進化するニキビケア、複数の塗り薬で効果的に治す、米国皮膚科学会が最新ガイドライン

ポイント

• 米国でニキビ治療の最新ガイドラインが発表された。
• 複数の塗り薬の組み合わせ、抗生物質の使用制限などが提示された。
• 日本にそのまま適用することはできないが、治療を考える参考になりそうだ。

気になるニキビ。写真はイメージ。（写真／Adobe Stock）

　2024年1月31日、米国皮膚科学会はニキビ治療の最新ガイドラインを発表した。

強く推奨される薬を示す

ニキビのケア。写真はイメージ。（写真／Adobe Stock）

　ニキビは美容医療にとっても身近な問題。米国でも一般的な皮膚疾患の一つで、年間約5000万人が悩まされているという。特に思春期に問題になりやすいが、女性の場合には成人になっても続くことがあると学会は指摘する。

　今回発表された新しいガイドラインで強く推奨された治療は次の通り。

• 過酸化ベンゾイル外用薬 → 皮膚上のニキビ原因菌を減少させるために使用される。
• レチノイドの種類（アダパレン、トレチノイン、タザロテン、トリファロテン）→ 毛穴の詰まりを取り除き、炎症を抑えるために使用される。
• 経口抗生物質（ドキシサイクリンなど）および外用抗生物質 → 皮膚上のニキビ原因菌の量を減らし、炎症を抑えるために使用される。
• 過酸化ベンゾイル、レチノイド、抗生物質の組み合わせ → これらの成分の外用剤を組み合わせることで、ニキビ治療の効果を高めることができる。

　過酸化ベンゾイル外用薬は日本の商品名は「ベピオ」。レチノイドや抗生物質も含めて一般に使われている。このような米国の強い推奨は日本でも参考にできる部分はある。

5つのベストプラクティス

ニキビを治すには？写真はイメージ。（写真／Adobe Stock）

　その上でニキビ治療について5つの「ベストプラクティス」が示されている。

• 複数の塗り薬によるニキビ管理 → 異なる塗り薬を組み合わせる。
• 抗生物質の使用制限 → 薬が効かない菌（耐性菌）を防ぐため、抗生物質の飲み薬を減らす。
• 耐性菌の防止 → 耐性菌を防ぐため、過酸化ベンゾイルと抗生物質を一緒に使う。
• 大きなニキビへの対応 → 大きなニキビがある場合、炎症と痛みを迅速に緩和するため、副腎皮質ステロイドを注射。
• 重症のニキビへの対応 → 重症のニキビ患者や、他の治療が効かなかった患者には、イソトレチノインを使う。

　加えて、個々人に合わせた治療アプローチも重要で、ホルモンの原因への対応、毛穴の詰まり除去、皮膚の菌のコントロールなど、症状に応じた治療の選択が勧めている。

　一方で、ケミカルピーリング、レーザー、マイクロニードルの活用、食生活の改善、ビタミンなどについては、科学的な根拠が不十分だったという指摘もされている。

　今回発表されたのは米国のガイドラインであり、そのまま日本に当てはめられない可能性もあるが、最近の治療を考えるときの参考になりそうだ。また、日本でも日本皮膚科学会が、「尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023」を発行している。ニキビの治療は日々新しい研究が進められており、今後もさらなる効果的な治療方法が明らかになってくることが予想される。

参考文献

American Academy of Dermatology issues updated guidelines for the management of acne
https://www.aad.org/news/updated-guidelines-acne-management

尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/zasou2023.pdf

男性看護師座談会 Vol.２ 「美容クリニックで人気！トライフィル　ぱちキワ　ミラノピールってどんな施術？」
https://biyouhifuko.com/news/column/4961/

女性のしつこいニキビに画期的な研究結果、ガイドラインにも影響？
https://biyouhifuko.com/news/research/1521/

さよならニキビ、「超音波」＆「マイクロニードル」が肌を美しくする救世主に？
https://biyouhifuko.com/news/research/2318/

ニキビ、酒さ、肝斑の改善に注目される「アゼライン酸」、最新の美容皮膚科研究が明かす効果
https://biyouhifuko.com/news/research/2880/

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