肌状態を改善して美肌へと導く「ピーリング」は、数ある美容医療の中でも比較的手軽に受けられるので、大人気です。美容クリニックデビューにぴったりの施術でもあります。
ピーリングにはいろいろな種類があり、それぞれ「得意なこと」があります。それを知ることが、お肌の悩み改善、美肌実現への近道になります。
「ピーリング」大きく分けて3種類
ピーリングは、作用の違いで、大きく3種類に分類されます。
酸性の薬剤を塗って角質を溶かす「ケミカルピーリング」
肌に酸性の薬剤を塗って、余分な角質を溶かします。毛穴をつまらせている角栓や表面に溜まった角質が除去されて、キメが整った透明感のある肌になる効果が期待できます。
マシンのパワーを利用する「マシンを使ったピーリング」
水流の力で毛穴の中の汚れを洗い流すハイドラフェイシャル、レーザーの熱反応で角質を剥すレーザーピーリングなどです。毛穴汚れを取り除いて、さらに毛穴を引き締める効果があると言われています。
薬剤を浸透させて真皮層の細胞を刺激する「浸透型ピーリング」
肌の奥、真皮層まで浸透する薬剤を塗ります。真皮層で繊維芽細胞が刺激されて新たなコラーゲンを生むことから、肌のハリやツヤの改善といった効果が期待されます。
種類 |
ケミカルピーリング |
マシンを使ったピーリング |
浸透型ピーリング |
作用 |
酸で古い角質を剥離。 |
マシンによって、水流の力やレーザーの熱を利用して角質を剥離。 |
薬剤を肌に浸透させて、コラーゲンブースター効果で皮膚の深層から表皮の再生を促進する。 |
メニュー |
グリコール酸 乳酸(ミルクピール) など |
ハイドラフェイシャル レーザーピーリング |
マッサージピール ミラノリピール リバースピール |
メリット |
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お悩み別・適したピーリングを解説
3種類のピーリング、美肌をつくるという目的は同じですが、効果にちょっと違いがあります。それぞれのピーリングが得意とすることがわかれば、肌悩みに合ったピーリングを選ぶことができます。
ざらつきやニキビにはケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、肌の表面に溜まった古い角質を取り除いて、ターンオーバーを促進することが目的の施術です。
肌にグリコール酸、サリチル酸マクロゴールなどの酸性の薬剤を塗って、5分ほどおきます。酸の力が肌表面の余分な角質を溶かして、肌は文字通り「一皮むけた」状態になります。この時、ムズムズ、ピリピリするような刺激を感じることもあります。その後、洗顔や拭き取りで薬剤を取り除き、マスクでクーリングしたり、ローションで保湿したり、といったアフターケアを行います。
古い角質が取り除かれて、肌がつるつるとなめらかになるのを実感できるでしょう。角質のバリア機能が弱まっているため、術後は乾燥に要注意です。普段以上に保湿を心がけましょう。
適切な間隔で繰り返し施術を受けることで、徐々に肌のキメが整い、くすみが取れて透明感が出ます。ビタミンCやトラネキサム酸、プラセンタのイオン導入を同時に行うと、更なる美肌効果が期待できます。
毛穴に詰まった汚れが取り除かれて毛穴からの脂の排出が進むので、ニキビ肌の改善効果が高いのも特徴です。ザラザラとした白ニキビ肌がなめらかになることが期待できます。ただし、炎症を起こして赤くなっているニキビには刺激が強いので、注意が必要です。
薬剤の種類 |
グリコール酸 |
サリチル酸マクロゴール |
メリット |
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デメリット |
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治療間隔 |
2週間に1回 |
4週間に1回 |
費用の目安 |
顔全体で |
顔全体で |
毛穴の汚れ、開きにはマシンを使ったピーリング
ハイドラフェイシャル
ハイドラフェイシャルは、渦巻き状の強力な水流で、肌の汚れの除去と美容成分の導入を同時に行う施術です。
使用する専用の薬液には、抗酸化物質やヒアルロン酸といった美容成分がたっぷり含まれています。この薬液を渦巻状の強力な水流にして、皮膚表面に溜まった角質や毛穴の汚れを軟化し、肌に圧着させたハンドピースで吸引することで汚れを除去します。
次に、グリコール酸とサリチル酸をミックスした肌に優しいピーリング剤を塗布します。余分な角質や毛穴の奥の汚れを溶かして浮き上がらせ、専用のチップで磨くようにして剥がし取ります。剥がれた汚れは水流によって吸引・排出されます。
ここまでで肌のザラつきや毛穴の汚れは取れて、同時に保湿もされているので肌の質感はツルっとなめらかになります。ここに抗酸化物質や保湿成分、ペプチドや肌を落ち着かせる鎮静成分が含まれた美容液を導入することで、しっとりとした更なる美肌効果が期待できます。
施術にかかる時間は、20~30分ほどです。ハンドピースの先端についたチップで物理的に削るため、おでこなどの骨に近い部分では痛みを感じることもあります。
施術直後に肌の潤いUPやツルツル感が得られて、効果はケミカルピーリング+イオン導入を上回る、という声も多く聞かれます。1回の施術で十分に効果を感じることができますが、美肌維持のためには月に1回のペースで継続すると、なお良いでしょう。
ハイドラフェイシャルの治療が受けられる全国の美容クリニック一覧
レーザーピーリング
レーザーピーリングは、レーザーの熱反応を利用して古い角質を剥したり、毛穴の汚れを取り除いたりする施術です。
黒いカーボン粒子を含んだジェルを肌に塗り、5分ほどおいて肌に黒い色素を浸透させます。このカーボン粒子はメラニン色素と同じくらいに微細なもので、毛穴の中にも入りこみます。ここにQスイッチYAGレーザーを照射すると、レーザーの光がカーボン粒子に吸収され、カーボン粒子が一瞬にしてはじけ飛びます。この時、カーボン粒子と同時に古い角質や毛穴の汚れも一緒に弾き飛ばされることで、ピーリングの効果が得られます。痛みは殆どないと言われていますが、カーボン粒子を弾く際にパチンという刺激や熱感を感じることがあります。
