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市販のケミカルピーリング製品、自己判断での使用による皮膚障害に注意 18症例を分析 米国の研究グループが報告【ケミカルピーリングの論文を見る】

カレンダー2026.8.24 フォルダー最新研究
鏡を見ながら顔に赤いピーリング剤のような液体を塗る女性。

市販のケミカルピーリング製品を自己判断で使うと、皮膚障害につながる可能性がある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 ニキビや色素沈着、肌の質感などを改善する目的で行われるケミカルピーリングは、皮膚科などで広く行われる。一方、インターネットでは高濃度の酸を含むピーリング製品も一般向けに販売されており、専門家の監督を受けずに使用した結果、重い皮膚障害を生じるケースが示された。

 米国の研究グループが2025年11月に報告した。

高濃度の酸もオンラインで購入可能

スポイトから透明な美容液をガラス皿に落としている様子。

ピーリング剤などの美容成分は、濃度や使用方法によって肌への影響が大きく変わる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • 調査対象→FDAの有害事象報告やAmazonのレビュー、医学文献などを調べ、自己使用後に皮膚障害が起きた18例を特定した。
  • 高濃度製品→グリコール酸70%やTCA50~100%など、医療従事者が扱うような高濃度の製品も一般向けに流通していた。
  • 使用上のリスク→濃度や塗布時間、中和の有無などによって作用の深さが変わり、自己判断での使用は重い皮膚障害につながる可能性がある。

 ケミカルピーリングは、酸などの薬剤を皮膚に塗布して意図的に角層や表皮、場合によってはより深い組織に作用させ、その後の再生を利用して皮膚の状態を改善する治療。

 ピーリングの深さは、使われる成分だけでなく、濃度やpH、塗布時間などによって変化する。医療現場では、皮膚の色や治療部位、目的などを踏まえて薬剤を選び、施術前後のケアや塗布方法、合併症への対応まで含めて管理される。

 今回の研究で問題とされたのは、そうした専門的な管理を伴わない一般の人による自己使用だ。

 研究グループは2018年8月31日から2023年8月31日までを対象に、米国食品医薬品局(FDA)の有害事象報告システム、食品および化粧品に関する苦情データベース、論文データベース、Amazonの製品レビューを調査した。

 その結果、一般の人がケミカルピーリング製品を使用した後に発生した皮膚障害として18例を特定した。内訳はFDAへの報告が9例、Amazonの消費者レビューが6例、医学文献が3例だった。

 18例のうち12例は女性で、年齢が分かった11例では16~54歳、中央値は37歳だった。障害が最も多く起きた部位は顔で、10例だった。このほか、論文ではまぶた、首、足、臀部、腕、胸などへの使用例も報告されていた。

 使用された製品には、グリコール酸やトリクロロ酢酸(TCA)などが含まれていた。中にはグリコール酸70%、TCA50%、70%、75%、さらには100%と記載された製品もあった。

 研究者らは医療従事者が扱うような濃度の製品が一般消費者にも流通している点を問題として指摘している。

 グリコール酸30~70%を使った9例では、塗布時間が分かった4例で1~15分使用されていたが、中和操作を行ったとの記載はなかった。酸の種類によっては、同じ場所に繰り返し塗ったり、中和が不十分だったりすることで、皮膚のより深い部分まで影響する可能性がある。

低濃度なら安全とは限らず

小さな容器に入った液体と、ピーリング用の筆が置かれている様子。

ケミカルピーリングは、薬剤の種類や塗布方法、施術後のケアを含めた管理が重要となる。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • 報告された障害→化学熱傷や腫れ、痛み、水ぶくれ、色素沈着、傷跡などが確認され、手術が必要になった例もあった。
  • 専門治療→18例のうち半数では、救急診療や皮膚科、外科などで専門的な治療が必要となっていた。
  • 安全性への注意→浅いピーリングに分類される製品でも障害が起きており、ケミカルピーリングは専門家の監督下で行うことが重要。

 報告された皮膚障害には、化学熱傷、傷、腫れ、痛み、水ぶくれ、色素沈着、傷跡などが含まれていた。

 18例のうち、皮膚の浅い部分にとどまる障害だけではなく、深い層に及ぶ熱傷と評価された症例もあった。中には、目立つ傷跡が残った例、治癒しない傷が残った例や、患部を動かしにくい状態が続いた例、救急診療や熱傷センターを受診した例、手術が必要になった例も報告されていた。研究グループによると、18例のうち半数では救急診療や皮膚科、外科などでの専門的な診療が必要になっていた。

 注目されるのは、高濃度の製品だけで問題が起きていたわけではない点だ。今回集められた症例の55.6%は、一般に浅いピーリングに分類される製品に関連していた。研究者らは、有効成分の濃度が低ければ必ず軽症で済むとは限らないと指摘している。

 米国皮膚科学会は、皮膚科医の監督下で行われるケミカルピーリングについて、ニキビや日光角化症、肝斑、傷跡(瘢痕)などに対して一般に安全に行える治療としている。今回の研究で焦点となったのは、専門家による診察や指導を受けず、一般向けに販売された製品を自ら選び、自己判断で使用したケースだ。

 少数の報告ではあるものの、専門的な指導を受けずにケミカルピーリング製品を使用した場合に、重い皮膚障害につながることがあると知る上では参考になるだろう。

参考文献

Lardieri A, Reyes M, Konkel KE, Diak IL, McCulley L. Skin Injuries Following Layperson Application of Chemical Peel Products. J Clin Aesthet Dermatol. 2025 Nov;18(11):41-43. PMID: 41446714; PMCID: PMC12724979.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12724979/

FDA warns against purchasing or using chemical peel skin products without professional supervision. U.S. Food and Drug Administration. Updated July 30, 2024.
https://www.fda.gov/drugs/drug-alerts-and-statements/fda-warns-against-purchasing-or-using-chemical-peel-skin-products-without-professional-supervision?utm_source=chatgpt.com

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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