ニキビ跡の色素沈着の原因は?
ニキビそのものは治ったのに、色素沈着が残ってしまうのはなぜなのでしょう?
メラニンが過剰生成される炎症後色素沈着
ニキビ跡が色素沈着になってしまうのは、ニキビのなかでも「赤ニキビ」や「黄ニキビ」と呼ばれる、強い炎症を起こしてしまったニキビです。
ニキビが炎症を起こすと、メラニン色素を作り出す細胞「メラノサイト」が、肌を守るためにメラニン色素を大量に生成します。
これらのメラニン色素が肌から排出されきらずに残ることで、色素沈着が起こるのです。
「炎症後色素沈着」と呼ばれる状態で、ニキビだけでなく、シミ取りレーザーの後や、アトピーや湿疹を掻き壊した後、虫刺されなど、あらゆる炎症がきっかけとなります。
赤血球による色素沈着も
ニキビの症状が重くなると、真皮にまで炎症が及ぶことがあります。
ニキビが膿んだり、つぶれて出血したりすると、傷ついた血管から漏れ出した赤血球に含まれるヘモグロビンによって、真皮に暗赤色や紫色の色素沈着が起きることがあるのです。
真皮のターンオーバーは5~7年ほどかかるため、このような色素沈着は、自然治療がとても難しいと言われています。
どう違う?炎症後色素沈着とシミ
炎症後色素沈着と一見同じように見えるのが、いわゆる一般的な「シミ」ですが、この二つには大きな違いがあります。
シミは、本来ならば古い角質と共に剥がれ落ちるはずのメラニン色素が、表皮のターンオーバーの乱れによって、剥がれることなく肌に蓄積した状態です。
自然に消すことは難しく、レーザーや光治療、内服・外用薬の使用が必要です。
炎症後色素沈着は、炎症がきっかけとなって一時的にメラニン色素が多くなった状態なため、炎症が治まれば自然と消えていくことも多いです。
ただし、炎症が真皮にまで及んでいるなど、炎症の度合いによっては治療が必要になることもあります。
ニキビ跡の色素沈着 効率の良い治療法とは?
自然と消えることもある色素沈着ですが、早く消すためにはクリニックの治療を受けると早期改善が見込めるでしょう。
できるだけ色素沈着を早く改善するために大事な3つのポイント
- 治療はニキビの炎症が完全に落ち着いてからがベスト(炎症がある肌にレーザーや光治療を受けると、色素沈着が悪化する場合も)
- 患部の摩擦刺激を避けるなど、とにかく触らない
- メラノサイトを活性化させる紫外線を避けるために、季節を問わず日焼け対策を徹底する
これらのポイントを踏まえて、クリニックで受けられる色素沈着の治療方法をご紹介します。
ニキビの炎症を落ち着かせながらターンオーバーを促す治療法
ピーリング
酸性の薬剤を塗布して肌表面を柔らかくし、メラニン色素を含む古い角質を取り除きやすくします。
不要な角質が剥がれることで肌のターンオーバーが促され、メラニンの排出が進み、色素沈着が徐々に改善へ向かいます。
ピーリングによる色素沈着治療の費用・回数の目安
費用相場:1回 3,000~10,000円
2~4週間に1回の間隔で5回以上の治療
イオン導入、エレクトロポレーション
肌表面に塗るだけでは浸透しにくい有効成分を、効率よく皮膚の深部まで届ける治療法です。
ピーリングで余計な角質を取り除いた後にこれらの施術を受けると、より効果が得やすいとされています。
ニキビ跡の色素沈着に効果が期待できる成分としては、
- メラニンを淡色化する作用のあるビタミンC
- メラニン生成や炎症を抑える効果のあるトラネキサム酸
- ターンオーバー促進効果のあるプラセンタ
などがあります。
イオン導入・エレクトロポレーションの回数の目安
2~3週間に1回を継続
料金は使用する成分によって異なります。
ニキビの炎症が落ち着いた後、広範囲の色素沈着に対する治療法
光治療
カメラのフラッシュのような光を肌全体に照射して、メラニンやヘモグロビンを破壊し、色素沈着を改善へ導きます。
