「タウリン」が、老化した免疫細胞の除去を促す可能性が示された。
大正製薬が2026年7月に報告した。
年齢とともに体にたまる「老化細胞」

加齢に伴い、体内には炎症などに関わる「老化細胞」が蓄積することがある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 老化細胞は炎症に関与→ 年齢とともに体内へ蓄積し、周囲の正常な細胞や組織の働きを低下させる物質を出すことがある。
- 免疫細胞の老化に注目→ 体内の不要物を処理するマクロファージも老化し、炎症や免疫機能の低下に関わる可能性がある。
- タウリンの作用を実験→ 人工的に老化させたマクロファージへタウリンを加え、生存率や老化細胞の割合を調べた。
年齢を重ねると、細胞は加齢や生活習慣などによるストレスを受けて変化し、体内にたまっていくことがある。こうした細胞は「老化細胞」と呼ばれている。
老化細胞は、単に古くなった細胞というだけではない。周囲に炎症を引き起こす物質を出し、近くにある正常な細胞や組織の働きを低下させることがある。ヒフコNEWSでも扱っているが、老化細胞が炎症を引き起こす物質などを分泌する特徴は、SASPと呼ばれる。
そのため、老化細胞の蓄積は、加齢に伴う体調不良や、動脈硬化、糖尿病などの病気に関係すると考えられている。
これに対して、体内にたまった老化細胞を選んで取り除き、健康な状態を長く保とうとする研究が進んでいる。
今回、大正製薬が調べたのは、マクロファージと呼ばれる細胞だ。マクロファージは、細菌や体内の不要なものを取り込んで処理する、いわば体の「掃除役」を担う免疫細胞として知られる。
この細胞も年齢とともに働きが変化する。老化した免疫細胞が体内に残ると、炎症を長引かせたり、体を守る免疫の働きを低下させたりする可能性がある。
大正製薬は、こうした老化した細胞に対して、タウリンがどのように働くのかを調べた。
今回の実験では、研究室で育てたマクロファージに薬剤を使い、人工的に老化した状態を作った。その上でタウリンを加え、細胞の生存率がどのように変化するかを調べた。
さらに、細胞が老化していることを示すタンパク質「p21」を使い、老化したマクロファージが全体の中でどれくらいの割合を占めるかも確認した。
通常の細胞は変わらず、老化した細胞が減少

老化細胞は、周囲の細胞や組織に影響する物質を出し、加齢に伴う体の変化に関わると考えられている。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 通常の細胞には変化なし→ 老化させていないマクロファージでは、タウリンを加えても生存率に変化は見られなかった。
- 老化細胞は減少→ 老化させたマクロファージでは生存率が低下し、p21を作る細胞の割合も減った。
- ロンジェビティ研究に期待→ 老化した免疫細胞を選択的に減らせれば、慢性炎症の抑制や健康寿命の延伸につながる可能性がある。
実験の結果、老化させていない通常のマクロファージにタウリンを加えても、生存率に変化は見られなかった。
一方、老化させたマクロファージにタウリンを加えると、生存率が低下した。タウリンが通常の細胞には大きな影響を与えず、老化した細胞に働きかけた可能性が示された。
研究グループはさらに、老化したマクロファージの割合を調べた。
薬剤によって細胞を老化させると、p21を作り出す細胞の割合が増えた。しかし、そこにタウリンを加えると、その割合は低下した。
この結果から、大正製薬は、タウリンが老化したマクロファージの除去を促した可能性があると考えている。
老化した免疫細胞を減らすことができれば、体内で続く炎症を抑えたり、年齢とともに弱くなる免疫機能を保ったりすることにつながる可能性がある。
タウリンが、美容の分野でも注目される、健康寿命の延伸を目指すロンジェビティ研究で、どのような意味を持つのか引き続き注目される。
参考文献
大正製薬株式会社「タウリンが老化細胞の除去を促すことを発見~健康寿命の延伸へつながる可能性~」
https://www.taisho.co.jp/company/news/2026/20260728001150/
