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銅ペプチド「GHK-Cu」、コラーゲン産生やシワ改善に可能性 皮膚への届け方も課題 国際研究グループがその効果について報告

カレンダー2026.8.31 フォルダー最新研究
スポイトで透明な美容液を手のひらに落とす女性の手元。

美容液を手に取ってスキンケアを行う様子。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 スキンケア成分として知られる「ペプチド」の中でも、銅と結合した「GHK-Cu(銅ペプチド)」が、美容医療での再生作用をめぐって関心を集めている。

 アラブ首長国連邦(UAE)や米国などの研究グループが2026年8月、美容外科学誌で銅ペプチドの効果を検証した結果を報告した。

コラーゲン産生から抗炎症まで

洗面台の前でスポイト付き美容液を手に取り、スキンケアをする人の手元。

スポイト型美容液を使った日常のスキンケア。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • 銅ペプチドとは→GHK-Cuは、3つのアミノ酸からなるペプチドに銅が結びついた成分で、肌の再生との関係が研究されている。
  • 研究で分かったこと→細胞や動物の研究では、コラーゲン産生や血管形成、細胞増殖を促す作用などが報告されている。
  • 人での研究→シワの減少やレーザー治療後の満足度向上なども報告されているが、人を対象とした研究はまだ少ない。

 GHKは、「グリシン」「ヒスチジン」「リジン」という3つのアミノ酸からなる小さなペプチド。銅イオンと結合したものがGHK-Cuで、スキンケアのための製品として「銅ペプチド」と呼ばれることがある。

 GHKには細胞外マトリックスに関係する働きがあり、銅を細胞へ運ぶ「キャリアペプチド」としての性質も持つ。銅は結合組織を安定させる酵素などに関係するため、GHKと銅の組み合わせは皮膚の再生やエイジングケアとの関係から研究されてきた。

 研究グループは2026年3月までのデータベースを検索し、美容領域でGHK-Cuを扱った20件の研究を分析した。18件は細胞や動物を使った研究、2件はヒトを対象にした研究だった。

 細胞や動物を使った研究で比較的一貫して確認されていたのが、皮膚の土台となる細胞外マトリックスへの作用だ。GHK-CuはI型コラーゲンやグリコサミノグリカンの産生を促し、細胞外マトリックスの分解などに関係する酵素の働きを調節していた。また、血管新生や細胞増殖を促す作用も確認された。炎症との関係では、炎症などに関わる「TGF-β」や「IL-6」を抑える作用が報告されている。

 人を対象とした研究では、レーザーリサーフェシング後の満足度の改善や、対照群と比べたシワの体積と深さの有意な減少も報告された。

皮膚にどう届けるかが課題

青い背景の前に置かれたスポイト付きの美容液ボトルと、青い液体のしずく。

ペプチドなどを配合した美容液のイメージ。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

  • 皮膚に届きにくい→GHKは比較的小さな成分だが、水になじみやすく、皮膚のバリアを通り抜けにくい特徴がある。
  • 浸透させる工夫→成分を加工したり、マイクロニードルを組み合わせたりすることで、皮膚への浸透を高める方法が研究されている。
  • 今後の課題→美容への効果を示す報告はあるものの、使い方や効果、安全性についてはさらに臨床研究が必要。

 銅ペプチドをめぐっては、2024年にも、イランの研究者らから、過去の研究をまとめたレビューが報告されていた。

 ヒト皮膚の線維芽細胞をGHK-Cuにさらすと、コラーゲンやエラスチンなどの結合組織成分の産生が増えた研究などが紹介されている。

 20人を対象に1カ月間調べた研究では、プロコラーゲン産生の増加がGHK-Cuを使った参加者の70%で確認され、ビタミンCでは50%、レチノイン酸では40%だった。

 光老化のある女性41人を対象に目元へ12週間使用した研究では、シワの減少や皮膚の厚さ、密度の改善が報告されている。71人の女性を対象とした別の研究でも、12週間の使用後に皮膚の密度や厚さ、たるみ、小ジワ、シワの深さなどの改善が報告された。

 銅ペプチドをめぐって重要なのは、「生物学的な作用があるか」だけではなく、「皮膚の必要な場所まで十分に届くか」という点。

 皮膚の最も外側にある角層は、外から物質が入り込むのを防ぐバリアの役割を果たしている。GHKは比較的小さなペプチドだが、水になじみやすい性質があるため、皮膚のバリアを通り抜けにくいという課題がある。

 過去の比較研究では、人工皮膚を24時間で通過した割合は、GHKが2.53%だったのに対し、GHK-Cuでは3.86%、脂溶性を高めるためにパルミチン酸を結合させたPal-GHKでは4.61%だったと報告されている。

 パルミチン酸を結合させると脂になじみやすくなるため、皮膚への浸透性を高められる可能性がある。研究では、銅と結合したGHK-CuでもGHK単独より通過率が高かったが、Pal-GHKではさらに高かった。

 さらに、マイクロニードルとの組み合わせでも効果が報告されている。過去の実験では、処置していないヒト皮膚ではGHKや銅の透過が確認されなかったのに対し、マイクロニードルで微細な通り道を作った皮膚では透過が確認された。

 研究グループは、銅ペプチドには再生を促す成分として合理的な生物学的根拠があると評価する一方、研究方法のばらつきや、質の高い臨床試験の少なさを課題として挙げている。実際の美容医療でどこまで効果を発揮するのか、今後さらに検証する必要がある。

参考文献

Mokhtar J, Mohamad B, Haddad J, Said A, Menon A, Kreutz-Rodrigues L, Vyas KS, Cetrulo CL Jr, Lellouch AG. The Regenerative Potential of GHK-Cu in Aesthetic Medicine. Aesthet Surg J. 2026 Aug 20:sjag169. doi: 10.1093/asj/sjag169. Epub ahead of print. PMID: 42619529.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42619529/

Mortazavi SM, Mohammadi Vadoud SA, Moghimi HR. Topically applied GHK as an anti-wrinkle peptide: Advantages, problems and prospective. Bioimpacts. 2024 Apr 28;15:30071. doi: 10.34172/bi.30071. PMID: 39963574; PMCID: PMC11830136.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11830136/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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