様々な肌悩みの改善が期待できるので、色素沈着以外にシミやそばかす、毛穴などが気になる人にもおすすめです。
光治療による色素沈着治療の費用・回数の目安
1回 20,000~50,000円
3〜4週間に1回の間隔で5回以上の治療
レーザートーニング
レーザーを低い出力でシャワーのように照射して、表皮のメラニンを細かく破壊します。
細かくなったメラニンはターンオーバーと共に排出され、回数を重ねるごとに色素沈着の改善を実感できるようになるとされています。
トーニングによる色素沈着治療の費用・回数の目安
1回 10,000~20,000円
2~3週間に1回の間隔で5回以上の治療
※光治療やレーザートーニングは、真皮の線維芽細胞を刺激する効果で、ハリ感アップや毛穴引き締めといった効果も期待できます。
ニキビの炎症が落ち着いた後、目立つ色素沈着に対する治療法
シミ取りレーザー(ピコスポット)
強力なレーザーの衝撃波で、メラニンを微細に粉砕し、排出します。
従来の「熱でメラニンを破壊するシミ取りレーザー」では、その熱によって新たな炎症や色素沈着が起きることがありました。
ピコスポットは皮膚への熱ダメージが少なく、炎症が起きにくいことから、レーザー治療後の炎症後色素沈着が起こりにくいとされています。
ピコスポットによる色素沈着治療の費用・回数の目安
1㎝×1㎝ 1ショット 10,000~20,000円
1~3回(2回目以降は、前回から1か月以上間を空ける)
外用薬
ニキビ跡の色素沈着治療に処方されるのは、主に下記の成分です。
トレチノイン
肌の生まれ変わりを促す作用があり、メラニンの排出を早めると期待できます。
ハイドロキノン
メラニン生成抑制と、メラニン淡色化のW作用で、「肌の漂白剤」とも呼ばれています。
これらは、美白作用が強い分、副作用も出やすいため、医師の指導のもと使用する必要があります。
ニキビ跡の色素沈着をホームケアするなら
市販薬だけでニキビ跡の色素沈着を消すのは難しい
市販薬で手軽に色素沈着を消したいと思う方もいらっしゃるかもしれません。
シミや色素沈着用の内服薬や塗り薬は様々な製品が市販されていますが、有効成分の含有量は、処方薬よりも少ないことがほとんどです。
また、効果を実感できるまでには、処方薬よりもかなり長い時間がかかります。
特に市販の塗り薬は、メラニンに直接作用して色素沈着を消すというものではなく、メラニンが新しく生成されるのを防ぐものが多いです。
肌のターンオーバーによって徐々に色素沈着を「目立ちにくく」することはできますが、消すことは難しいとされています。
自己流のケアでかぶれなど別のトラブルを引き起こすこともあり、炎症に繋がることで、色素沈着が悪化してしまうことも考えられます。
クリニックの処方薬で効率的にホームケア
市販薬と比較して効果を得やすいことや、万が一薬が合わなかった場合のアフターフォローの面からも、医師の処方する外用薬・内服薬でのホームケアを選ぶと良いでしょう。
ご紹介したトレチノインやハイドロキノンによる外側からのケアに加えて、内服薬で体の内側からも美白をサポートするとより効果的です。
クリニック処方の内服薬
トラネキサム酸
ニキビの炎症を落ち着かせながら、メラニンの生成も抑えます。
シナール
ビタミンCがメラニン色素を淡色化します。
Lシステイン
ターンオーバーを促しながら、抗酸化作用で新しいシミや肌トラブルを予防します。
クリニックでの治療に、内服・外用薬によるホームケアを組み合わせると、色素沈着の改善効果をより得やすくなります。
医師に肌状態を診断してもらった上で最適な治療を受けるのが、色素沈着治療では最短ルートだと言えるでしょう。
まとめ
ニキビ跡の炎症後色素沈着は、適切な治療を受けることで改善を早め、跡を残しにくくすることも可能です。
セルフケアに限界を感じている方は、美容クリニックでのケアも活用してみてはいかがでしょうか。