美容医療の現場に立つ男性看護師に集まってもらい、座談会を開催。女性看護師とは違った視点もあり、美容医療を検討するときのヒントにもなるかもしれない。最後の第8回は、美容医療現場でのお客様とのエピソードやSNS投稿の注意点について。
──お客さまから言われて印象深かったこと。
髙橋氏: 感謝していただけるのは、一番嬉しいことなんですけども、施術後に「自信が持てました」「彼氏、彼女ができました」「前向きになりました」など、人生において少しでも「プラスになった」というお話を伺うと、「嬉しいな」と感じます。
特に年齢を重ねて、自信が持てなくなったり生きがいがなくなったり、気持ちが下降気味になっている中で、美容施術を行ったことで自信を持つことができて、以前より前向きに笑顔で来ていただく姿を見ると、すごく励みになります。
──人生で、そういう場面に自分が携われる場面は少ない。それは嬉しい。
こうじ氏: 自分も同感です。お客様の感謝の言葉や「自信が持てた」と言ってもらえることが本当に嬉しいですし、「やって良かったな」と思います。
「また来たいです」「また会いたいです」と言ってくださるお客さまも多く、うちのクリニックでは来院してくださるお客さまに「お久しぶりです」という声掛けから入ることが多いです。ほぼリピーターで予約が一杯になっていきます。「また来ますね」と言っていただけると、「信頼関係が築けているな」と感じ、やりがいにつながっています。
──日頃の手技レベルの向上など、努力があるからこそ。こばさんはいかがでしょうか。
こば氏: たとえば、「彼氏ができた」「結婚した」ということは良くあるんですが、美容治療を施し、結果を計ることは難しいと思うんですよね。鏡の前の自分と向き合って「可愛くなった」だけじゃ物足りない。
「いいことが得られた」、それが顕著なのは水商売だと思っています。
──売り上げに直結した?
こば氏: そうです。肌がキレイになったり、鼻が気にならなくなったり、可愛い顔になることで売り上げが良くなり、数字に表れます。
私の担当していたお客さまは、最初新人のときに「肌が汚くて」と来てくださって、1年経ったら主任になりました。
女の子も「肌をキレイにして、顔を可愛くして売り上げを良くしたい」と思っているので、店内での順位が上がって、「ナンバー入ったよ」とか「バースデーを盛大にやるんだよ」ということを聞くと、「やって良かった」と思います。結果が数字として伴っているので、分かりやすいです。
美容は、水商売とは関係が切っても切り離せないと思っています。クリニックの場所が新宿ということもあり、そういうお客さまは多いです。
──可愛くなり、自信がつくと数字にあらわれる。ダイレクトに分かる世界。
最後、美容医療ついて気になることなどお伝えいただきたい。
髙橋氏: アンチエイジングっていう言葉があまり好きではないんです。年齢を重ねることは決して悪いわけではないですよね。僕の考え方は、ウェルエイジングなんです。
無理をするということではなく、年齢を重ねて、少しでも年齢と向き合いながら、美容医療を支えにして前向きに生きていただけるといいなと思います。
──50歳で「20歳になりたい」ということには無理がある。年相応で、「でもちょっと若いな」「はつらつとしていて素敵だな」ということのほうが自然で見ていて気持ちがいい。
こうじさんは最後、お伝えしたいことは?
こうじ氏: 美容のドクター、看護師の多くの方がSNSを利用されていて、自分もSNSは積極的に投稿しています。
ただ、注意してもらいたいのは、SNSでは良いことしか言わないクリニックが多いこと。
こばさんのSNSは健全で「こういうのは良くないよ」ということも発信されていますが、そういう方は少ない。そのあたりをご理解の上、しっかりとリサーチしてから行ってほしい。
あと、理想は、看護師さんはみんな一緒だと思うのではなく、「この看護師さんのところがいい」「この人だから施術を受けたい」と、看護師さんで選んでくれる時代になってくれたらいいな、と思います。
看護師同士、協力して技術を高め合っていますので、絶賛、腕に覚えのある看護師さん募集中です。
──ちなみに指名制度はあるか。
こば氏: あります。
こうじ氏: うちはないんですが、これから入れたいです。
髙橋氏: うちもないです。
こば氏: 美容医療はエステではないので、綺麗にならなければ、お金をかける意味も、痛い思いをする意味もありません。結果が命です。
「キレイになりたい」と思ったら、きちんとしたところで適切な施術を受けてほしいです。
皮膚は一生の服ですし、皮膚科って付き合いが長くなるんです。回数を掛けないと効果が分かりづらいときもある。近道をする努力はさせてもらうんですが、皮膚科で皮膚の治療を考えたら、「一回で良くなる」とは思わずに、ある程度の予算と長い年月、半年から1年は見ていただきたいです。
美容治療、手頃になってきていますけど、本当に良くするには時間がかかるんです。流行り廃りにとらわれず、ぜひ、リテラシーの高い皮膚科を選んで通ってほしいです。
──長々とありがとうございました。