
ベッドに横たわる女性が眉間付近への注射施術を受けている様子。

短期作用型のボツリヌストキシン製剤は、仕上がりを短期間だけ試したい人の選択肢になる可能性がある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 美容医療で使われるボツリヌストキシン製剤として、効果が速く現れ、短期間で薄れる新しい製品が注目されそうだ。

 米国の製薬会社アッヴィが2026年7月、同社グループのアラガン・エステティックスにより開発されたボツリヌストキシンE型製剤「Boey(一般名トレニボツリヌストキシンE)」について、欧州委員会から承認を取得したと発表した。承認日は7月15日。海外では「ボーイ」と発音されている。

 眉間に目立つシワを、一時的に目立ちにくくするために使用される。

あえて長く効かせない新しい製剤

注射器と透明な薬液入りバイアル。

短期間で効果が薄れるボツリヌストキシンE型製剤が、眉間のシワ治療薬として欧州で承認された。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • E型ボツリヌストキシン製剤→ 従来のA型とは異なり、効果が速く現れ、比較的短期間で薄れるよう設計された製剤。
  • 眉間のシワを一時的に改善→ 眉間周辺の筋肉の動きを弱め、眉を寄せたときに目立つシワを目立ちにくくする。
  • 725人の臨床試験で検証→ 成人を対象とした2件の試験で、眉間5カ所への注射後の改善度を比較した。

 眉間のシワは、眉を寄せたときに現れる縦方向の線を指す。シワそのものに問題がなくても、表情によって疲れている、怒っている、心配しているといった印象を与えることがある。

 承認された製品は、眉間の筋肉の動きを一時的に弱め、シワを目立ちにくくする注射製剤となる。

 美容医療のボツリヌストキシン治療では、これまで主にA型と呼ばれる製剤が使われてきた。これに対して、今回の製品はE型のボツリヌストキシンを使っている。

 どちらも、神経から筋肉に送られる「動かすための信号」を一時的に伝わりにくくし、筋肉の動きを抑える。従来のA型ボツリヌストキシン製剤では、投与後数日から1週間以内に目立った効果が現れ、通常は3〜4カ月程度続くとされる。これに対して、今回承認されたE型製剤は、効果が速く現れる一方、比較的早く消える点が特徴となる。

 承認の根拠となったのは、成人725人が参加した2件の臨床試験だった。

 対象は、眉を強く寄せたときに目立つ眉間のシワ(中等度から重度とされている)が、心理面に大きな影響を与えている成人だった。

 参加者は、実際の製剤を含んだ注射を受けるグループと、薬の成分を含まない注射を受けるグループに分けられた。医師も参加者も、どちらの注射を受けたか分からない状態で効果を比較した。

 治療では、眉間周辺の5カ所に注射した。投与から7日後に、眉を寄せたときのシワが治療前よりどの程度改善したかを、医師と参加者本人がそれぞれ評価した。

最短8時間で変化、効果は2〜3週間

医療従事者が女性の眉間付近に注射を行っている様子。

Boeyは眉間周辺の筋肉の動きを一時的に弱め、眉を寄せたときのシワを目立ちにくくする製剤として承認された。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • 最短8時間で効果→ 注射後早ければ8時間で変化が現れ、7日後に効果が最も強くなった。
  • 通常2〜3週間で元に戻る→ 従来のA型より作用期間が短く、仕上がりを短期間だけ試したい人の選択肢になり得る。
  • 短期型でも慎重な使用が必要→ まぶたや眉の下がりなどの副作用があり、専門知識を持つ医師の管理下で使う必要がある。

 2件の試験では、製剤の効果は最短で注射から8時間後に確認され、7日後に最も強くなった。その後、眉間のシワは通常2〜3週間で治療前の状態に戻った。

 速く効き始める一方で、効果が長く残らないことが、従来品とは異なる大きな特徴となる。

 注射から7日後、眉間のシワが治療前より2段階以上改善した人の割合は、医師の評価では2件の試験でそれぞれ72.1%と73.6%。参加者本人の評価でも61.0%と67.9%。いずれも薬の成分を含まない注射を受けたグループを大きく上回った。

 自然な見た目になったことについて「満足」または「非常に満足」と答えた人は、それぞれ77.7%と86.0%に上った。眉間のシワによる見た目や心理面への影響が改善した人も、2件の試験で61.9〜66.6%となった。

 一方、効果が短いからといって、短い間隔で繰り返し注射できるわけではない。欧州の製品情報では、一定の間隔をあけて使用するよう定められている。6週間未満の間隔で繰り返し投与した場合の安全性や有効性は評価されていない。

 注射は、顔の筋肉や神経の位置、ボツリヌス療法について専門的な知識を持つ医師が行う必要がある。

 臨床試験では、まぶたが下がる、眉が下がる、眉尻が不自然に上がるといった副作用が報告された。いずれも起きた割合は1%未満だった。

 また、ボツリヌストキシンの作用が注射した場所以外に広がった場合、筋力の低下や、飲み込みにくさ、話しにくさ、呼吸のしづらさなどが起こる可能性がある。効果が短期間であっても、医師の管理の下で慎重に使うことが重要となる。

 なお、日本では2025年11月に承認申請されている。

 美容医療に関心があっても、仕上がりが長く続くことに不安を感じ、治療をためらう人もいる。今回の製剤は、まず短期間だけ変化を試したい人や、特定の予定に合わせて一時的な効果を求める人にとって、新たな選択肢になる可能性がある。

参考文献

Allergan Aesthetics receives approval for Boey® (trenibotulinumtoxinE), for use in Europe
https://news.abbvie.com/2026-07-17-Allergan-Aesthetics-receives-approval-for-Boey-R-trenibotulinumtoxinE-,-for-use-in-Europe-the-first-and-only-rapid-onset,-short-duration-neurotoxin-for-the-temporary-improvement-of-frown-lines-in-adult-patients

米国で新登場へ、短期型のボツリヌス製剤、初心者向けの選択肢にも、効果が8時間で現れ、2~3週間持続の「TrenibotE」、アラガン・アステティックスが承認申請を報告
https://biyouhifuko.com/news/world/12442/

ボツリヌス療法の「200年の歴史」とは?
https://biyouhifuko.com/news/world/5258/

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ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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