
ジェレミー・マガロン氏。(写真/編集部)
PRP(多血小板血漿)とエクソソームの課題が、2026年1月に開催されたIMCAS World Congress 2026で講演された。
フランスのジェレミー・マガロン氏(マルセイユ公立病院機構〈APHM〉ラ・コンセプシオン大学病院細胞治療部門助教、薬剤師)が講演した。
PRPもエクソソームも品質のばらつきは課題

PRPでは、自分の血液の成分を分けて使う。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 中身がバラバラ→ PRPは作り方によって成分が違い、同じ名前でも中身が一定ではない。
- エクソソームも課題→ 由来や製造方法がさまざまで、品質にばらつきがある。
- 標準化が必要→ 効果や安全性を確かめるには、まず中身をはっきりさせることが重要。
PRPは、血液を遠心分離器にかけ、血小板を多く含む成分を抽出したもの。血小板は止血だけでなく、多様な成長因子を含み、組織の治癒を促す機能を持つ。PRPを使った施術はこうした点を利用したものとなる。美容医療では、PRPが線維芽細胞刺激やコラーゲン生成促進を目的に用いられる。
このPRPをめぐって、マガロン氏はその品質に関わる問題を指摘した。なぜなら、PRPは遠心分離法やキットによって血小板濃度、白血球混入量、純度が大きく異なるためだ。同氏は、複数のシリンジとリンゴの画像を示し、「同じ名前でも中身は違う」と例えた。成分が一定しなければ効果もばらつく。標準化の欠如がエビデンス構築の大きなハードルになると考えられる。
一方のエクソソームも同じような問題を抱えている。
エクソソームは、細胞間の情報伝達を担う微粒子。この中にマイクロRNA(microRNA)などを含む。
マガロン氏はその可能性には期待を寄せている。同氏によれば、エクソソームは細胞そのものを投与する治療に比べ、安全性や製造面で優位性を持つ可能性があるとされる。同氏はこれを「細胞治療の民主化(Democratizing cell therapy)」につながる可能性があると位置づけた。
問題になるのはやはり品質。同氏は、国際細胞外小胞学会(ISEV)のガイドラインに言及し、「エクソソーム」は細胞外小胞(EVs)と呼ばれる微粒子の一つと紹介した。
ただ、その中にはPRPと同じように製品によってばらつきがあるとされる。
マガロン氏によると、市場には人、動物、植物、細菌由来の製品が流通し、50を超える企業が製品を出している。同氏は、市販製品を生物学的、物理化学的に比較する「EXOCOMPARE」プロジェクトに言及。製品の実態を可視化することで、その有効性や安全性が判断しやすくなる。
日本再生医療学会の役割も想定される

日本再生医療学会が「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」を発表。(出典/日本再生医療学会)
- 国内ガイドライン→ 日本再生医療学会が細胞外小胞(EVs)の品質をそろえるための指針を公表。
- 国際連携→ 国際細胞外小胞学会(ISEV)と連携し、ルール作りが進む。
- 今後の課題→ PRPもエクソソームも、品質を安定させることが大きなテーマ。
PRPもエクソソームも、将来的な可能性は否定されないものの、何が含まれているのかが分からないのは問題だ。
この辺りはヒフコNEWSで既に報じている。
日本国内では、日本再生医療学会が、エクソソームを含めた細胞外小胞の品質を一定にするためのガイダンスを2024年4月に公表している。これは2025年に英語版も公開された。
日本再生医療学会は2025年8月にISEVと連携を発表している。
今後、エクソソームの標準化では、日本再生医療学会の関与も想定される。
今後、PRPもエクソソームも標準化が課題になる。
参考文献
エクソソームをもっと理解するための9つキーワード、「EVs」「ISEV」「miRNA」「CQA」……日本再生医療学会の講演から振り返る
https://biyouhifuko.com/news/japan/6338/
未承認エクソソーム対応へ、美容医療などでの使用に推奨事項を示す、日本再生医療学会が新ガイダンス、国の新たなルールへの一歩にも
https://biyouhifuko.com/news/japan/7097/
「エクソソーム」「セクレトーム」国際ルール作りへ、日本発ルールが発展へ、再生医療の安全性が関心を集める中で動き、日本再生医療学会と国際細胞外小胞学会が連携
https://biyouhifuko.com/news/japan/14258/
