
美容医療では、医師ではないスタッフによる説明や契約の進め方が問題になることがある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
高須クリニック統括院長で日本美容外科医師会会長の高須克弥氏が、同会の会報「日本美容外科医師会ニュース」9月30日号に掲載された寄稿の紙面をXに投稿し、美容医療におけるカウンセラーの関与について問題提起している。
タイトルは「業界最大の闇『直カウ』を根絶せよ!」。医師ではないカウンセラーが患者について医学的判断を行い、実質的に治療方針を決める行為を「直カウ」と表現し、強く批判している。
この問題を巡っては、厚生労働省が2025年8月15日に出した「美容医療に関する取扱いについて」で、無資格者による医学的判断が医師法に抵触する場合について、既に医師法上の考え方を示している。ヒフコNEWSでも2025年、この通知について伝えている。
高須氏は今回、その通知にも触れながら、問題が現在も残っているとの認識を示している。また、寄稿について「あらゆる媒体への無断転載・無断流用」を認めると明記しており、ここではその内容を引用しながら問題について伝える。
「今日なら割引」で高額な治療へ誘導

美容医療のカウンセリングでは、説明と医学的判断の境界が問われている。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 「直カウ」とは→高須克弥氏は、医師ではないカウンセラーが患者の状態を判断し、実質的に治療方針を決める行為を「直カウ」と表現して問題視している。
- 問題とされる流れ→安価な広告で来院した人に高額な治療や追加施術を勧め、「今日なら割引」などとして契約を促すケースがあるとの認識を示した。
- 厚労省の見解→無資格者が患者の状態に応じて治療法を判断、提案する行為は、その内容によって医師法違反になり得ると通知で示されている。
高須氏は冒頭、「直カウ」について、次のように定義している。
「直カウ」とは「医師ではなく、直接カウンセラーが診療方針を決めてしまう」行為である。
その上で、高須氏が問題視する美容クリニックでの流れを具体的に記している。
ある日、意を決して美容外科クリニックに行くと、小部屋に案内されてカウンセラーと名乗る女性が患者さんの悩みを聞き始める。それで終わりかと思いきや、お勧めの「スーパープレミアム手術」なるものを提示してくる。低料金の広告につられて来院したが、「あなたの皮膚の状態でその手術は無理」等と言って全く取り合わず、「それだけじゃバランスが悪くなるから他にもこの手術とあの手術もやりましょう」と言ってオプションやトッピングのオンパレード。そして目を剥くようなとんでもない金額が提示される。「今日手術すれば割引できる」「特別先生の手術が今日なら受けられる」
長時間にわたるカウンセリングの末に契約を求め、ローンやクレジットカードによる支払いにつなげるケースがあるとも述べる。
あーでもない、こーでもないと言って何時間でも小部屋に軟禁状態にしてしまう(中には小部屋に仕込んだモニターを別室にいる上司が確認しながらカウンセラーに常時指示を出す「ハイブリッド型」もある)。
カウンセラーもノルマと歩合に縛られているから必死である。
患者さんは長時間の束縛から解放されたくて、根負けしてつい契約してしまう。
もちろんそのような高額のお金を用意している人はいないからローンを組ませたり、クレジットカードを切らせて一丁あがり。
これらは、高須氏が美容医療業界について自身の見聞や認識を基に示した主張だ。具体的な医院名は挙げていないが、こうした仕組みが業界内に存在しているとの見方を示している。
こうした問題については、厚生労働省も2025年8月15日の通知「美容医療に関する取扱いについて」で法的な考え方を示している。通知は、2024年11月に取りまとめられた「美容医療の適切な実施に関する検討会」の報告書を踏まえたものだ。報告書では、患者がカウンセラーだけと相談して決めた治療内容を、そのまま医師が実施している事例などが指摘されていた。
厚労省は、カウンセラーなどの無資格者が、患者の状態に応じて治療法を判断したり提案したりすることは、その内容によって医師法違反になり得るとしている。
このほか高須氏は次のように述べている。
「カウンセラーがダメならコンシェルジュにしよう」という素晴らしい発想をする輩もいるが、もちろんアウトに決まっている。
「一般人に広く知ってもらわなくてはならない」

カウンセラーや受付スタッフが診察や施術を行う違法行為が行われている。(出炭/厚生労働省)
- 現在も残るとの指摘→高須氏は、厚労省が法的な考え方を示した後も、カウンセラーが治療方針に関与する仕組みが美容医療業界に残っているとの見方を示した。
- 背景にある分業制→医師が診察や治療の適応判断を行う前に、カウンセラーが契約や施術内容を決めるような診療体制そのものを問題として挙げている。
- 利用者への周知→高須氏は、無資格者による医学的判断の問題を一般の利用者にも広く知ってもらい、診療体制に疑問を持てるようにする必要があると訴えた。
高須氏は、2025年8月の厚労省通知で無資格者による医学的判断について法的な考え方が示された後も、「直カウ」はなくなっていないとの認識を示している。その背景にあると指摘するのが、美容クリニックの経営構造だ。
この「直カウ」が無くならないのは何故か?
それは様々なクリニックにおいてもこのシステムが経営の根幹であるからだ。
高須氏によると、医師自身がカウンセリングをすると、「これは必要ない」「適応外」などとして手術を減らすことがあり、そのためカウンセリングと手術を分ける「分業制」が広がったという。独立当初は医師自身がカウンセリングしていても、ほかの医師を雇うようになると、再び分業制に戻る場合があるとの見方を示している。
さらに「直美」と対比させ、問題の性質が異なると訴えている。
「直美」は少なくとも適法の範囲内での問題。しかし「直カウ」はグレーゾーンではなく完全な違法行為である。
ただし、個別の行為が実際に医師法違反に当たるかどうかは、それぞれの状況に応じた判断が必要になる。厚労省も2025年8月の通知で、犯罪の成否については捜査機関が収集した証拠に基づき、最終的には裁判所が判断すると付記している。
一方、通知は警察庁、消費者庁と協議した上で示したことを明記し、「犯罪の成否」や捜査機関、裁判所にまで言及している。行政上の法令解釈だけでなく、刑事手続きにも言及した内容となっている。
高須氏は、こうした問題を患者側にも知ってもらう必要があるとしている。
「直美」問題はマスコミが取り上げてくれたおかげで世に広く知れ渡った。違法行為である「直カウ」による被害者を無くすためには、患者さんとなる一般人に広く知ってもらわなくてはならない。「直カウ」をされても疑問を持たない患者さんが余りにも多い。
寄稿の最後では、文章の転載や流用について次のように記している。
よって、この私の寄稿文はマスコミ・ネット・SNSなど「あらゆる媒体への無断転載・無断流用」を許可する、というより大歓迎である。
皆様の総力を結集して「直カウ」問題を世間に知らしめ、「直カウ」を根絶させ業界を浄化し、正しい医療環境を創り上げていきましょう!
この寄稿文は あらゆる媒体への無断転載・無断流用大歓迎!
今回の問題提起は、美容医療の基本的な診療体制を改めて問い直すものとなる。
参考文献
「業界最大の闇『直カウ』を根絶せよ!」日本美容外科医師会ニュース
https://x.com/katsuyatakasu/status/2101932510657773722
美容医療の「無資格診断・施術」違法性を明確化、脱毛・アートメイク・HIFUなど具体事例を明示、厚労省が報告書の法的解釈を解説【連載・厚労省通知】
https://biyouhifuko.com/news/column/14499/
