小顔になりたい!と思ってもセルフケアだけでは難しいのが現実。じゃあいっそのこと美容クリニックで小顔に!と思っても、どの治療を選べばいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか?そもそも、顔が大きいと感じる原因がどこにあるかによって治療法は変わってきます。
そこで、この記事では、顔を大きく見せてしまう原因の一つである「エラ張り」の治療法について詳しく解説していきたいと思います。以前はエラを細くするには「骨切り」のような大掛かりな手術しか方法はありませんでしたが、近年、治療法の選択肢が増えてきています。「エラ張りはどうしようもない…」と半ば諦めかけていた方!まずは試しにセルフチェックをしてみませんか?
エラ張りの原因をセルフチェック
①まずは何が原因なのか確認してみましょう。エラ張りの原因は主に「骨」「筋肉」「脂肪」の3つが考えられます。
奥歯を食いしばるように強く噛みながら「いーっ」と口を横に広げます。
→なにも変わらなければ「骨」が原因
→エラの部分がポコっと膨らめば「筋肉(咬筋)」が原因
②頬を指でつまみます。フェイスラインの皮膚の厚みは3~4mm程度なので、つまんだ際に8mm以上あればその「脂肪」が原因。
骨が原因であれば「骨切り」と呼ばれる骨を削る手術、脂肪が原因であれば「脂肪溶解注射」のような施術が向いています。その中でも咬筋が原因であれば、筋肉の動きを弱めることができる「ボツリヌス(ボトックス)注射」だけで小顔が叶うといわれています。実はエラ張りの原因の多くが咬筋にある、という事はあまり知られていないようです。
なぜボツリヌス(ボトックス)注射が効くの?
咬筋は食べ物を咀嚼するために必要な筋肉なので、食事の際にかなりの負荷がかかるといわれています。筋トレのように、毎日噛むことで咬筋が鍛えられて盛り上がり、歯を食いしばる癖や寝ている間に歯ぎしりの癖がある方は、更に咬筋が大きく発達している傾向にあります。咬筋はなかなか衰えにくい筋肉でもあるため、一旦発達してしまうと自然に小さくするのは難しいようです。
その咬筋を小さくするために、ボツリヌス注射は有効だといわれています。
シワ治療でも特に表情ジワの改善目的で使用されるボツリヌス注射(ボトックス)ですが、咬筋に注射することで、過剰に発達して太くなった筋肉の動きを抑制し縮小させることができると言われています。これは、ボツリヌス製剤の主成分であるボツリヌストキシンが、神経伝達物質である「アセチルコリン」の活動を阻害することで、筋肉の動きを抑制する作用があるからです。
筋肉は使わなくなるとやせ細っていくため、発達した筋肉が細くなることですっきりとしたフェイスラインや小顔効果をもたらすといわれています。ボツリヌス注射に使用されるボツリヌス製剤は、筋肉の緊張をやわらげますが、感覚神経には作用しませんので、しびれなどの副作用は心配ありません。
ボツリヌス注射によるエラ張りの治療について
エラボトックスの治療
エラを小さくするためのボツリヌス注射はアラガン社のボツリヌス製剤を使う場合は「エラボトックス」と呼ばれ、この名称が一般的に広く知られています。実際の治療では、咬筋に片側数か所ずつボツリヌス注射を行うだけで、処置時間は5~10分程度。極細の専用針で注入していくため、我慢できる程度の痛みですが、針が刺入する際の痛みを軽減するために麻酔クリームなどを使うクリニックもあるようです。痛みに弱いなど心配な方は医師に相談してみましょう。注射後2~3日後から薬の効果があらわれ、2週間後くらいが効果のピーク。この時期にはご飯が食べ辛く感じたりすることがあるので注意してください。効果の持続期間は初回で3~4か月程度、最長で6か月ほどといわれていますが、続ける事で筋肉が萎縮して細くなっていくので、小顔の持続時間も長くなっていくようです。
治療後に気を付けることは?
治療後の通院は必要ないようですが、効き方によっては2〜4週間後に追加注入することも。ダウンタイムもほとんどありません。まれに注入箇所に腫れや赤み、内出血が起きる場合がありますが、1週間程度で落ち着き、メイクでもカバーできる程度なのであまり心配しなくてもいいでしょう。
シャワー、洗顔、メイクは当日より可能。ただしボツリヌス製剤は熱に弱いため、体が高温になるサウナや同じ場所へのレーザー治療などは、1~2週間程度控えた方が良いでしょう。治療期間中はなるべくおせんべいのような固い物を食べない、ガムなどを咬む習慣のある方もできるだけ控えて、咬筋を必要以上に使わないように気を付けたいですね。
ボツリヌス注射の効果は?
ボツリヌス製剤を定期的に注射することで効果は長く続くようになり、最長で6か月程度となります。効果が切れるとまた咬筋は太くなってしまいますが、完全に元の太さまで戻る訳ではありません。繰り返し注射することで筋肉そのものが徐々に萎縮していく「廃用性萎縮」という半永久的に筋肉が痩せる効果を得る事ができ、小顔効果が続くようになります。6か月おきに3回程度、その後は気になったタイミングで打つだけで、シャープなフェイスラインをキープできるといわれています。
注入量はどのくらい?製剤を選ぶポイントは?
