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英国政府がAGA薬フィナステリドに副作用の「警告カード」導入、うつ病や性機能障害などを問題視、男性の美容医療で一般的な薬

カレンダー2024.5.15 フォルダー 海外
男性の美容医療と関連。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

男性の美容医療と関連。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 英国政府が2024年4月に、男性型脱毛症(AGA)や男性の前立腺肥大症に使われている薬、フィナステリド(商品名プロペシアなど)のメンタルヘルスや性機能障害の副作用について認識を高めるために、「患者警告カード」を導入する方針を発表している。

 美容医療分野で広く処方されている薬であり、日本でも注意が必要だろう。

本人も気が付いていない可能性

メンタルヘルスの問題が起こる可能性がある。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

メンタルヘルスの問題が起こる可能性がある。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 発表元→英国医薬品・医療機器規制庁(MHRA)
  • フィナステリドの副作用→精神的健康と性機能障害のリスクを確認
  • 用途→男性型脱毛症と前立腺肥大の治療薬として使用
  • 持続する副作用→抑うつ、うつ病、自殺念慮、性機能障害などが薬の中止後も続くことがある
  • 患者警告カードの導入→副作用の認識を高めるために導入予定。服用者が気分の変化に気づきにくいため、家族や友人も閲覧を推奨
  • 対処法→うつ病や自殺念慮の経験がある場合は処方時に申告し、副作用発生時には直ちに薬を中止し医療関係者に相談を

 発表元は英国医薬品・医療機器規制庁(MHRA)で、フィナステリドの安全性を検討した結果として、精神的な健康や性機能障害のリスクがあることを確認。薬を服用している男性に注意を求めることになった。

 同庁は、副作用の認識を高めるため患者警告カードの導入を予定していると説明している。薬を使っている本人が気分の変化に気付かないこともあることから、患者警告カードやリーフレットを友人や家族に見せることも推奨する。

 医療関係者に対しても、副作用に一層注意するように求める。

 フィナステリドは、男性型脱毛症のほか、前立腺肥大の薬として使われている。副作用として、抑うつ、うつ病、自殺念慮、性機能障害(性欲減退、勃起不全、勃起維持不全)を起こす可能性がある。フィナステリドを中止した後にもこうした副作用が続くこともあるが、このような副作用については認識が不足しているという。

 同庁では、フィナステリドを処方してもらう本人がうつ病や自殺念慮を経験したことがある場合、それを医師などに伝えるべきだと求めている。また、薬の服用中にうつ病や自殺念慮の副作用が現れた場合、直ちに薬を中止するように強調しており、勃起不全など性機能障害の副作用が出た際にも医療関係者に相談するよう伝えている。

副作用報告する「イエローカード」の仕組み

英国ではイエローカードのウェブサイトから副作用の報告が簡単にできる。(出典/英国医薬品・医療機器規制庁)

英国ではイエローカードのウェブサイトから副作用の報告が簡単にできる。(出典/英国医薬品・医療機器規制庁)

 同庁チーフ・セーフティー・オフィサーのアリソン・ケイブ氏は、次の4点についてのコメントを寄せている。英国では、イエローカードと呼ばれるウェブサイトで薬の副作用を簡単に報告できる仕組みがある。問題が起きた場合には、この仕組みを通して報告してほしいと説明する。

  • 医薬品情報の重要性→患者が服用している医薬品に関する重要な情報を十分に理解する
  • 患者警告カードの導入目的→新たに導入される患者警告カードは、フィナステリドの服用者に精神医学的および性的な副作用のリスクについての認識を高めることを目的としている。
  • 副作用時の対応→フィナステリドを服用中にうつ病や自殺念慮が現れた場合、または性機能障害が心配される場合は、直ちに治療を中止し、医療機関に相談すること。
  • リーフレットと報告義務→フィナステリドの服用方法や副作用に関する重要な情報は、薬に添付されたリーフレットに記載されている。服用中に副作用が疑われる場合は、MHRAイエローカード・スキームを通じて報告すること。

 同庁によると、24年4月5日までに、フィナステリドと抑うつの気分障害、自殺・自傷行為との関連について281件の報告がイエローカードのウェブサイトを通して行われた。大部分は抑うつの気分障害で、自殺行為は14件。426件の性機能障害の報告も受けている。

 日本でもフィナステリドは一般的な薬。このような副作用は理解しておくと良さそうだ。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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