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シミのお悩みに効果のある光治療やレーザー治療。
レーザー治療は光治療に比べてシミ再発の可能性が低いといわれていますが、治療後、逆にシミが濃くなったと感じて不安になる方がいます。
また「シミの再発」が気になり、レーザー治療をためらう方も多いようです。レーザー治療を受けてもシミは再発してしまうのでしょうか?
今回はQスイッチレーザーやピコレーザー治療後のシミ再発のリスクと対策について解説します。
レーザー治療をためらう理由に多い「シミの再発」
シミ取りレーザー治療について調べていると、「レーザー治療後にシミが濃くなった」「一度消えたのにまたすぐに出てきた」といった投稿を見つけて不安になってしまった方もいるのではないでしょうか?
実際そういった口コミを見て、レーザー治療をためらう方も多いようです。
「レーザー治療後に出てきたシミ」には、放っておいてもいつか消えるものや、レーザーで取り切れずに残ってしまったものなどいくつか種類があるようですが、十分なケアと対策によってある程度発生を抑えられると考えられています。
ここでいうシミ取りレーザー治療とは、Qスイッチレーザーやピコレーザーなど、強いレーザー光をスポット照射する治療のことをいいます。
レーザートーニングや光治療もシミへの効果が期待できますが、マイルドな光をあてて徐々にシミを消していくので複数回治療が必要です。
炎症など副作用の可能性が低く「長いダウンタイムが困る」「今あるシミを少しずつ消していきたい」という方に向いている治療法といえるでしょう。
レーザー治療後に浮き出て再発したと感じるシミの正体
せっかくシミ取りレーザー治療を受けたのに、しばらくすると消えたはずのシミがまた浮き出てきたと感じることがありますが、これは特別珍しいことではありません。
レーザー治療後に出てくるシミの正体には次のようなものがあります。
レーザー後のシミの再発①炎症後後色素沈着(PIH)
治療後、かさぶたが取れ、赤みが引いた後にぼんやりと浮き出てくるのが炎症後色素沈着です。
「戻りジミ」ともいわれ、照射約1か月後から現れる場合が多く、治療を受けた方の40〜50%が経験するともいわれています。
炎症後色素沈着は、レーザーそのものの刺激や、照射後の炎症が原因となって起こります。
ニキビ、虫さされ、やけどなどで、炎症が起きて赤くなった後に、茶色いシミのような跡がしばらく残っている状態と同じです。
元のシミより濃く出てくるケースや、色は薄いけれどなかなか取れないケースなど、様々なパターンがあります。
治療する際、シミの周囲を含めて広めにレーザーをあてた場合に色素沈着が起こると、「シミが大きくなった」「失敗した」とショックを受ける方もいるようです。
炎症後色素沈着が起こるかどうかは、肌質・体質にもよりますが、レーザー照射後に日焼けをしてしまったり、ターンオーバーが低下していると起こりやすいと考えられています。
色素沈着自体は、一時的なもので、放っておいても自然と消えますが、きれいな肌色になるのに半年くらいかかる場合も。
せっかくきれいになるために治療をしたのに、数か月も憂鬱な状態で過ごさなければいけないため、炎症後色素沈着がシミ取りレーザー治療において、一番の懸念点だと考えられています。
しかしながら、適切なアフターケアをすることでそのリスクを最小限に抑えることができます。
この後に紹介する「炎症後色素沈着(戻りジミ)を防ぐ方法」を参考にしてみて下さい。
レーザー後のシミの再発②新しくできたシミ
目の横や下、頬などはもともとシミができやすい箇所であるため、レーザー照射時には隠れていた シミがその後浮き出てくる可能後があります。
しみが浮き上がってきた場所がレーザーを照射した部位の近くであった場合、「シミが再発した」と勘違いしてしまうこともあるでしょう。
紫外線ダメージや加齢の影響により、シミはどうしても次々と作られてしまいます。
レーザー照射後は、照射した場所はもちろんしなかった部分も念入りに紫外線対策や保湿ケアをする必要があります。
レーザー後のシミの再発③肝斑の悪化
強い刺激を与えるレーザー治療は、炎症が原因のひとつと考えられている肝斑には適しません。
治療によって炎症が起きることで 肝斑が濃くなる危険性があるためです。
誤って肝斑の上に重なっているシミにレーザーをあててしまうと肝斑が悪化し、濃くなってしまうケースがあります。
炎症の心配がない程度の弱い出力を照射するレーザートーニングであれば肝斑でもアプローチが可能です。
肝斑は表面にでていなくても 、肌の奥に隠れている場合もあります。診断する医師の正しい判断と正しい治療法の選択が重要になります。
炎症後色素沈着(戻りジミ)によるシミの再発を防ぐには
シミ再発予防①治療後の注意事項を守る
施術時にクリニックから伝えられた注意事項はきちんと守りましょう。
治療前後の日焼けは避ける必要があります。
