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「GLP-1薬で髪が抜ける?」副作用の可能性を分析した結果とは、オゼンピックやマンジャロなどと脱毛の関係とは、「初の体系的レビュー」が可能性を指摘

カレンダー2025.11.3 フォルダー最新研究
髪への影響。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

髪への影響。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 オゼンピックおよびウゴービ(一般名セマグルチド)やマンジャロおよびゼップバウンド(一般名チルゼパチド)などが注目されるGLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1薬)。

 その副作用として「髪が抜けるのではないか」という声が出ている。

 そうした中で、サウジアラビアの研究チームが初めてこの問題を体系的に分析したという2025年9月発表の論文を確認する。

GLP-1薬と脱毛の関係を初めて総合分析

GLP-1薬の効果や安全性。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

GLP-1薬の効果や安全性。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 研究の概要 → GLP-1薬と脱毛の関連を検討した5つの研究(計2905人)を解析。
  • 結果 → セマグルチド使用者は非使用者に比べて脱毛を経験する可能性が約7倍高い(オッズ比6.97)。一方で、髪の再生を示唆する報告も存在。
  • 逆の可能性 → 血糖コントロールや血流改善により、むしろ発毛を促す作用を示す研究もあり、影響は一方向ではない。

 SNS上で、GLP-1薬で「髪が抜ける」「ハゲる」という報告が見られた。GLP-1薬は、病気で使用せざるを得ない人ばかりではなく、健康であるにもかかわらず利用する人もいると問題視されている。副作用には、十分な注意が必要になる。

 そうした中で、研究グループが、関連研究を集めて、GLP-1薬の使用と脱毛の関係を検討していた。

 最終的に5つの研究(計2905人の成人)を分析対象として、その可能性が調べられた。チルゼパチドで週1回の注射による治療例が多かった。

 結果として、セマグルチドやチルゼパチドによる脱毛の可能性が確認された。セマグルチドを使用している人は、使用していない人に比べて脱毛を経験する可能性が約7倍高いとする研究があった(オッズ比6.97)。一方で、一部の論文では、むしろ髪が再生するという結果も報告されていた。

 著者らは、脱毛のメカニズムとして主に2つの可能性を挙げている。

  • 急激な体重減少による栄養不足:GLP-1薬によって食欲が低下し、短期間のうちに体重が減少すると、ビタミンやミネラル不足が起きやすくなり、髪の成長が一時的に止まる可能性がある。
  • ホルモンバランスの変化:特にセマグルチドでは、ホルモン代謝への影響から男性型脱毛症(AGA)を誘発するリスクも考えられる。

 一方、血糖コントロールや血流改善により髪の成長を促す可能性もある。影響は一方向ではないと見られる。

「GLP-1脱毛」因果関係は不明ながら要注意

副作用には注意。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

副作用には注意。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 研究の結論 → 「GLP-1薬と脱毛の関連を示したのは初めてだが、現時点では因果関係を断定できない」と報告。
  • 臨床現場での提言 → 著者は今後の臨床モニタリング強化を求めている。
  • 健康な人の使用リスク → 過度な減量や栄養バランスの乱れが、肌・髪の老化を加速させる可能性があり、慎重な使用が必要。

 研究チームは、「GLP-1薬と脱毛の関係を明確にした研究はこれが初めてだが、現時点では因果関係を断定できない」と結論づけている。

 ただし、今後の利用拡大に伴い、こうした副作用が服薬継続の判断に影響を与える可能性があるとして、医師による早期のカウンセリングと副作用報告の重要性を呼びかけている。

 また、健康な人が使った場合には、思わぬ副作用の可能性がある。今回の報告を踏まえれば、過度な減量や栄養バランスの乱れが肌や髪の老化を加速させる可能性も考えられる。十分な注意が必要だろう。

参考文献

Alsuwailem OA et al. Hair Loss Associated With Glucagon-Like Peptide-1 (GLP-1) Receptor Agonist Use: A Systematic Review. Cureus. 2025 Sep 16;17(9):e92454.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41111833/

GLP-1薬で「味覚が変わる」 甘みを感じやすくなり食欲抑制に関与か、マンジャロなどの新たなメカニズム、オーストリアの研究チームが発表
https://biyouhifuko.com/news/research/14613/

医療広告違反の上位は「美容注射」「顔整形」「GLP-1」、厚労省、GLP-1薬の適正使用と広告規制を議論、2023年対策後、GLP-1「通常出荷」だが承認外には注意促す
https://biyouhifuko.com/news/japan/14425/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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