
姿勢や呼吸、体幹の使い方を整える方法として、ピラティスが美容内科の視点からも注目されている。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
美容医療や美容皮膚科に加えて、体の内側から美容を支える「美容内科」への関心が高まっている。
第26回日本抗加齢医学会総会では、美容内科をテーマとして講演が行われた。
整形外科スポーツ・栄養クリニック(福岡県福岡市、東京都渋谷区)理事長の武田淳也氏が「運動器から紐解く美容内科~インナービューティーを目指して!」をテーマに、姿勢、動作、運動、栄養といったところから見直す視点を示した。
美容内科を運動器から考える

第26回日本抗加齢医学会総会の会場となったパシフィコ横浜ノース。(写真/編集部)
- 運動器から美容を考える→ 骨、関節、筋肉、神経など、体を支え動かす仕組みも美容内科の視点になる。
- 姿勢や動作も印象に影響→ 立ち姿、歩き方、呼吸、首や肩の位置などが若々しさや健康感に関わる。
- 医療と運動・栄養を連携→ 医師、理学療法士、管理栄養士が連携し、体の土台から整える考え方が示された。
美容内科では、栄養、腸内環境、ホルモン、代謝、睡眠、炎症、ストレスなど、体の内側の働きを整える視点が重視されている。既に取り上げた迷走神経制御も、その一つだ。今回の武田氏の講演は、そこに「運動器」という視点を加えるものだった。
一見すると、運動器は美容内科から少し離れたテーマに見える。運動器とは、骨、関節、筋肉、腱、靱帯、神経など、体を支え、動かす仕組みを指す。
しかし、見た目の印象を左右するのは、皮膚や体型だけではない。立ち姿、歩き方、座り方、首や肩の位置、呼吸の深さ、体の動かし方も、人の印象に影響する。
年齢を重ねると、背中が丸くなる、歩幅が狭くなる、動作が小さくなる、立ち上がりが重くなるといった変化が現れやすい。こうした変化は、肌や脂肪だけでは説明できない。骨、筋肉、関節、神経の働きが変わり、姿勢や動作に表れる。
武田氏の講演は、美容内科をこうした運動器の働きから捉え直すものだった。美容を皮膚や見た目だけで捉えるのではなく、姿勢や動作、運動、栄養を含めて、体の土台から考える視点だ。肌、髪、体型に加えて、姿勢や歩き方、体の使い方を評価することは、若々しさや健康感を考える上でも重要になる。
武田氏の講演は、その中で運動器に焦点を当てたものだ。運動器とは、骨、関節、筋肉、神経など、体を支え、動かす仕組みを指す。美容というと肌、髪、体型などが注目されやすいが、姿勢や歩き方、体の使い方も、見た目の印象や健康状態に深く関わる。
武田氏は、整形外科や内科を備えたクリニックで、運動と栄養を組み合わせた医療を行っている。スポーツ・栄養クリニック代官山では、医師、看護師、ピラティスの専門知識を持つ理学療法士、管理栄養士が連携し、運動療法や栄養指導を組み合わせて健康づくりを支えている。
鍛える前に、体の使い方を整える

第26回日本抗加齢医学会総会の会場となったパシフィコ横浜ノース。(写真/編集部)
- 鍛える前に使い方を整える→ 姿勢や動作の癖を残したまま運動すると、膝や腰、肩を痛めることがある。
- ピラティスで再学習→ 呼吸、体幹、関節の軸、動作の順序を整え、安全に体を動かす方法として紹介された。
- 若々しさを動きから支える→ 立ち方や歩き方、動作の滑らかさまで整えることが、健やかな印象につながる。
運動は健康や美容に良いとされる。しかし、走ればよい、筋肉を鍛えればよい、体を伸ばせばよいという単純な話ではない。ランニングで膝を痛める人がいる。ジムで腰や肩を痛める人がいる。姿勢が崩れたまま運動を続ければ、健康のための習慣が、かえって体への負担になることもある。武田氏は、気候が良くなると、マラソンで膝を痛める人が増えてくるとも述べた。
人は、自分が思っている通りに体を動かせているとは限らない。骨盤の傾き、膝の入り方、首や肩の力みといった癖に気づかないまま運動を続ければ、同じ部位に負担がかかり続ける。
膝が内側に入りやすい人がそのまま走れば、膝に負担が集中する。股関節がうまく使えない人が腰を反らせて動けば、腰痛につながることがある。肩や首に力が入りやすい人が筋力トレーニングを続ければ、鍛えているつもりで首や肩の緊張を強めてしまうこともある。痛みが出て治療を受けても、走り方や立ち方、鍛え方が変わらなければ、再び同じ場所を痛める可能性がある。
ここで重要になるのが、体の使い方だ。武田氏によると、ピラティスは、こうした体の使い方を見直す方法として位置づけられる。筋肉を大きくすることや、硬いところを伸ばすことだけを目的にするのではない。姿勢、呼吸、体幹、関節の軸、動作の順序を整え、体を安全に動かすための再学習に近い。
その背景にあるのが、「モーターコントロール」の考え方。モーターコントロールとは、脳、神経、筋肉、関節、感覚入力が協調し、姿勢や動作を調整する仕組みを指す。武田氏は「モタコン」という略語で表現していた。また、武田氏が関わる「モーターコントロール:ビヨンドピラティス(Motor Control: Beyond Pilates)」は、医療を基盤とするピラティス指導者養成コースで、考え方の普及にも努めているという。
美容内科が運動器を扱う意味は、単に運動量を増やすことではなく、体を壊さずに使い続けられる状態を作ることにある。肌や体型だけでなく、立ち方、歩き方、呼吸、動作の滑らかさまで含めて整えることが、年齢を重ねても健やかで若々しい印象を保つことにつながる。
参考文献
美容を体の外側だけでなく内側からも、実用化が進む「迷走神経デバイス」、首や耳から刺激する技術に注目、第26回日本抗加齢医学会総会で発表
https://biyouhifuko.com/news/japan/18454/
