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コロナ流行時、フィラー治療後の急性炎症反応が増える?日本の研究が明らかに

カレンダー2023.8.4 フォルダー最新研究

ポイント

  • 日本の研究グループは、コロナ流行期間、顔のフィラー治療で急性炎症反応が増える傾向を確認
  • 調査の結果、急性炎症反応の発生率は、流行前の0.01%から流行時には1.18%に上昇していた
  • 症状は1週間以内に消失し、研究者は生活の変化やストレス、不顕性感染などを一因と考えた
コロナ流行とフィラー治療の副作用に関連?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

コロナ流行とフィラー治療の副作用に関連?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 コロナの流行の時期、顔のフィラー治療後に急性炎症反応を起こすケースが増える可能性があるようだ。日本の研究グループが2023年5月に研究結果を報告している。

※急性炎症反応は、短時間のうちに皮膚が赤くなったり、腫れたり、痛みが出たりする体の免疫反応のこと。

コロナの流行前後で「急性炎症反応」を比較

フィラー治療は人気。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

フィラー治療は人気。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 顔のフィラー治療は、ヒアルロン酸やコラーゲンを皮下に注入することで、顔のシワを目立たなくする治療法。手術をせずに短時間で効果が得られるため人気を集めている。ただし、注入後に副作用が出る可能性もあるので注意も必要となる。

 このたび日本の麻布ビューティクリニックを中心とした研究グループが、コロナ流行期にフィラー治療後の急性炎症反応が増えている傾向を確認。その実態を調べるために、コロナ流行前の2008年9月から2020年4月までの期間、またコロナ流行後の2020年5月から2021年6月にかけての期間で、フィラー治療後の急性炎症反応の発生率がどのように変わったのかを医療記録に基づいて検討した。

症状が現れる頻度が高まっていた

フィラー治療後の急性炎症反応が増える可能性。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

フィラー治療後の急性炎症反応が増える可能性。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 こうして判明したのは、コロナ流行期に、フィラー治療後の急性炎症反応が増加することである。具体的には、発生率がコロナ流行前の期間は0.01%だったのに対して、コロナ流行期間には1.18%になっていた

 症状を経験した人たちの年齢は40~57歳で、それぞれ顔や首にヒアルロン酸やコラーゲンのフィラー治療を受けていた。症状はフィラー注入した2~3時間後、あるいは翌朝に発生。全員が1週間以内に完治して後遺症はなかった。

 研究グループは、コロナ流行期間には、家庭内や個人の衛生状態が変化して人々の免疫系が変化したことや、長期間のストレスレベルの上昇、コロナの不顕性感染などが関連している可能性を指摘した。

 最近再びコロナの感染が増えていると報じられることもある。フィラー治療を受けるときには治療後の変化に注意しておくとよさそうだ。

参考文献

Kato K, Inoue E, Tanaka S, Kawamoto H. Increase in the incidence of acute inflammatory reactions to injectable fillers during COVID-19 era. J Cosmet Dermatol. 2022 May;21(5):1816-1821. doi: 10.1111/jocd.14886. Epub 2022 Mar 12. PMID: 35218285; PMCID: PMC9115292.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35218285/

美容医療診療指針(令和3年度改訂版)
https://jsprs.or.jp/member/committee/wp-content/uploads/2022/10/31_biy_kai_2.pdf

ヒアルロン酸などフィラー治療のトラブル防ぐ秘訣とは?第111回日本美容外科学会でシンポジウム
https://biyouhifuko.com/news/japan/1370/

専門医のアドバイス!米国皮膚科学会認定皮膚科医が教える、顔のシワのフィラー治療でより良い結果を得るための5つのヒント
https://biyouhifuko.com/news/world/449/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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