注入量はエラの張り具合や施術するクリニックによって異なります。ちなみにおでこは3~10単位程度と少なめですが、エラは30~60単位とかなり量が必要になります。
従来のボツリヌス製剤は繰り返し使用すると、中和抗体ができてしまうというデメリットがありました。一度抗体が作られると、効果が出にくい、持続期間が短くなる、などの問題が起きます。これはボツリヌス製剤の複合タンパク質の含有量が原因といわれ、これが多いと体内に中和抗体ができやすくなり、製剤に対して耐性ができてしまうと考えられています。
最近、複合タンパク質の含有量が非常に少ないボツリヌス製剤が開発され、繰り返し使用することが可能になってきました。抗体ができる量は個人差もありますが、累積投与量で2,000~4,000単位とされているため、エラボトックスのように大量の製剤が継続的に必要な場合は、中和抗体ができにくい製剤を選ぶという方法もあります。
中和抗体ができにくい製剤には次のようなものがあります。
以下二つは、現状では、厚生労働省の許可は受けていないので、取り扱っているクリニックは限られています。
ボコーチュア(旧ゼオミン)
ドイツのメルツ社のゼオミンは、複合タンパク質などを極力取り除いた、純度の高いボツリヌス製剤です。通常は抗体ができにくくするために、注入間隔を3か月以上あけて治療する必要がありましたが、ゼオミンは施術後すぐの注入も可能になりました。
さらに従来の製剤は冷蔵・冷凍保管が必要でしたが、ゼオミンは常温保存できるため、温度変化による変性が無く、安定した結果を得ることができます。
効果は3~6か月とされ、費用はアラガン社のボトックスビスタよりもやや高めに設定されていることが多いようで、費用はおよそ30単位で6万円~、50単位以上で11万円~となっています。
コアトックス(CORETOX)
韓国メディトックス社のコアトックスも複合タンパク質を排除しているため、耐性がつきにくく、持続的な注入でも効果が落ちにくいといわれています。
また一般的な製剤は、安定化剤としてヒト血清アルブミンや動物由来物質が使用されているため、まれに発熱、じんましんなどのアレルギー反応が報告されていました。コアトックスはこれらの動物性由来原料を含まず、薬物反応などを最小限に抑えた安定剤を使用しています。アレルギー反応を起こす危険性が少ないと言われているため、アレルギーが心配な方に向いているでしょう。費用はおよそ6万円~くらいのようです。
ボツリヌス治療のメリットは?
切らずにエラ張りを改善
従来の骨を削るような大きな手術は、治るまで長時間のダウンタイムが必要でしたが、注射なので切開することなく症状を改善できる。
周りにばれにくい
筋肉は徐々に落ちていくため、顔痩せの効果を実感するまで時間はかかりますが、反面、変化がゆっくりだからこそ、周囲に悟られることが無いのはメリットといえます。
副次的な改善効果もあり
エラ張りがある方は同時に顎関節症、肩こりなどの症状を持つ方も多く、ボツリヌスはそれらの症状も一緒に緩和してくれます。
ダウンタイムがほとんどない
細い針跡なので当日メイクもOK。個人差もありますが多少の腫れや内出血がある程度で、その日から普通に過ごせます。
半永久的な効果
定期的に1~2年間、ボツリヌス注射を継続することで咬筋の廃用性萎縮が起こり、半永久的な小顔効果が得られるといわれています。
ボツリヌス治療のデメリットは?
継続的な治療が必要
6か月程度で効果が切れて元に戻るため、筋肉が戻りにくくなるまでは定期的に注入が必要。費用は1回数万円ですが、定期的に通うとなると、総額はある程度の金額になってしまいます。
たるみに注意
あまりに咬筋が大きかったり、顔のたるみが強い方には向かない場合もあり医師の診察で適応を見極める必要があります。筋肉が細くなることでボリュームが減ってしまい、たるみが助長され目立つ可能性があるためです。たるみが気になる前、若いうちに治療をしておくことをおすすめします。
妊娠中、授乳中の方は治療不可
ボツリヌス製剤は、妊婦および胎児に対する安全性が確立されていません。妊娠中、または妊娠している可能性のある方はボツリヌス治療不可です。投与中および最終投与後2回の月経を経るまでは避妊する必要があり、リスクを減らすために念のため、男女とも3~4か月は避妊した方がよいでしょう。
左右差、噛む力が弱まることもある
注入量や入れる場所などの問題で、左右のバランスが悪くなったり、一番効いている時には、食事の際に顎が疲れるなど咀嚼にトラブルを感じる場合も。ボツリヌス注射はヒアルロン酸のようにすぐに元に戻せる薬がないので、徐々に分解吸収されて効果が無くなるまで2~3か月程度待つしかありません。
腫れ、内出血など
咬筋は深めの場所にあり、数か所注射することもあるため、個人差もありますが、まれに内出血や腫れなどが起こることも。
まとめ
エラ張りの原因が咬筋にあるのなら、ボツリヌス注射が一番有効といわれています。まずは一度エラボトックスを試してみてはいかがでしょうか?エラが張っている人ほど効果が現れやすいといわれています。ただ手軽に受けられるのはボツリヌス注射の魅力の一つですが、継続的な治療が必要になるため、費用や使用するボツリヌス製剤について、しっかり医師とカウンセリングをしてからスタートすることをお勧めします。
記事監修
- 古山恵理 先生
- 自由が丘クリニック
- 08008088200
2013年杏林大学医学部卒業
北里大学北里研究所病院 入職
2015年国立病院機構東京医療センター形成外科 入職
(自由が丘クリニック非常勤医としても勤務)
2017年都立総合小児医療センター形成外科 入職
2018年国立病院機構東京医療センター形成外科 入職
2020年自由が丘クリニック形成外科・美容外科 常勤医として入職