
GLP-1薬で体重が減った後のこと。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
肥満症の治療薬が皮膚の病気を改善する可能性がある一方、脱毛などの望ましくない変化との関連も報告されている。
海外の研究グループが、GLP-1受容体作動薬をはじめとしたGLP-1関連薬(以下、GLP-1薬)の皮膚への影響について、これまでの研究を分析した論文を2026年10月8日、皮膚科学誌に発表した。
乾癬が改善する可能性

乾癬の症状。顔に表れると美容面の影響が大きい。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 研究内容→2026年4月までの研究を分析し、GLP-1関連薬の皮膚への好ましい影響と望ましくない影響を検証。
- 皮膚の病気への効果→乾癬では皮膚症状の改善、化膿性汗腺炎では症状や痛みの軽減が報告されている。
- 効果の仕組み→薬の直接的な作用なのか、体重減少や代謝の改善によるものなのかは不明。
GLP-1薬は、血糖値や食欲を調節するホルモンの働きを利用した薬。糖尿病や肥満症の治療に使われている。チルゼパチド(商品名マンジャロ、ゼップバウンド)は、GLP-1とGIPという2種類のホルモンの働きを利用した薬だ。
これらの薬は体重を減らすだけでなく、体内の炎症にも影響する可能性があり、皮膚の病気との関係が注目されている。
今回の研究では、2026年4月までに発表された関連論文を調査し、皮膚への好ましい影響と望ましくない影響を整理した。
良い影響として注目されたのが、皮膚に赤みや厚い鱗屑(りんせつ、皮膚の表面から剥がれ落ちる角質)が生じる「乾癬(かんせん)」だ。複数の研究で、GLP-1関連薬の使用に伴って症状が改善したと報告されていた。
また、皮膚に痛みを伴うしこりや膿が繰り返し生じる「化膿性汗腺炎」でも、症状や痛みの軽減が報告されている。
ただし、これらの効果が薬の直接的な作用なのか、体重減少や代謝の改善によるものなのかは、まだ明らかになっていない。
「オゼンピック顔」はどう考える?

GLP-1薬の関心は高い。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 脱毛との関係→急激な減量や栄養不足に伴う休止期脱毛が考えられるが、薬が直接毛根に悪影響を及ぼす根拠はない。
- オゼンピック顔→顔のやつれは主に脂肪の減少によると考えられ、薬が直接肌の老化を進める根拠は乏しい。
- 美容医療への影響→ヒアルロン酸フィラーやボツリヌス注射の効果にGLP-1関連薬が影響するという見方を裏付ける研究は乏しい。
一方、皮膚や毛髪に関する望ましくない変化として、繰り返し報告されているのが脱毛だ。
ヒフコNEWSでも伝えてきたが、急激な体重減少などをきっかけに生じる「休止期脱毛」が関係していると考えられている。食事量の減少によるタンパク質や鉄、亜鉛などの不足が関係している可能性があり、薬が直接毛根に悪影響を及ぼすことは証明されていない。
このほか、注射した部位の赤みやかゆみなども報告されている。
美容面で話題になっているのが、急な減量によって顔がやつれ、老けて見える「オゼンピック顔」。
研究グループは、こうした変化について、顔の脂肪の減少によって説明できると指摘する。一方、薬そのものが直接肌の老化を進めるという科学的な根拠は乏しいという。
GLP-1関連薬がヒアルロン酸フィラーやボツリヌス注射などの効果に影響するという見方もあるが、裏付ける研究はまだ乏しい。
肥満症治療薬の使用が広がる中で、皮膚や毛髪への影響も今後さらに明らかになると考えられる。
参考文献
Guerrero-López, Sebastián, Cataño-Restrepo, Sara, Pérez-Lalinde, Sofía, Chaparro-Reyes, Daniela, Dermatology in the Age of Obesity: The Good, the Bad, and the Ugly of GLP-1 Receptor Agonists and Tirzepatide, Dermatologic Therapy, 2026, 5742100, 10 pages, 2026.
https://doi.org/10.1155/dth/5742100
GLP-1系薬で減量した人、皮膚と毛髪でそれぞれ約4割が変化を報告 顔のボリューム減少や抜け毛、米国の504人を対象とした調査
https://biyouhifuko.com/news/research/19402/
