
小顔のために注入をする選択肢。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
エラ張りの改善を目的にボツリヌス注射を受けた後、かえって頬が不自然に膨らんでしまうことがある。
こうした現象について、中国の研究グループが2026年に美容皮膚科誌で報告した。
「カエル頬」とは?

小顔を目指して。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- カエル頬の現象→ エラボトックス後に一部の頬が逆に膨らむ状態を指す。
- PMBと呼ばれる→ 専門的には「逆説的咬筋膨隆」とされる現象。
- 一定数で発生→ 調査では88部位中22で発生し、珍しくない副反応と示唆。
エラ張りの改善では、頬の外側にある「咬筋(こうきん)」にボツリヌス製剤を注射し、筋肉を少しずつ小さくしてフェイスラインをすっきり見せる治療が行われている。一般には、代表的な製剤名にちなんで「エラボトックス」と呼ばれることが多い。
今回の中国の研究が問題にしているのは、エラにボツリヌス製剤を注射して咬筋を小さくしようとしたのに、逆に頬の一部がぽこっと膨らんで見えてしまう現象だ。
論文では、この見た目から「frog cheek(カエル頬)」とも表現している。専門用語では「逆説的咬筋膨隆(PMB)」と呼ばれる。
研究では、この現象がなぜ起きるのかを調べている。
研究グループは、2024年9月から2025年1月までに、エラ張りの改善を目的にボツリヌス製剤の注射を受けた44人を調べた。
左右の咬筋をそれぞれ分けて見ると、全部で88の咬筋があり、このうち22でPMBが起き、66では起きていなかった。
研究チームは、この2つの違いを比べた。比較にあたっては、年齢と性別の影響をできるだけそろえた上で、施術前後の超音波画像、注入量、注射中の手応えなどを調べている。
咬筋の厚みと腱の形に違い

頬の張りが気になる。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 咬筋が厚いと起こりやすい→ 発生側は平均13.30mmで非発生側より厚かった。
- 腱の構造が影響→ 深部の腱が厚く、薬剤が均一に広がりにくい可能性。
- 注入時の感触も手がかり→ 硬い膜を越える感触が多い症例で発生率が高かった。
結果として、PMBが起きた側では、咬筋がより厚い傾向があった。咬筋の厚さは平均13.30mmで、PMBが起きなかった側の10.32mmを上回っていた。
また、咬筋の深い部分にある腱も、PMBが起きた側でより厚く、形にも違いが見られた。
研究チームは、こうした腱の厚さや形によって、注入した薬液が筋肉の中に均一に広がりにくくなり、その結果、一部の筋肉だけが残ってふくらんで見える可能性があると考えている。
また、PMBが起きた側では注入量も多く、注射の際に、針が途中で膜のような硬い部分を越える感触があったケースが72.7%と、PMBが起きなかった側の15.1%よりかなり多かった。研究チームは、この感触が、筋肉の中にある腱のような仕切りが広く、しっかりしていることを反映している可能性があるとみている。製剤の種類そのものには有意差はなかった。
超音波での確認と追加注入が鍵に

あごがシャープになるか。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 発症は数日後→ 平均5日ほどで膨らみが出現。
- 超音波で原因を特定→ 深層・浅層どちらが残っているかを確認可能。
- 追加注入で改善→ 残存部位に少量追加することで1週間以内に改善した。
PMBは、平均すると施術から5日ほどで起きていた。PMBが出た22の咬筋を1カ月後に超音波でみると、筋肉の深い部分が強く残っているタイプと、逆に浅い部分が強く残っているタイプの2つがあった。
そこで研究チームは、超音波でどこが残っているかを確認した上で、その部分に追加で少量のボツリヌス製剤を注射した。深い部分に打つ場合と浅い部分に打つ場合があり、量は5〜15単位だった。すると、いずれも1週間以内に改善したという。
研究チームは、施術前に超音波で咬筋の厚さや腱の状態を確かめ、その人に合わせて注入量や打つ深さを調整することが、PMBの予防につながる可能性があるとしている。
また、注射中に膜のような硬い部分を何度も越える感触がある場合は、1カ所に多く打つのではなく、注入する場所を増やして少しずつ入れる方がよい可能性があるという。
ただし、この研究は1施設で行われた比較的少人数の検討であり、今後も検証は必要である。それでも、エラボトックス後に起こる不自然なふくらみを減らす工夫として参考になりそうだ。
参考文献
Sun Y, Xu X, Luo L, Ou Y, Cui Y, Liu D. Factors Associated With Paradoxical Masseteric Bulging After Botulinum Toxin Injection for Masseter Hypertrophy: A Retrospective Analysis. J Cosmet Dermatol. 2026;25(4):e70830.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42033152/
