肌の老化に関わるコラーゲンの変化は、見た目に変化が現れる前から始まっている可能性が示された。コラーゲンの量や形が保たれていても、その質は既に崩れ始めていた。
広島大学を中心とする日本、ドイツ、米国、英国の国際研究グループが2026年7月、報告した。
コラーゲンの「質」に着目

コラーゲンの質に着目。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 研究の着眼点→コラーゲンの量や線維の形だけでなく、分子のねじれや並び方といった「質」に注目した。
- 解析方法→成人3人の皮膚を使い、顕微鏡による観察と特殊な光による分子構造の解析を組み合わせた。
- 研究の特徴→同じ皮膚の同じ部分で、コラーゲンの見た目と分子レベルの状態を比較した。
美容医療の観点から今回の研究で注目されるのは、肌の状態はコラーゲンの「量」や「見た目」だけでは判断できないという点だ。
コラーゲンは、皮膚の内側にある真皮で網目状の線維を作り、肌のハリや強さを支えている。肌の老化が進むと、この線維が細くなったり、切れたり、減ったりする。これまでは、こうした変化を顕微鏡で観察し、コラーゲンの劣化を調べてきた。
では、コラーゲンの量や形が保たれていれば、健全な状態だと言えるのだろうか。今回の研究では、コラーゲンの量や形だけでなく、いわばコラーゲンの質にも注目した。
健康なコラーゲンでは、分子が一定の方向にねじれながら規則正しく並んでいる。研究グループは、この並びの乱れが、コラーゲンの量や形の変化より先に現れるかを調べた。
そこで、成人3人から採取した皮膚を使い、顕微鏡でコラーゲンの量や形を確認した。さらに特殊な光を使って、分子のねじれや並び方も調べた。これにより、同じ皮膚の同じ部分で、コラーゲンの見た目と分子の状態を比べた。
コラーゲンは量が減る前から「老化」

コラーゲンの劣化が肌の老化につながる?画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 初期の変化→コラーゲンの量や線維が保たれていても、分子の規則正しいねじれ構造は既に失われていた。
- 進行後の変化→老化が進むと、コラーゲン線維の断裂や減少、向きの変化などが確認された。
- 今後の可能性→見た目に変化が現れる前の組織の劣化を捉え、肌老化や傷の治り方の評価に応用できる可能性がある。
こうして調べた結果、コラーゲンの量が保たれ、線維も残っている組織でも、分子の規則正しいねじれ構造が既に失われていた。見た目には変化がなくても、内部の秩序は先に崩れ始めていた。
変化が進んだ段階では、コラーゲンの線維が切れたり、減ったり、向きが変わったりしていた。
研究グループは、この違いを本に例えて説明している。従来の顕微鏡が、本のページが破れたり、なくなったりした状態を見るものだとすれば、今回の方法は、ページが残っているうちに文字や文章の並びの乱れを見つけるようなものだ。
将来は、皮膚などの組織が大きく傷む前に、その状態を調べる技術につながる可能性がある。傷の治り方の確認などへの応用も考えられる。
今後、分子の並びの変化が実際の肌老化とどのように関係するのかが、さらに注目される
参考文献
Scientists detect invisible early signs of skin aging.
https://www.hiroshima-u.ac.jp/en/news/98717
Haider A, Kochi Y, Schulz AK, Aoyama K, Sada A, Sato H, Matsumoto E, Kadodwala M, Matsuo K, Inoue K. Correlative Multimodal Framework Reveals Supramolecular Chirality Loss Preceding Fibrillar Rarefaction in Dermal Collagen. ACS Nano. 2026 Jul 28;20(29):20747-20760. doi: 10.1021/acsnano.6c06602. PMID: 42458695.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42458695/
