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ヒアルロン酸など注入製剤の「科学的根拠」が問われている 価格競争の中で生き残る製剤とは?IMCASでフィラー製剤企業トップが議論

カレンダー2026.3.12 フォルダー 海外
IMCAS World Congress 2026で行われたディスカッション。(写真/編集部)

IMCAS World Congress 2026で行われたディスカッション。(写真/編集部)

 ヒアルロン酸フィラーを中心とした注入治療の将来について、IMCAS World Congressのパネルディスカッションで、企業トップが議論を交わした。

 フィラー製剤が乱立する中で、どのような製剤が求められるかが語られた。

 登壇したのは、スイスIBSAグループ会長のルカ・クリッパ氏、カナダ・プロレニアム(Prollenium)最高経営責任者(CEO)のウォルター・ガイガー氏、フランス・シマテーズ(Symatese)副マネジングディレクターのバンジャマン・エルバージュ氏、フランス・ラボラトリーズ・ヴィヴァシー(Laboratoires Vivacy)社長兼CEOのジャン・フィリップ・ハゲット氏。

製剤の乱立時代

IMCAS World Congress 2026で行われたディスカッション。(写真/編集部)

IMCAS World Congress 2026で行われたディスカッション。(写真/編集部)

  • 注入製剤が増える→ 世界的に注入製剤が増え、似た特徴の製品が多くなっている。
  • 価格競争も激化→ 韓国企業など新規参入が増え、価格を巡る競争が強まっている。
  • 差別化の鍵は科学→ 製品の違いは臨床試験などの科学的データで示す必要があると指摘。

 議論の出発点となったのは、注入製剤の乱立問題だった。

 似た特性をうたう製品が増え、価格競争も激しくなる中で、何を差別化していけばよいかという点が重要になっている。

 国際的には、韓国勢をはじめとした価格を強く打ち出す新規参入が増えているとの指摘もあった。

 登壇者からは「すべてのヒアルロン酸が同じではない」という指摘があり、製品の差別化は科学的データで示すべきだとされた。主張する以上、臨床試験で証明する必要があるという考えだ。

 長期的に勝つのは品質、性能、価格戦略の一貫性、信頼性であるなどと語られた。

 優れた製品は臨床現場との協力から生まれるという意見も出た。注入者との情報共有や、R&D(研究開発)との距離の近さ、改良を素早く回していく体制があるという。

 さらに、登壇者が共通して強調したのが教育の重要性だ。製品説明だけではなく、少量で自然な変化を生み出す注入技術や美的センスを含めたトレーニングが必要だとされた。

スティミュレータートレンドでも「可逆性」が議論に

注入製剤の世界とは。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

注入製剤の世界とは。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 新しい製剤の広がり→ スキンブースターやバイオスティミュレーターなど再生系治療が拡大。
  • 重要視される可逆性→ 将来の治療のためにも「元に戻せる治療」であることが重要と議論。
  • 減量後の顔の変化→ GLP-1による体重減少で顔のボリューム低下が新たな課題になっている。

 議論はコラーゲン生成を促すようなスキンブースターやバイオスティミュレーターの拡大にも及んだ。市場は「製品中心」から施術を受ける人中心の治療へと移りつつあるという見方が示された。

 製剤による刺激による変化がどれほど続くのか、長期的な影響はどうかといった点への懸念が浮上している。特に重要な概念として挙げられたのが「可逆性」だ。要するに、元に戻せるか。体内に生じる変化は自然であるべきで、将来の治療を妨げる不可逆的な結果は避けるべきだという意見が示された。

 過去にはシリコーン注入が安全だと考えられていた時代があったことにも触れられ、長期的な影響を慎重に考える必要性が指摘された。

 また、GLP-1による減量後の顔の変化も議論された。急速な体重減少による顔のボリューム低下や皮膚のたるみは臨床現場で既に観察されている。これはヒフコNEWSでも伝えているが、重要なテーマと認識されている。

SNS時代でも最後は「信頼」

SNSの影響。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

SNSの影響。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • SNSの影響拡大→ 情報発信の力が強まる一方、誇張された情報の問題もある。
  • 医師との関係が重要→ 短期的な宣伝より、医師との連携や教育が重視される。
  • 最後は信頼→ 科学的根拠、教育、臨床現場との協力が製品選択の鍵になる。

 SNSは美容医療にとって強力な発信手段となっている一方、誇張された症例や情報の混乱を生む側面もある。

 企業側からは、短期的に人を集めるよりも医師を中心としたコミュニケーションを重視する必要があるとの意見が示された。また、施術を受ける側向けと医師向けの情報発信を分ける戦略や、地域ごとに異なるSNS環境への対応の必要性も指摘された。

 フィラー市場が成熟する中で、最終的に重要になるのは信頼だという見方が共有された。科学的根拠、教育、臨床家との関係が、今後の製品選択を左右する要素になると考えられている。

参考文献

「GLP-1」による減量で美容医療ニーズが変化 顔のボリューム減少が新たな悩みに 「オゼンピックフェイス」の問題がデータで裏付けられる アラガン・エステティックスが調査結果を公表
https://biyouhifuko.com/news/world/16895/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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