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ニキビ痕のCO2レーザー後に起こる色素沈着、治療前からピーリングで予防できる? 6週間後のPIHが少なく、皮膚の回復日数はほぼ変わらず【ケミカルピーリングの論文を見る】

カレンダー2026.8.26 フォルダー最新研究

 ニキビ痕の治療で広く使われるフラクショナルCO2レーザー。その効果を保ちながら、ケミカルピーリングを組み合わせることで、治療後に起こる「炎症後色素沈着」を減らせる可能性が報告された。

 オーストラリアの研究グループが2025年に報告した。

CO2レーザーの弱点、どう防ぐか

鏡を見ながら頬のニキビ痕や肌の凹凸を確認する女性。

ニキビ痕の治療では、凹凸の改善と色素沈着リスクの両方を考える必要がある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • 炎症後色素沈着→フラクショナルCO2レーザーはニキビ痕に有効な一方、肌の色が濃い人ではPIHが起こりやすいことが課題となる。
  • 研究対象→重度のニキビ痕がある29人を、ピーリング併用群15人と非併用群14人に分けて比較した。
  • ピーリング方法→レーザーの15日前から複数成分を含むピーリングを使用し、施術後は皮膚の再生を確認して7日目から再開した。

 へこんだニキビ痕、いわゆる萎縮性瘢痕には、小さめに深く凹んだアイスピック型、広めに境界明瞭に凹んだボックスカー型、なだらかに凹んだローリング型などがあり、治療には皮膚の深い部分でコラーゲンの再構築を促す方法が用いられる。その手法の一つとしてフラクショナルCO2レーザーがある。

 CO2レーザーは皮膚に微細な熱損傷を加えることで、線維芽細胞の働きや新しいコラーゲンの産生を促し、凹凸の改善を目指す。ニキビ痕治療では有力な選択肢となる。

 一方でこの手法には大きな弱点がある。治療による炎症をきっかけとしてメラニン産生が活性化し、照射した部分が茶色く残る「炎症後色素沈着(PIH)」が起こるケースがあることだ。

 紫外線に対する皮膚反応で分類されるフィッツパトリック・スキンタイプIII~VI、とりわけ色素沈着を起こしやすい肌ではPIHが問題になりやすい。論文では、過去の研究でフィッツパトリック・スキンタイプIV以上ではCO2レーザー後のPIHが高頻度に生じたとの報告も紹介している。こうした背景から、十分な治療効果を得ようとすると熱負荷が増え、色素沈着のリスクとのバランスが課題になる。

 これまでにも、紫外線対策、レーザーの出力や照射密度の調整、冷却、ハイドロキノンなどの色素産生を抑える外用薬、ステロイド、トラネキサム酸など、さまざまなPIH対策が試されてきた。

 今回の研究グループは、ピーリングをレーザーの前後に使って、そもそもPIHを起こりにくくする効果について検証した。

 研究には17~45歳で、フィッツパトリック・スキンタイプIII~V、重度のニキビ痕を持つ30人が参加した。最終的には29人を解析し、15人がピーリングを使う群、14人がピーリングを使わない群となった。

 ピーリング群では、CO2レーザーの15日前からピーリング製品を使用し、レーザー前日は休止した。レーザー後は皮膚表面の再生を確認した上で、7日目から使用を再開し、その後4週間継続した。使用したのは「メラノプロ・ピール・システム(MelanoPro Peel System)」と呼ばれる製品で、アゼライン酸10%、トラネキサム酸2%、サリチル酸0.1%、グリコール酸3.5%、乳酸2.7%、レチノール0.25~0.3%、ナイアシンアミド5%などを組み合わせている。

 これらは単に角質をはがすだけではない。アゼライン酸やレチノールなどはメラニン産生に関わるチロシナーゼを抑え、トラネキサム酸は炎症に伴うメラニン産生経路に働きかける。ナイアシンアミドはメラノソームが表皮細胞へ受け渡される過程を抑えるとされる。複数の段階で色素沈着を抑える成分が含まれている。

6週間後の色素沈着は少なく

頬の肌に触れ、ニキビ痕や肌質を確認している男性の横顔。

CO2レーザー前後のピーリング併用により、6週間後の色素沈着が少なかったと報告された。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • 色素沈着→レーザー6週間後のPIHはピーリング併用群で少なく、PIHASIの中央値は0.0、非併用群では0.2だった。
  • 皮膚の回復→皮膚表面が再生するまでの日数はピーリング群6.4日、対照群6.2日で、ほぼ差がなかった。
  • ニキビ痕への効果→ニキビ痕の改善幅には両群で明確な差がなく、ピーリングは主にPIH予防に役立つ可能性が示された。

 結果を見ると、レーザーから6週間後の炎症後色素沈着は、ピーリングを併用した群で少なかった。

 研究では、色の濃さ、色むら、色素沈着の面積を組み合わせた「PIHASI」という指標を使って評価した。ピーリング群の中央値は0.0、ピーリングを使わなかった群では0.2だった。統計解析でも両群の差は有意で、研究者らは、ピーリングによってPIHの程度を抑えられた可能性があるとしている。ピーリング群では、6週間後に目立つ色素沈着が認められなかった人が多かった。

 一方で、ピーリング群でも皮膚の回復が明らかに遅れる傾向は見られなかった。皮膚表面が再生するまでの日数は、ピーリング群で平均6.4日、対照群で6.2日とほぼ同じだった。

 また、肝心のニキビ痕そのものの改善にも差はなかった。ニキビ痕の重症度は両群とも改善し、その改善幅はピーリング群で平均1.27、対照群で1.36となり、統計的な差は認められなかった。つまり今回の範囲では、ピーリングを追加してもCO2レーザーによるニキビ痕の改善に明確な差はなく、PIHを抑えられる可能性が示された。

 安全性については、ピーリング群の2人で皮むけやかゆみ、軽い不快感などの刺激症状が見られた。いずれもピーリングを4日間中止すると改善し、その後は徐々に再開できた。持続する赤みやアレルギー反応などは報告されなかった。

 対象者が少なく、この研究がピーリング製品を販売するDermalogicaから一部研究資金の提供を受けている点には留意が必要だが、「レーザーの後に色素沈着が出たら治療する」という考え方ではなく、「レーザーの前から肌を準備し、治療後も色素産生を抑える」という予防的な考え方が注目される可能性がある。

参考文献

Hang X, Lim DS. A Novel Peel to Prevent Post‐Inflammatory Hyperpigmentation After CO2 Resurfacing for Acne Scars. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025;24(8). doi:10.1111/jocd.70366.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12309148/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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