カーボンジェルをすべて弾き飛ばしたら、肌をクーリングして鎮静させ、その後十分に保湿します。施術時間は20~30分ほどです。
古い角質や汚れが無くなることで、1回の施術直後から肌がなめらかに、明るくなるのを実感できるとされています。レーザーの熱でコラーゲンやエラスチンの生成も活性化するため、毛穴がキュッと引き締まり、肌のハリ感UP効果も期待できます。レーザーの熱殺菌効果と、毛穴が雑菌の溜まりづらいキレイな状態になることで、ニキビの改善・予防にも効果が期待できます。
1か月に1回の施術が、肌状態の維持には効果的です。
施術 |
ハイドラフェイシャル |
レーザーピーリング |
効果・用途 |
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毛穴汚れ除去・毛穴引締め |
メリット |
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デメリット |
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費用の目安 |
16,000~28,000 |
15,000~38,000 |
年齢肌には浸透型ピーリング
浸透型ピーリングは、真皮層まで浸透するトリクロロ酢酸 (TCA)によって繊維芽細胞を刺激して、コラーゲンの生成を促進する最新の美肌術です。
TCAは、真皮層まで到達する浸透力でピーリング効果と皮膚再生効果が高いのが特徴ですが、強力な剥離作用があるため、術後のかさぶたや赤みといったダウンタイム、色素沈着といったリスクが高く、これまで積極的に使用されてきませんでした。
このTCAに他の成分を配合して、真皮層まで作用する効果はそのままに、肌への刺激を抑えたものが、浸透型ピーリングに用いられる薬剤です。
TCAに刺激された繊維芽細胞がコラーゲンやエラスチンの生成を促進することで、肌の再生が進んで、肌のハリやツヤのUP、たるみや小じわの改善といった年齢肌を改善する美肌効果が期待できます。
現在、3種類の浸透型ピーリングがあります。
施術 |
マッサージピール |
リバースピール |
ミラノリピール |
特徴 |
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効果・用途 |
ハリ・ツヤ・美白 |
肝斑改善 |
ハリ・ツヤ・小じわ |
メリット |
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デメリット |
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費用の目安 |
15,000~20,000 |
20,000~25,000 |
15,000~20,000 |
マッサージピール
「PRX-T 33」という薬剤を顔全体にマッサージしながら塗り込み、浸透させる施術です。
この時、針で肌に微細な穴を開け、そこから薬剤を直接肌の中に入り込ませる「ダーマペン」という施術と併用すると、肌自身が穴を修復しようとする働きと、TCAの繊維芽細胞活性化の働きの相乗効果で、ワンランク上のエイジングケアが期待できます。
ハリ・ツヤ・美白だけでなく毛穴も引き締まり、またニキビ痕の改善にも有効とされ、施術後の肌がまるでヴェルベットのように柔らかくなめらかになると、
「ヴェルベットスキン」という名前で、美容に意識の高い人たちから注目を集めています。
リバースピール
マッサージピールを肝斑専用に改良したものです。3種類の薬液を順に塗布します。
- TCA、過酸化水素、コウジ酸が真皮の深層部に浸透。コラーゲンを活性化し、メラニンを抑制。
- 濃度78%の乳酸が、表皮をピーリングしつつ表皮深部のメラニンを除去。
- ヒドロキシ酸(グリコール酸 20%、マンデル酸 20%、サリチル酸 10%)が表皮の不要な角質を除去、肌表面を滑らかにする。
リバースピールでは、真皮の深部から表皮にむかってピーリング・薬剤浸透することで、皮膚の色素沈着や肝斑によるメラニンの滞留を劇的に改善できるとされています。マッサージピールのコラーゲン再生効果と肝斑改善効果が同時に得られる、一石二鳥の施術です。
ミラノリピール
TCAの濃度が35%と最も高く、その分コラーゲンの再生効果も高いのに、肌への刺激は比較的マイルドな施術だと言われています。
特殊な製法で配合されたアルギニンや水酸化ナトリウムがTCAを含む5種の酸の刺激から肌を保護し、アミノ酸やビタミンがコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促進して、肌にハリや潤いを与えます。
ニキビの発生を抑えて、開いた毛穴を引き締める効果も高いと言われています。
浸透型ピーリングでは、施術直後からハリ・ツヤ・潤いの劇的な改善が実感できるという声が聞かれています。レーザーや超音波などのマシンとは違った効果が得られるということで人気が高まりました。
どの浸透型ピーリングでも、使用する薬剤にはTCAの刺激から表皮を保護するための配合がされていますが、それでもやはり角質を溶かす力は強いので、施術後に赤みやヒリヒリ感が2~3日残ることがあります。乾燥しやすい状態になっているので、十分な保湿を心がけましょう。
また、表皮がむけることもあるので、大事な予定の直前に受けるのは避けたほうがよいでしょう。美肌効果は高いのですが、タイミングを選ぶ施術だと言えます。
コラーゲン再生の効果は一か月ほど続き、ハリ・ツヤや肌触りの良さもその間持続すると言われています。月に一度のペースで定期的に施術すると、美肌維持に効果的です。
まとめ
さまざまなピーリングについてご紹介しました。お悩みに合った種類を選ぶことで、肌が見違えたようになることが期待できます。理想の美肌を目指して、ピーリングデビューしてみませんか?