レーザー照射後はとにかく患部の保護が大切です。
一般的に塗り薬やテープでの保護、紫外線を浴びないように指示されることが多いでしょう。
なるべく患部には刺激を与えないようにし、かさぶたができたら無理にはがさないことがポイントとなります。
クリニック選びの際は、治療後の経過について事前にきちんと説明をしてくれるかどうか、またアフターフォローを丁寧に行ってくれるかどうかも一つの基準にするとよいでしょう。
シミ再発予防②紫外線対策
かさぶたが取れたあとの新しい皮膚は非常にデリケートです。
紫外線にも敏感なので徹底して紫外線対策をしましょう。
引き続き医療用テープやUVカットテープで保護する方法もあります。
日焼け防止サプリや美白コスメを使用することも一つの方法です。
シミ再発予防③外用薬と内服薬
炎症後色素沈着を防ぐために、かさぶたが自然に取れたあと、ハイドロキノンやトレチノインを塗るように指示を出すクリニックが増えているようです。
ハイドロキノンはメラニンの生成を抑え、すでにあるメラニン色素を薄くしてくれる性質が、トレチノインはターンオーバーを促進させる働きがあるといわれています。
どちらも肌に与える影響が強いため、使用の際は注意が必要です。
必ず用法・用量を守り、医師の指示に従って正しく使用してください。
他にはトラネキサム酸やトランサミン、ビタミンCの内服薬の服用などを進めるクリニックもあります。
これらの処方は通常2~3か月程継続します。
炎症後色素沈着によりシミが再発してしまっても
色素沈着は一時的なもので、多くの方が経験するようです。
シミが再発した、濃くなったと勘違いして不安になる気持ちはわかりますが、シミが改善に向かって進んでいることの表れなので、過度に心配する必要はありません。
ただし、日焼けや刺激によって色素沈着がそのまま新たなシミになることもあるので注意が必要です。
アフターケアで不安に思うことや、何か肌にトラブルが起きた場合はすぐに施術を受けたクリニックに相談しましょう。
一度の施術では取り切れずシミが残り、再発したと感じるケースも
薄いシミ、根が深いシミなどは一回のレーザーで取り切れないこともあります。
また「茶あざ」と呼ばれる扁平母斑はレーザー照射を繰り返しても再発する場合があるといわれているのです。
経過で気になることがある場合は治療を受けたクリニックに相談に行きましょう。
シミが再発したと不安になり、治療を受けたクリニックとは別のクリニックに相談したところ、再度レーザー照射を勧められ不要な施術を受けたという方もいるようです。
レーザーで取り切れなかったシミなのか炎症後色素沈着であるかの判断は専門医であっても難しいため、施術をしてくれた医師に判断を仰ぐのがベストでしょう。
取り切れなかったシミの場合は6週間以上あけて再度レーザーを照射するのが良いとされています。
当然ですが、1度レーザーを照射した場所は生涯シミができないわけではありません。
治療後数年たって同じ場所にシミが再発する場合もあります。その場合はレーザーの再照射を検討しましょう。
レーザー治療後に再発するシミに関するQ&A
Q1.レーザー治療後に再発するシミの正体って何?
レーザー治療後にシミが再発したと感じる症状には次のようなものがあげられます。
- 炎症後色素沈着
- レーザーの刺激で肝斑が悪化して濃くなった
- 隠れていたシミが浮き上がって濃く見えるようになった
Q2.レーザー治療後、シミの再発を防ぐには?
シミの再発を予防するには、以下に気を付けることが重要です。
- テープ保護などで患部の刺激を避け、かさぶたを無理に剥がさない
- 紫外線対策を徹底する
- 必要に応じて外用薬や内服薬を併用する
Q3.シミが再発したらどうすればいい?
炎症後色素沈着の場合は自然に薄くなることもあるようです。
肝斑の悪化や潜在的なシミが濃くなった、根深く一度の治療で取りきれないシミだった場合は、治療を受けたクリニックへ相談して、指示を仰いだ方がよいでしょう。
まとめ
シミは放っておいても改善することはありませんし、セルフケアのみで消すことは困難です。
レーザー治療は「色素沈着のリスク」があり、「アフターケア」を含めると、治療期間は決して短期間ではないことが分かりました。
しかしながら、たった一度の治療でシミの改善が期待できることはやはりメリットも大きいといえます。
まずはクリニックに相談することからトライしてみてはいかがでしょうか?
記事監修

- 松浦佳奈 先生
- 自由が丘クリニック
- 08008088200
2012年聖マリアンナ医学部卒業
聖マリアンナ医科大学病院 入局
2014年聖マリアンナ医科大学皮膚科学任期付助教
聖マリアンナ医科大学病院 皮膚科兼務
2017年聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 皮膚科兼務
2018年聖マリアンナ医科大学 皮膚科医長
2020年自由が丘クリニック皮膚科・美容皮膚科 常勤医として入職