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再生医療に欠ける「標準化」、PRPとエクソソームは海外でも課題抱える 製剤の中身を見えるようにする動きも フランスのジェレミー・マガロン氏がIMCAS World Congress 2026で講演

カレンダー2026.3.4 フォルダー 海外
ジェレミー・マガロン氏。(写真/編集部)

ジェレミー・マガロン氏。(写真/編集部)

 PRP(多血小板血漿)とエクソソームの課題が、2026年1月に開催されたIMCAS World Congress 2026で講演された。

 フランスのジェレミー・マガロン氏(マルセイユ公立病院機構〈APHM〉ラ・コンセプシオン大学病院細胞治療部門助教、薬剤師)が講演した。

PRPもエクソソームも品質のばらつきは課題

PRPでは、自分の血液の成分を分けて使う。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

PRPでは、自分の血液の成分を分けて使う。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 中身がバラバラ→ PRPは作り方によって成分が違い、同じ名前でも中身が一定ではない。
  • エクソソームも課題→ 由来や製造方法がさまざまで、品質にばらつきがある。
  • 標準化が必要→ 効果や安全性を確かめるには、まず中身をはっきりさせることが重要。

 PRPは、血液を遠心分離器にかけ、血小板を多く含む成分を抽出したもの。血小板は止血だけでなく、多様な成長因子を含み、組織の治癒を促す機能を持つ。PRPを使った施術はこうした点を利用したものとなる。美容医療では、PRPが線維芽細胞刺激やコラーゲン生成促進を目的に用いられる。

 このPRPをめぐって、マガロン氏はその品質に関わる問題を指摘した。なぜなら、PRPは遠心分離法やキットによって血小板濃度、白血球混入量、純度が大きく異なるためだ。同氏は、複数のシリンジとリンゴの画像を示し、「同じ名前でも中身は違う」と例えた。成分が一定しなければ効果もばらつく。標準化の欠如がエビデンス構築の大きなハードルになると考えられる。

 一方のエクソソームも同じような問題を抱えている。

 エクソソームは、細胞間の情報伝達を担う微粒子。この中にマイクロRNA(microRNA)などを含む。

 マガロン氏はその可能性には期待を寄せている。同氏によれば、エクソソームは細胞そのものを投与する治療に比べ、安全性や製造面で優位性を持つ可能性があるとされる。同氏はこれを「細胞治療の民主化(Democratizing cell therapy)」につながる可能性があると位置づけた。

 問題になるのはやはり品質。同氏は、国際細胞外小胞学会(ISEV)のガイドラインに言及し、「エクソソーム」は細胞外小胞(EVs)と呼ばれる微粒子の一つと紹介した。

 ただ、その中にはPRPと同じように製品によってばらつきがあるとされる。

 マガロン氏によると、市場には人、動物、植物、細菌由来の製品が流通し、50を超える企業が製品を出している。同氏は、市販製品を生物学的、物理化学的に比較する「EXOCOMPARE」プロジェクトに言及。製品の実態を可視化することで、その有効性や安全性が判断しやすくなる。

日本再生医療学会の役割も想定される

日本再生医療学会が「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」を発表。(出典/日本再生医療学会)

日本再生医療学会が「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」を発表。(出典/日本再生医療学会)

  • 国内ガイドライン→ 日本再生医療学会が細胞外小胞(EVs)の品質をそろえるための指針を公表。
  • 国際連携→ 国際細胞外小胞学会(ISEV)と連携し、ルール作りが進む。
  • 今後の課題→ PRPもエクソソームも、品質を安定させることが大きなテーマ。

 PRPもエクソソームも、将来的な可能性は否定されないものの、何が含まれているのかが分からないのは問題だ。

 この辺りはヒフコNEWSで既に報じている。

 日本国内では、日本再生医療学会が、エクソソームを含めた細胞外小胞の品質を一定にするためのガイダンスを2024年4月に公表している。これは2025年に英語版も公開された。

 日本再生医療学会は2025年8月にISEVと連携を発表している。

 今後、エクソソームの標準化では、日本再生医療学会の関与も想定される。

 今後、PRPもエクソソームも標準化が課題になる。

参考文献

エクソソームをもっと理解するための9つキーワード、「EVs」「ISEV」「miRNA」「CQA」……日本再生医療学会の講演から振り返る
https://biyouhifuko.com/news/japan/6338/

未承認エクソソーム対応へ、美容医療などでの使用に推奨事項を示す、日本再生医療学会が新ガイダンス、国の新たなルールへの一歩にも
https://biyouhifuko.com/news/japan/7097/

「エクソソーム」「セクレトーム」国際ルール作りへ、日本発ルールが発展へ、再生医療の安全性が関心を集める中で動き、日本再生医療学会と国際細胞外小胞学会が連携
https://biyouhifuko.com/news/japan/14258/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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