
グローバル・コアリション・オン・エイジングの最高経営責任者(CEO)マイケル・W・ホディン氏が講演。(写真/編集部)
本当にお金を使うのは55歳以上──。この「シルバー」世代が重要な市場になるという考えが示された。
IMCAS World Congress 2026では、米国のエイジングにまつわる団体であるグローバル・コアリション・オン・エイジング(Global Coalition on Aging)の最高経営責任者(CEO)マイケル・W・ホディン(Michael W. Hodin)氏が講演。高齢層を世界的な成長市場と表現した。
ここに美容医療の大きな可能性があるという見方を示した。アンチエイジングを目的とした美容医療のニーズがさらに拡大する可能性があるという。
55歳以上は22兆ドル市場

グローバル・コアリション・オン・エイジングの最高経営責任者(CEO)マイケル・W・ホディン氏が講演。(写真/編集部)
- 55歳以上が巨大市場→ 世界で約20億人、約22兆ドル規模の「シルバーエコノミー」とされる。
- 資産の多くを保有→ OECD諸国では資産の約70%を60歳以上が持つとされ、消費力が高い。
- 美容医療にも波及→ 長寿化に伴い、アンチエイジング医療やスキンケアの需要拡大が見込まれる。
ホディン氏は現在の人口動態の変化は「この時代を代表するメガトレンド」だと位置づけた。長寿が当たり前になり、高齢人口が急速に増えているからだ。
同氏は、1990年代半ば以降にパリやニューヨーク、東京などで生まれた女性は、20世紀に生まれ、21世紀を生きて、22世紀に亡くなる可能性もあると指摘。「三つの世紀をまたぐ人生」が現実味を帯び、医療や消費、働き方、資産形成の前提が変わっていると説明した。
このときに転機が「55歳」だという考えを述べた。
従来、高齢者といえば、65歳からというイメージがあるかもしれないが、消費者層としてとらえると、55歳以上からが積極的にお金を使う集団ととらえられるという。55歳を区切りとして物事をとらえるのがアクションを起こしやすいという考えだ。
同氏によれば、現在、世界には55歳以上が約20億人存在し、今後数十年でさらに増加する見通しで、この層を中心とする経済圏を約22兆ドル規模の「シルバーエコノミー」と捉えているという。従来の65歳という線引きは19世紀の制度に由来する古い基準だと指摘した。実際、経済協力開発機構(OECD)の国々では、資産の約70%を60歳以上が保有しているとされる。消費市場としての存在感は大きい。
遺伝子治療、がん治療などの医療技術の進歩が健康長寿をさらに加速させると指摘。そうした拡大していく分野の一角にあるのが、美容医療、スキンケア、さらにはGLP-1関連治療だとした。講演ではロレアルやファイザーなどが、高齢化を新たな市場ととらえ始めていることが示された。
「シルバーは新しいグリーン」

IMCAS World 2026が開催されたパレ・デ・コングレ・ド・パリ。(写真/編集部)
- シルバーが新しいグリーン→ 環境問題と同様に企業戦略の中心になる可能性。
- 健康長寿との結びつき→ 美容医療、ウェルネス、医療が「ロンジェビティ」で統合されつつある。
- 美容医療の役割拡大→ 外見改善だけでなく、健康長寿の一部として位置づけられる可能性。
講演の最後にホディン氏は、環境問題(グリーン)が企業戦略の中心テーマとなったように、今後は高齢化(シルバー)が同じ重みを持つと指摘し、次の言葉で示した。
「Silver is the new green(シルバーは新しいグリーン)」
高齢化をコストや社会負担としてではなく、巨大な消費力と社会変革のエンジンとして捉える視点を提示した。
会場では、美容医療と健康、ウェルネスがこの20年で「healthy longevity(健康長寿)」の方向にまとまってきたという声も出ていた。
ヒフコNEWSで他の記事でも書いているように、美容医療は、ロンジェビティという考え方から一層発展していく可能性がある。
参考文献
美容医療はスキンケア・施術・皮膚科などが統合、ロンジェビティ分野へ広がる 一般の医療が美容に転用されるとの観測も IMCASで元ガルデルマCEOが講演
https://biyouhifuko.com/news/world/16783/
