
鏡を見ながら肌の状態を確認する女性。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
肌の老化に関わる細胞内の働きを抑えることで、肌のハリやシワを改善できる可能性が報告された。
米国の研究グループが2026年10月、美容皮膚科学誌で発表した。
肌の老化に関わる「mTORC1」、働きを抑える成分に着目

肌の老化はどのように?画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- mTORC1→細胞の成長や修復を調節する仕組み。過剰な働きが続くと、細胞内の不要な物質の分解が妨げられ、老化につながる可能性。
- 新成分「RLX-201」→mTORC1の働きを抑えるよう設計された成分。肌のハリや弾力の低下に関わる仕組みへの作用に着目。
- 臨床試験→35~65歳の女性47人を対象に、RLX-201配合美容液と非配合美容液を比較。1日2回、12週間使用し、肌の状態を評価。
今回の研究で注目されたのは、細胞内に存在する「mTORC1(エムトールシーワン)」という仕組みだ。
mTORC1は、細胞の成長や修復などを調節する働きを持つ。一方、その働きが過剰な状態で続くと、細胞内の不要な物質を分解・再利用する「オートファジー」が妨げられ、老化につながる可能性が指摘されている。
皮膚でも、mTORC1の働きが、コラーゲンやエラスチンの変化、肌のハリや弾力の低下に関係していると考えられている。研究グループは、このmTORC1の働きを抑えるよう設計された新成分「RLX-201」に着目した。
試験には、紫外線などの影響による肌の老化「光老化」の程度が中等度から重度の女性47人が参加した。年齢は35~65歳だった。
参加者を、RLX-201を配合した美容液を使用するグループと、同成分を含まない美容液を使用するグループに無作為に分け、1日2回、12週間にわたって顔全体に塗ってもらった。
参加者も評価する医師も、どちらの製剤を使用しているか分からない方法で試験を実施した。皮膚科医による肌のハリやシワ、たるみ、キメなどの評価に加え、専用機器で肌の弾力も調べた。
12週間で肌のハリやシワが改善

スキン・ロンジェビティへの関心が高まっている。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 肌の改善→RLX-201配合美容液の使用12週間後、開始時と比べて肌のハリと頬のシワがそれぞれ21%、肌のキメが40%改善。
- 細胞レベルの変化→立体的な皮膚モデルで、mTORC1の働きに関連する指標が平均91.7%減少。参加者の86%も肌の改善を実感。
- 研究の限界→有害事象の報告はなかったが、対象は47人、期間は12週間。皮膚の老化そのものを遅らせる効果は未確認。
試験の結果、RLX-201を配合した美容液を使用したグループでは、肌のハリやシワなどに改善が見られた。
肌のハリについては、使用開始2週間後に、RLX-201を含まない美容液を使用したグループと比べて有意な改善が確認された。12週間後には、研究開始時と比べて肌のハリと頬のシワの評価がそれぞれ21%改善し、肌のキメも40%改善した。
参加者自身による評価でも、86%が肌のうるおいや輝き、キメの改善を実感したと回答した。
さらに、人の細胞から作った立体的な皮膚モデルでRLX-201の作用を調べたところ、mTORC1の働きを反映する指標が平均91.7%減少した。
こうした結果から、RLX-201が細胞の老化に関係する仕組みに作用する可能性が示された。
今回の試験では有害事象は報告されなかったが、対象者は47人と少なく、試験期間も12週間に限られる。また、肌の状態は改善したものの、実際に皮膚の老化そのものが遅くなるかは分かっていない。なお、研究グループには、成分を含んだ美容液のメーカーの研究者が参加している。
肌の健康を長く維持する「スキン・ロンジェビティ」への関心が高まっている中で、こうした美容液の開発競争は一層活発になると見られる。今後、肌の老化を防ぐという発想はより一般化する可能性がある。
参考文献
Draelos ZD, et al. A Novel TORC1 Inhibitor, RLX-201, Improves Skin Health, Biomechanics, and Extracellular Matrix Integrity in a Double-Blind Clinical Study. Journal of Cosmetic Dermatology. 2026;25(10). Published October 7, 2026.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jocd.71219
