
厚生労働省。(写真/Adobe Stock)
医療機関では、診療を行った場合に、診療録、いわゆるカルテに診断や治療などの内容を記録することが法律で求められている。
3月31日から、この記載事項について、美容医療に関する内容が条文上明確化された。
記載に含まれることになったのは、「患者の主訴」と「希望する治療内容」だ。
診療録への記載内容を条文で明確化

診療録を記録し、保存する。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- カルテ記載が明確化→ 美容医療では「主訴」と「希望する治療内容」を記録することが条文で明記された。
- 医科と歯科の両方が対象→ 皮膚や歯の美容目的の治療で、同じ考え方が適用される。
- 減量治療も含まれる→ 体重減少を目的とした医療も対象となり、主訴や希望内容の記載が求められる。
今回の改正は、医師法施行規則を改める省令によるもので、条文では次のように記載されることになった。
医師法施行規則第23条第2号
病名及び主要症状(美容を目的として人の皮膚若しくは歯牙を清潔にし、若しくは美化し、身体を整え、又は体重を減ずるための医学的処置、手術及びその他の治療を行う場合にあっては、患者の主訴及び希望する治療の内容を含む。)
また、歯科医師法施行規則第22条第2号についても、同様に美容目的の治療に関して「患者の主訴及び希望する治療の内容」を含めることが明記された。
これにより、どのような病気なのか症状なのかという点に関連し、美容医療では、「患者が何を訴えているのか」、また「何を望んでいるのか」をカルテに残すことが制度上求められることになった。
また、医師法では、美容を目的とする医療と並び、「体重減少を目的とした医療行為」についても同様に主訴や希望内容を記載することが求められることになった。今後、GLP-1関連治療なども視野に入れ、カルテの内容が変わってくると見られる。
美容医療の「記録」が重要視される背景

厚生労働省「美容医療の適切な実施に関する検討会」報告書。(出典/厚生労働省)
- 規制強化の流れ→ 美容医療のトラブルを受け、記録や安全管理を明確にする動きが進んでいる。
- 情報の見える化→ 安全体制や診療内容を把握しやすくする制度づくりの一環と位置づけられる。
- トラブル防止に意義→ 患者が何を訴え、何を希望したかを残すことで、後から確認しやすくなる。
こうした動きは一連の美容医療に関連した規制強化と連動するものになる。
国の最初の取り組みは2024年に行われた「美容医療の適切な実施に関する検討会」。
ここでは、美容医療は自由診療が中心で実態が見えにくく、トラブルも指摘された。その結果「記録の明確化」「安全体制の把握」「情報の可視化」を進める必要性が示されていた。
その後、2025年に公布された改正医療法で、「美容を目的とした治療」を行う医療機関に、安全管理体制の報告を義務付ける仕組みが導入された。医療安全の指針や事故防止策を都道府県に報告し、その内容は公表される見通しとなった。
今回の診療録の記載事項の改正は、こうした安全管理や情報の可視化を進める流れの一環と位置付けられる。
美容クリニックを利用する際には、自分自身がどのような訴えをしたのか、希望する治療内容は何かが記録されることが制度化された。後に振り返って確認できるようになることは、安全性やトラブル防止の観点からも一定の意義を持つと考えられる。
参考文献
医師法施行規則及び歯科医師法施行規則の一部を改正する省令(2026年3月31日)
改正医療法が順次施行 美容医療の監視と情報公開が制度化へ 美容クリニックは安全管理体制の報告必要に 医師偏在解消へ開業規制も導入、オンライン診療が法律で位置付け
https://biyouhifuko.com/news/japan/15832/
