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アジア美の最新トレンド、注入治療とデバイス治療のポイント、美容医療とアンチエイジングの国際会議を振り返る

カレンダー2023.11.20 フォルダー 国内

ポイント

  • 美容医療とアンチエイジングの国際医学会「AMWC Japan」の2日目が開催された
  • 注入治療やデバイスの使い分けについて国内外の専門家が実践や研究について解説
  • 顔の形やライン、輪郭を意識した注入治療により美しい顔を目指す考え方などが示された
京都市の国立京都国際会館で開催された。(写真/編集部)

京都市の国立京都国際会館で開催された。(写真/編集部)

 2023年11月19日、京都市で開催された美容医療とアンチエイジングの国際医学会「AMWC Japan」の2日目が行われた。この日、国内外の専門家が、注入治療やデバイスの選択について、自身の実践や研究について説明し、意見交換した。

アジア人を欧米人に近づけるのではない施術

AMWC Japan会場に設置されたプログラム案内。(写真/編集部)

AMWC Japan会場に設置されたプログラム案内。(写真/編集部)

 2日目の午前には、「私のヒアルロン酸注入治療テクニック」というテーマで講演が行われた。オーストラリアSHAPE CLINICの創設者であるSteven Liew医師は、理想的な顔の形が楕円形であると説明した。また、顔の下半分が顔の形を決定する重要な要素であることを指摘。彼は、あごの周りにヒアルロン酸を3カ所注入することで、顔の下半分の印象を変える方法を詳しく解説した。個々のあごの形に合わせて、あごを前方に突き出す、あごの長さを調整する、あごの幅を広げるという効果を目指すことになり、それらを実例に交えて示した。

 さらに、台湾のMilano ClinicメディカルディレクターであるFang-Wen Tseng医師は、額へのヒアルロン酸注入についての講演を行った。額には「眼窩上動脈」と「滑車上動脈」という血管など、網の目のように血管が走っているため、これらの血管を避けながらいかに額のくぼみを効果的に改善することになる。ヒアルロン酸により血管を詰まらせると、失明を含めた重大なトラブルにつながる可能性もある。彼は動画を示しながら適切な施術の方法について詳しく解説した。

 韓国VOS Dermatology Clinic創設者のHong Seok Kim氏と、イタリアのベローナ大学教授であるDario Bertossi氏は、異なる人種によって好まれる顔の形が異なることを指摘した。例えば、アジア人の場合は、欧米人と比べて顔の形が丸みを帯びていることが好まれる傾向があるという。アジア人を欧米人に近づけるように施術するのではなく、アジア人に合った注入治療の重要性が求められているようだ。

3つの「O」を意識

気になる顔のたるみ。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

気になる顔のたるみ。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 「機器治療の最新トレンド」というテーマの講演も行われた。東海大学形成外科教授の河野太郎氏が、タトゥー除去について説明した。タトゥーの色により、適切なレーザーの波長が異なることをデータを示しながら説明した。また、ピコ秒レーザーの使用することで、ナノ秒レーザーよりも良い結果が得られるケースを説明。フラクショナルレーザーの組み合わせについても効果的であると情報提供した。

 土屋すなおクリニック(京都市下京区)院長の土屋沙緒氏は、たるみやシワを改善するための非外科的治療の使い分けについて説明した。特に、SUPB(Synchronous Ultrasound Parallel Beem、同時並行型超音波ビーム)の効果に焦点を当てた。彼女は、脂肪のボリュームが少ない人にとって、HIFU(集束超音波治療)やRF(高周波、ラジオ波)は使いにくいが、SUPBは適している可能性があることを説明した。また、SUPBの痛みについてもHIFUやRFと同程度であることを示し、新しい選択肢として考えられると示した。

 午後の「明日の診療に役立つコンビネーション治療の最適化」をテーマにした講演では、オーストラリアのSteven Liew医師が、顔の理想的な形について3つの「O」を重要視していることを説明した。具体的には、「Oval(卵形の顔)」「Ogee(S字カーブを示す自然な顔のライン)」「Angle Of Beauty(正面から見た輪郭の横の線の傾きが9~12度であることが理想的)」である。Angle Of Beautyの角度が小さいと、顔が四角く見えることを示し、これらの要素を考慮して注入施術を行っていることを述べた。

 今泉スキンクリニック(東京都港区)院長の今泉明子氏は、架橋型ヒアルロン酸を使用した皮膚の若返りについて、実際のケースを基に解説した。肌の外見に影響を及ぼす主要な要因はエイジングがあるが、肌が薄くなったりヒアルロン酸が減ったりする変化が背後にある。架橋型ヒアルロン酸の注入によって、肌のトラブルを改善するアプローチについて写真を示しながら解説した。

 講演内容はさまざまだったが、日本人を含めたアジア人の美容医療は、アジア人らしい美しさを実現する方向で進化していることがうかがわれる。

参考文献

PRPや若返り研究など進化、美容医療とアンチエイジングの国際会議、京都で開催
https://biyouhifuko.com/news/japan/4392/

看護師覆面座談会vol.2 「ヒアルロン酸注入!ちょっと待って!その成分本当に大丈夫?成分を確認する方法」
https://biyouhifuko.com/news/column/2521/

ヒアルロン酸などフィラー治療のトラブル防ぐ秘訣とは?第111回日本美容外科学会でシンポジウム
https://biyouhifuko.com/news/japan/1370/

ヒアルロン酸フィラーの溶けやすさは?米国皮膚科学研究で示されたヒアルロニダーゼの実験結果
https://biyouhifuko.com/news/research/2865/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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