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専門医のアドバイス!米国皮膚科学会認定皮膚科医が教える、顔のシワのフィラー治療でより良い結果を得るための5つのヒント

カレンダー2023.3.31 フォルダー 海外

ポイント

  • 顔のシワへのフィラー治療とは、ヒアルロン酸などの充填剤を皮下に注入するシワ消し法
  • 皮膚科の専門医は安全かつ効果的にフィラーを皮膚に注入するための知識を持つ
  • 治療後は、スキンケアや次の来院などについて医師の指示に従うことが重要

より良い結果を得るのは?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 顔のシワを減らす方法の一つに、フィラー治療がある。これは、ヒアルロン酸などを皮下に注入し、肌をふっくらと滑らかに見せるというもの。日本では、顔のシワへのヒアルロン酸やその他の吸収性フィラーは、「希望があれば弱く推奨する」とガイドラインで示されている。顔のシワへのフィラー治療は、即効性があり、手術の必要がないため人気がある。米国皮膚科学会のウェブサイトでは、米国皮膚科学会認定の専門医が、日本でも役立つかもしれない、フィラー治療で良い結果を得るための5つのヒントを紹介している。

米国の皮膚科医が5つのアドバイスを示す

皮膚科医の助言とは?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 フィラー治療は、手術を必要としない分だけ「受けやすい施術」として一般に認識されているかもしれない。確かに顔の皮膚の下にフィラーを注射器で注入する施術なので、傷跡はほとんど残さず、一定の時間が経過した後に比較的早期に効果が現れる。しかし、手軽に見える施術においても副作用を伴うケースが報告されており、受ける際には慎重に検討する必要がある。

 米国ジョージ・ワシントン大学の米国皮膚科学会認定専門医で、臨床准教授であるエリザベス・タンジ氏が、フィラー治療でより良い結果を得るための5つのコツを米国皮膚科学会ウェブサイト上で紹介している。なお、米国皮膚科学会では、運営するウェブサイトにおいて一般の人々にも参考になる医療情報を継続的に提供している。

 タンジ氏が示したフィラー治療で良い結果を得るための5つのコツは次の通りだ。

  • 治療を行う医師は、皮膚科の専門資格を持った人物を選ぶこと。
  • どのような効果が期待できるか知るために、医師にはフィラー治療を受けた他の人の写真を見せてほしいと頼むこと。
  • フィラーを受ける前に必ず医師に自分自身の健康情報を提供すること。
  • 自分の外見に満足していたときの写真を持参すること。医師はあなたがどうなりたいのか理解できる。
  • 治療後は医師の指示に従うこと。

良いフィラー治療のための専門医選び

医師の指示には従うのが重要。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 「フィラー治療を受ける際には、皮膚科の専門資格を持つ医師を選ぶことが重要」とタンジ氏。その理由は、皮膚科の専門資格を持つ医師は、安全かつ効果的にフィラーを皮膚に注入するための訓練を受けているから。そのためタンジ氏は資格と経験のある皮膚科医を検索することを勧める。また、米国では医療機関以外の場所で施術される事例が問題になっているようで、タンジ氏は医師資格のない人に施術させることは危険だと警告している。

 日本でも、医療法に基づいて皮膚科専門医は自分の資格を宣伝することができることになっている。フィラー治療を受けるときには、施術を担当する医師が皮膚科専門医の資格を持つ医師であるか参考にしてよいかもしれない。日本には美容医療診療指針というガイドラインがあるが、専門医であればそうした点も熟知していると考えられる。

 このほかタンジ氏からのアドバイスとして、フィラー治療を受ける際には、施術を受けた他の人の写真を医師から見せてもらうことが大切だとしている。他人の写真を見ることで、そもそも自分がどんな効果を期待しているのか認識することができる。「これらの写真は、医師のウェブサイトに掲載されていることもあります」(タンジ氏)。

 日本の医療広告ガイドラインでは、ビフォーアフター写真の掲載する際には、「術前または術後の写真に通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、治療等の主なリスク、副作用等に関する事項等の詳細な情報を付すことにより広告が可能」とされている。このような条件の下で広告された写真を参考にすることは可能だろう。加えて受診したときに信頼の置ける医師から写真を見せてもらいながら説明を受けることも重要だろう。

 また、タンジ氏は、フィラーを受ける前に必ず自分の健康情報を医師に伝えるよう忠告する。「これには服用中の薬やアレルギーの有無、冷え症の有無など、さまざまな情報が含まれます。また以前に他の美容医療を受けたことがあるかどうかも医師に伝えてください」(タンジ氏)

 このほか自分の外見に満足していた頃の写真を持参すると、医師があなたの目指す見た目が分かるという。「そうすることで医師はあなたが何を望んでいるのか、どうすればそれを実現できるのかを理解しやすくなります」(タンジ氏)

 治療後は、肌のお手入れの仕方や経過観察のためにいつ来院するかなど、医師の指示に必ず従うのも欠かせない。「医師は、あなたの肌がより良く最も美しく見えるようアドバイスしてくれます。また、いつまた受診すべきかも教えてくれます」(タンジ氏)。治療後は、必ず医師から言われたことを実行するのが重要だ。

 タンジ氏は、フィラー治療は手術をしないが、あくまで医療行為であると強調する。「見た目をより良く見せることばかりに気持ちが向かって、それが重大な医療行為であると忘れてしまうことがあります。だからこそ皮膚科専門医のように治療を熟知した医師を選ぶことがとても重要。安全かつ効果的に治療できているか確認できます」(タンジ氏)

 以上は、米国皮膚科学会の認定専門医によるフィラー治療を受ける際のヒントだが、ここまで見てきたように日本でも参考にできる部分はありそうだ。

参考文献

日本美容医療診療指針(令和3年度改訂版)
https://jsprs.or.jp/member/committee/wp-content/uploads/2022/10/31_biy_kai_2.pdf

How to get the best results from fillers(American Academy of Dermatology)
https://www.aad.org/news/how-to-get-the-best-results-from-fillers

医療広告規制におけるウェブサイトの事例解説書(第2版)
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001050010.pdf

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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