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世界の美容医療は今どうなっているのか 料金編(ヒアルロン酸1cc) 公開価格を比較すると見えた大きな差 世界の美容医療の今を知る Vol.4

カレンダー2026.6.22 フォルダー連載・コラム

 世界の美容医療を見ると、海外で施術を受けることへの関心が広がっている。その背景の一つとして、料金が国によって大きく異なる点がある。

 調べてみると、各国で料金に大きな差があることが分かった。

ヒアルロン酸1ccが30万円近くも

顔への注入治療を行う美容医療の場面。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

顔への注入治療を行う美容医療の場面。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

  • 中国の高額帯が突出→ 1cc約32万円の公開価格も確認され、日本よりかなり高い水準だった。
  • 米国も高価格帯→ 都市部の高価格帯クリニックでは、1cc約24万円の料金も見られた。
  • 日本は上限が比較的低め→ 高価格帯でも約11万円前後が一つの目安で、米国などより低く見える。

 美容医療が世界的に拡大し、人が海外にわたって施術を受けるケースが増えている。その状況を考える目的で、各国の施術の料金について比べる。

 各国の医療機関の公式サイトや予約プラットフォームなどで示されているヒアルロン酸注入の公開価格を参考に、1cc当たりの価格(1mL相当)を整理していく。

 以下は、あくまで確認できた公開情報に基づく参考値であり、各国ともさらに高額な料金、逆に安価な料金が存在する可能性はある。医療機関名や製剤のブランド名は挙げず、2026年6月時点の為替に基づいて日本円換算した金額を記載する。国によっては料金表示の仕方や公開範囲に違いがあるとみられるが、把握できる範囲でデータを整理していく。

 先に、各国の料金のうち高額なケースについて確認する。

 最も高額な公開価格の一つとして確認できたのは、中国で示されていた1cc約1万4000元、円換算で約32万円という水準だった。中国は一般的に物価が低いとされるが、美容医療では富裕層向け医療機関を中心に高額な料金も見られる。日本と比べてもかなり高い水準といえそうだ。

 次いで米国では、高価格帯の製剤で1ccあたり1500ドル、約24万円という水準が確認できた。都市部の高価格帯クリニックでは、かなり高い料金設定が見られる。

 一方で、英国では1cc当たり600ポンド、約13万円の価格帯が見られた。英国では、医療機関以外でもヒアルロン酸注入が行われており、価格競争が激しいとされる。米国と比べると高額なクリニックでも、上限は米国ほど高くならない可能性が考えられる。

 日本の高価格帯は10万円強が一つの目安になりそうだ。多くのクリニックがある中でも、米国の高価格帯と比べると上限は低めに見える。

 このほか、ベトナムでも高価格帯は1cc当たり約1500万ドンで、円換算すると約9万円台となる。タイでも、医療機関系の公開価格では約9万円近い水準が確認できた。ブラジルは公開価格ベースでは相対的に低めで、1cc当たり約1500レアル、5万円台前後の表示が見られる。

安価でも効果や安全対策など見極め重要

頬への注射施術を示す近接写真。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)


頬への注射施術を示す近接写真。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)

  • 最安はアジアで目立つ→ 韓国や中国、タイでは、1cc数千円〜1万円前後の表示も確認された。
  • 価格だけの比較は危険→ 製剤の種類、医師の技術、安全対策、術後対応まで含めて見る必要がある。
  • 海外施術の背景に価格差→ 国ごとの料金差は、美容医療ツーリズムが広がる理由の一つになっている。

 一方、最安級はアジアの国が目立った。

 韓国では安価なところで、約20万ウォン、日本円で約2万円というところが、工場系と呼ばれる医療機関で多数確認できる。韓国で流れ作業のように大量の施術を行うクリニックは「工場系」と呼ばれている。中には、プロモーションの料金として1ccが5万5000ウォン、約5800円と示されるものが存在した。韓国の美容クリニックは競争激化が言われているが、世界的に見ても安価であることが、ヒアルロン酸注入に注目するだけでもうかがえる状況だ。

 中国の医療機関では、1cc相当が約500元、約1万円の料金が確認される。一方で、230元、約5500円という料金が見られた。ただし、これは予約サイトの表示価格で、医療機関の通常価格とは分けて見る必要がある。

 こうした安価な料金は、低価格帯の製剤を用いた施術として示されている場合が多い。

 日本も公式価格として約9000円が確認できた。タイでもプロモーション価格として1ccが約2000バーツ、約1万円の表示が見られた。

 英国やブラジルでも、約1万5000~2万円という低水準の施術が行われているケースがあるようだ。

 一方、米国は、通常価格で見ると安価なところでも数百ドル台後半が目立つ。割引が適用されても他国より全体として高めに設定されていると見られる。

 国によっては、円安の影響もあり、日本円で換算すると一層高額に見える傾向もある。

 こうした製剤の価格の違いは、欧米メーカーの製剤を使った場合が高額である場合が多く、逆に安価なものはアジアメーカーの製剤が使われていることが多いという傾向がうかがわれる。このほか、アプリ限定、プロモーション価格が設定されることで、価格が抑えられていることもある。競争が激しい地域では、初回価格を抑えて来院につなげる設計になっている可能性がある。

 以上の価格は、医療機関の公開価格を参考に調査したもので、さらに幅がある可能性があることをあらためて記載する。とはいえ、確認される価格差が、海外で美容施術を受ける動きの背景の一つになっていると考えられる。

 課題となるのは、安さだけで施術を選んでよいのかという点だ。価格が低い場合でも、効果や安全対策、使用する製剤、医師の技術、術後対応が十分なのかを見極める必要がある。各国の価格差を見ることは、美容医療の妥当な価格とは何かを考える手掛かりにもなる。

参考文献

韓国のクリニック選び、全国展開チェーン「工場系」その落とし穴、安さに惑わされずに満足を得るための見極め方、韓国在住美容インフルエンサーのスアオンニさんに聞く 前編
https://biyouhifuko.com/news/interview/12758/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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