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アンチエイジングの学会で美容医療への関心高まる シミ、レーザー、非外科的治療、フェイスリフトを老化治療として議論 第26回日本抗加齢医学会総会で講演

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第26回日本抗加齢医学会総会の会場となったパシフィコ横浜ノース。(写真/編集部)

第26回日本抗加齢医学会総会の会場となったパシフィコ横浜ノース。(写真/編集部)

 美容医療で扱われるテーマは、抗加齢医学の視点からも注目が高まっている。

 第26回日本抗加齢医学会総会のシンポジウム「老化のメカニズムと治療戦略」では、老人性色素斑、レーザー治療、非外科的治療、次世代フェイスリフトをテーマにした講演が行われた。会場は席をほぼ埋めるほど人が集まった。

シミとレーザーは、光老化をどう見るかというテーマに

レーザー施術。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

レーザー施術。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • シミを老化全体から考える→ 老人性色素斑は、メラニンだけでなく炎症や皮膚老化を含めて捉える重要性が示された。
  • レーザーは治療戦略が重要→ 波長やエネルギー、照射条件を皮膚の状態に合わせて選ぶことが求められる。
  • 光老化への理解が鍵→ 光の作用を理解し、色素や皮膚の状態に応じて使い分ける考え方が紹介された。

 日本医科大学医学部皮膚科学名誉教授の船坂陽子氏の講演では、老人性色素斑のメカニズムと治療戦略が取り上げられた。

 シミはメラニンの蓄積として理解されやすいが、その背景には紫外線による皮膚変化、炎症、周囲の皮膚の状態など、複数の要素が関わる。

 特に重要になるのが炎症とメラノサイトの働きだ。炎症を伴う皮膚では、メラニンを作るメラノサイトが刺激を受けやすく、レーザーやピーリングなどによって色素沈着が悪化したり、再燃したりする可能性がある。

 メラノサイトは、周囲の細胞に向かって細い枝のような突起を伸ばす。この突起は「樹状突起」と呼ばれ、作られたメラニンを周囲の皮膚細胞へ渡す通り道になる。樹状突起が発達すると、色素が周囲へ広がりやすくなり、見えているシミの周囲にも変化が及ぶことがある。

 船坂氏は、こうした仕組みを踏まえた治療が重要だと解説した。単に色を薄くするのではなく、炎症、メラノサイトの働き、皮膚老化を見極めながら、治療戦略を立てる視点が求められる。

 東海大学医学部外科学系形成外科主任教授の河野太郎氏は、レーザーによる光老化治療戦略について解説した。レーザー治療は、シミや色素性病変を薄くする治療として知られるが、その背景には光が皮膚の中で何に吸収され、どのような作用を起こすかという仕組みがある。

 レーザーの主なターゲットになるのは、メラニン、ヘモグロビン、水だ。それぞれ吸収しやすい波長が異なり、熱を発生させる作用や、急激な圧力変化によって対象を壊す作用を使い分ける。脱毛では熱の作用を利用し、ピコ秒レーザーでは短い時間で強いエネルギーを与え、主に機械的な作用で色素を細かく壊す。

 河野氏は以前、ヒフコNEWSの取材でも、刺青除去を例に、色素や肌質、部位などに応じてレーザーを選ぶ重要性を語っていた。新しい機器を使えば何でも解決するわけではなく、対象に合わせた判断が欠かせないという視点だ。

 光老化に対するレーザー治療でも同様な考え方が求められる。老人性色素斑、ADM、肝斑などでは、色素の深さや皮膚の反応が異なる。単位面積あたりの照射エネルギーであるフルエンス、スポットサイズ、波長、照射条件をどう組み合わせるかによって、効果もリスクも変わる。レーザー治療は、色素を壊すだけではなく、光の性質を理解し、皮膚の状態に合わせてエネルギーを届ける治療戦略と考えられる。

日本的な美を生かす、自然な美容医療へ

第26回日本抗加齢医学会総会の会場となったパシフィコ横浜ノース。(写真/編集部)

第26回日本抗加齢医学会総会の会場となったパシフィコ横浜ノース。(写真/編集部)

  • 自然な若返りを重視→ 顔全体のバランスを見ながら、その人らしさを生かす美容医療が紹介された。
  • 筋肉にも着目→ フェイスリフトでは、皮膚だけでなく表情筋の緊張を整える新しい考え方が示された。
  • 長期的な治療設計→ 非外科的治療と手術を含め、自然な見た目を維持する戦略の重要性が語られた。

 自由が丘クリニック(東京都目黒区)理事長の古山登隆氏の講演では、形態学的な加齢現象に対する非外科的治療の考え方が紹介された。

 顔の老化は、皮膚だけでなく、骨、脂肪、筋肉、支持組織などの変化が重なって生じる。そのため、注入、ボツリヌス治療、スレッド、機器治療などを単独で考えるのではなく、顔全体の変化を見ながら組み合わせる視点が重要になる。

 古山氏の考え方で特徴的なのは、日本的な美の捉え方だ。大きく変化させて若く見せるのではなく、手を加えていても自然に見える状態を目指す。過剰に足すのではなく、必要な部分を適切に整え、その人らしさを保つ。盆栽や日本庭園のように、細かく手入れをしながらも、全体としては調和して見える美しさに近い。

 美容医療では、分かりやすい変化が求められることもある。一方で、日本では「いかにも治療した」という印象を避け、自然な若返りを望む人も多い。古山氏の講演は、そうした価値観を踏まえ、顔全体のバランスを見ながら、長期的に自然な印象を保つ治療設計の重要性を示したものといえる。

 クリニック宇津木流(東京都千代田区)院長の宇津木龍一氏の講演では、次世代フェイスリフトとして、表情筋に着目した若返りの考え方が示された。

 従来のフェイスリフトは、たるんだ皮膚や組織を引き上げる手術として知られる。一方、宇津木氏は、顔の老化を皮膚だけでなく、表情筋の動きや緊張との関係から捉えている。

 その考え方を理解しやすい例がボツリヌス療法だ。ボツリヌス療法では、表情筋の働きを一時的に弱めることで、シワを目立ちにくくする。宇津木氏のフェイスリフトは、この発想を手術に応用する。慢性的に縮んだり、硬くなったりした表情筋の一部を外科的に切って緊張を解除したり、場合によっては切除したりして、シワにつながる筋肉の動きを弱める。

 皮膚は、下にある筋肉の動きの影響を受ける。表情筋が同じ方向に皮膚を引き続けると、シワや質感の変化が固定されやすい。そこで、筋肉の過剰な引き込みを外科的に減らし、皮膚への負担を軽くする。単に皮膚を引っ張るのではなく、シワやたるみを生む力そのものに働きかける考え方だ。

 この手術は高度な技術を要するため、技術継承も課題になる。チームとして受け継ぐ仕組みの重要性も語られていた。

参考文献

やってはいけない、タトゥーの白い色素のレーザー除去──刺青レーザー除去の進化と課題とは、東海大学形成外科教授の河野太郎氏に聞く
https://biyouhifuko.com/news/interview/6208/

「BONSAI」の美学で美容医療のプランニングを洗練、HIFUやレーザー治療も進化、古山登隆氏、宮田成章氏、河野太郎氏が登壇
https://biyouhifuko.com/news/japan/7749/

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ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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