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酒さの赤み、IPLに「超分子サリチル酸」を加えると改善幅大きく 顔の左右で単独治療と比較、3カ月後の客観指標で差 中国研究【ケミカルピーリングの論文を見る】

カレンダー2026.8.25 フォルダー最新研究

 顔の赤みやほてりを特徴とする「酒さ」の治療で、光療法IPL(インテンス・パルス・ライト)に超分子サリチル酸(SSA)ピーリングを組み合わせることで、IPL単独よりも赤みを改善できる可能性が示された。

 中国の研究グループが2026年6月に発表した。

酒さの赤みをIPLとサリチル酸で治療

鏡を見ながら、赤みのある頬や額に触れて肌の状態を確認する女性。

酒さでは、顔の赤みやほてり、ヒリヒリ感などが続くことがある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 酒さは、顔の赤みや毛細血管の拡張、ほてりのほか、炎症が起きている赤く盛り上がった発疹(丘疹、きゅうしん)や膿のたまった発疹(膿疱、のうほう)などを伴う慢性炎症性の皮膚疾患。世界での有病率は約5.46%とされ、見た目の変化だけではなく、肌がヒリヒリしたり、乾燥したりする症状によって生活の質や心理面にも影響を及ぼす。

 治療には外用薬や内服薬、光治療などが用いられる。中でもIPLは、幅広い波長の光を照射し、血液中のヘモグロビンに光を吸収させることで拡張した血管に熱を加え、赤みや毛細血管拡張を改善する。一方で、炎症が起きている赤く盛り上がった発疹には限界があると考えられている。

 そこで研究グループが組み合わせたのが、超分子サリチル酸。通常のサリチル酸は抗炎症作用や角質を整える作用を持つ一方、刺激を生じることがある。超分子サリチル酸は、サリチル酸を他の物質と組み合わせ、通常のサリチル酸よりも刺激を抑えながら作用させるよう工夫された製剤だ。酒さでは皮膚バリア機能の低下も問題になる。そこで、血管を主な標的とするIPLと、炎症や角化、皮膚バリアに作用する超分子サリチル酸を組み合わせることで、相互に補完する効果が期待された。

 研究には、18~55歳で、主に赤みや毛細血管拡張を示すタイプ、または赤みのある盛り上がった発疹や膿のたまった発疹を伴うタイプの酒さと診断された36人が参加した。顔全体には4週間ごとに計3回のIPL治療を行い、無作為に選んだ顔の片側だけに、IPLの前に30%超分子サリチル酸を10分間塗布した。

 同じ患者の顔の一方を「IPL+超分子サリチル酸」、反対側を「IPLのみ」とすることで、個人差の影響を抑えながら治療効果を比較している。

 評価には、顔画像解析システム「VISIA(ヴィシア)」による赤みの面積や毛穴、肌の質感の測定に加え、専用機器による皮膚の赤みの程度を示す紅斑指数、水分量、皮膚から失われる水分量を示す経皮水分蒸散量が用いられた。さらに、医師による赤みの評価や、患者自身による赤み、かゆみ、ヒリヒリ感の評価も行った。

3カ月後の赤み改善は併用が上回る

頬に赤みが出た部分を指で確認する女性の横顔。

IPLと超分子サリチル酸の併用により、酒さの赤み改善が高まる可能性が報告された。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 36人のうち33人が12週間の試験を完了した。主要な評価項目となった赤みは両方の治療側で改善したが、治療を重ねるにつれて併用した側の改善が大きくなった。

 VISIAで測定した赤みのスコアは、3カ月後にIPL+超分子サリチル酸を併用した側で開始時から平均3.32ポイント低下したのに対し、IPL単独側では1.88ポイントの低下で、両者には統計学的に有意な差が認められた。

 別の測定機器による紅斑指数でも同じ傾向が確認され、3カ月後の低下幅は併用側で平均36.09、IPL単独側で25.88。毛穴や肌の質感も両側で改善傾向を示し、複数の評価時点で併用側の改善幅が大きかった。

 一方、医師が肉眼で判定する赤みの評価では、両側とも治療前より改善したものの、左右の治療法の間に統計学的な差は確認されなかった。患者自身が評価した顔の赤み、かゆみ、ヒリヒリ感についても治療後に改善した。経皮水分蒸散量も両側で低下し、低下幅には統計学的な差はなかった。

 このため、今回の併用治療は、特に客観的な赤みの指標でIPL単独治療を上回った。

 酒さでは皮膚バリアへの負担も重要だ。今回の試験では、皮膚の水分量は両側で増加し、3カ月後には併用側の増加幅がIPL単独側より大きかった。皮膚から失われる水分量を示す経皮水分蒸散量は両側で低下した。少なくとも今回の治療条件では、超分子サリチル酸を追加したことで皮膚バリアが悪化する傾向は示されなかった。

 治療後の有害事象は、併用側で6例、IPL単独側で3例に確認されたが、両者に統計学的な差はなかった。認められたのは一時的な赤みや乾燥、皮むけなどで、重い有害事象は報告されていない。ただし、研究では超分子サリチル酸使用中に一時的な刺激感や赤みが生じており、研究グループは治療後の十分な保湿や、皮膚の感受性に応じた接触時間の調整が重要だとしている。

 酒さには、炎症や血管、皮膚のバリア機能など、さまざまな問題が関係している。今回の研究では、IPLと超分子サリチル酸を組み合わせることで、より高い改善効果が期待できる可能性が示された。

参考文献

Wang M, Tan A, Zhuo F. Efficacy and Safety of Supramolecular Salicylic Acid Combined With Intense Pulsed Light for Rosacea: A Split-Face Trial. Journal of Cosmetic Dermatology. 2026;25(7):e71007.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jocd.71007

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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