美容医療の利用者は施術頻度や関心分野に基づき大きく6つに分類できるという見解が示された。
2024年7月に、コンサルティング会社のボストンコンサルティンググループ(BCG)が報告した。
6つの美容医療利用者ペルソナ
BCGによると、美容医療の利用者は次の6つのペルソナに分類されるという。各グループは施術の頻度やニーズが異なるため、それに応じた美容医療が求められるとされている。
上の図を引用しているが、BCGでは、美容施術に関心を持つ人たちを、1年間に利用する施術の数などで分けている。「The Beauty Routiner」「The Reluctant Ager」「The Glam Extrovert」「The Deal Hunter」「The One-Timer」「The Growth Catalyst」とあるが、ヒフコNEWSでは、BCGが英語で示した6つのペルソナを次のように表現した。
まず、いっさい施術を受けない「潜在的な利用者(The Growth Catalystを意訳、以下同)」、1回だけ施術を受ける「1回限りの利用者(The One-Timer)」、2回以上施術を受ける「コスパに敏感な利用者(The Deal Hunter)」「若い経済的に余裕のある利用者(The Glam Extrovert)」「老化を気にする利用者(The Reluctant Ager)」「定期的な美容施術の利用者(The Beauty Routiner)」。それぞれの特徴を含めて表にまとめると次のようになる。
利用者ペルソナ | 特徴 | 主に受ける施術内容 | 主なニーズ |
---|---|---|---|
潜在的な利用者 | まだ施術を受けたことがないが、今後美容医療に関心を持つ可能性がある若者層 | なし | 価格、知識を増やすこと、安全性への懸念 |
1回限りの利用者 | 1回のみ施術を受け、再度利用することに慎重な利用者 | レーザー脱毛、神経毒素注射 | 必要性への疑問、不自然さへの懸念 |
コスパに敏感な利用者 | 世代を問わず、価格重視でキャンペーンやプロモーションを活用する利用者 | 割引やキャンペーン次第 | 価格重視、利便性 |
若い経済的に余裕のある利用者 | 高収入の都市部在住のミレニアル世代で、美容トレンドに敏感。頻繁に施術を受ける利用者 | エネルギー系デバイス、注入系の施術 | 安全性、トレンド意識 |
老化を気にする利用者 | 都市部に住むX世代やミレニアル世代で、老化をコントロールしたいと考える利用者 | ボツリヌス療法、エネルギー系デバイス、フィラー | 結果へのこだわり |
定期的な美容施術の利用者 | 中年層(主にX世代やベビーブーマー世代)で、定期的にアンチエイジング施術を受ける利用者 | ボツリヌス療法、フィラー | 安全性 |
BCGによると、世界のどの国も美容施術を受けたことがある人の割合は、中国を除けば、一桁パーセントの国がほとんどだと示している。潜在的な利用者が多いという見立てを示す。
美容医療の安全性は大前提
BCGの報告によれば、今後の美容医療市場は堅調に成長を続ける見通しが示されている。ボツリヌス療法やフィラーなどの注入系の施術が若年層を中心に、予防的な施術として需要を拡大させると予想している。非外科的治療などの人気で、28年までに世界の美容医療市場は約270億ドル(日本円で約4兆円)に達するとの予測を示している。日本では1回限りの利用者が増えると見る。日本では、利用者の不安を取り除く必要性があるという見解だ。
ヒフコNEWSで紹介しているように、他の主要コンサルティング会社も同様に美容施術の見通しを分析している。マッキンゼーは24年2月のレポートで、ヒアルロン酸フィラーからバイオスティミュレーターへの移行や、TikTokフェイスといったトレンドの変化に注目している。マッキンゼーによると、ヒアルロン酸フィラーを過度に使用することによる「フィラー疲れ」が顕著になり、より自然な仕上がりを目指すバイオスティミュレーターへのシフトが見られている。また、SNSの影響力が大きくなり、特にTikTokが美容医療のトレンドに与える影響も拡大しているとの指摘がある。
さらに先を見ていくと、日本をはじめアジアの国々では、アジアの美容医療トレンドへの注目は見逃せない。23年11月に開催された「AMWC Japan」国際会議では、アジア人の顔立ちに合った注入治療やデバイス治療のポイントが議論された。
アジア人特有の美的感覚を重視し、欧米風の顔立ちに近づけるのではなく、アジア人の特徴を生かした施術法が進化していることが強調された。
一方で、日本では美容医療に関連したトラブルが大きく注目されている。人気が高まる中で、いかに安全な施術を実現していくかは大前提だ。