ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

コロナ禍の影響で続く矯正歯科の経営破たん、大阪の医院が破産手続き

カレンダー2024.1.13 フォルダー 国内

ポイント

  • 大阪の矯正歯科が経営破たんしたことが明らかとなった
  • 23年以降、矯正歯科の経営破たんが続いている
  • 利益が減る傾向がある中、コロナ禍の影響を大きく受けている
倒産。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

倒産。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 矯正歯科の経営破たんが続いている。このたび大阪にあるハートフル歯科・矯正歯科を運営していた医療法人が破産手続きを開始した。東京商工リサーチが2024年1月11日に伝えたものだ。

コロナ禍に赤字が広がる

歯科。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

歯科。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 この医療法人は医療法人TS会で、公開されている情報によると、2014年に設立されている。東京商工リサーチによれば、大阪で600件以上の矯正歯科の実績があったが、競争が激しくなったことに加え、コロナ禍の影響を受けたために赤字が広がっていた。22年8月期は9320万円の赤字で、負債総額は3億3357万円だったという。

 矯正歯科をめぐっては、昨年から経営破たんが続いていた。

 23年9月に「東京プラス歯科矯正歯科」を全国展開していた医療法人、さらに10月には東京都新宿区のあーすマウスピース矯正Lab新宿本院が経営破たんしていた。

 また、12月には、実質無料でモニターを集めていたものの、金銭トラブルを起こし、医院の治療も中断していた歯科医院が経営破たんしていた。

利益が少ないとされるマウスピース矯正

歯の治療。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

歯の治療。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 今回のTS会がマウスピース矯正にどれほど力を入れていたかは不明だが、一般的に矯正歯科は、マウスピース矯正が人気となっている。このタイプの矯正はコストが高く、医院の利益が少ないとされる。一方で、マウスピース矯正を展開する医療機関が増え、同業者が増えている。コロナ禍もあって来院者も増えづらくなっていた中で、経営状況が悪い医院が増えていると考えられる。

 矯正歯科に関連して、厚生労働省は「補綴歯科」の専門を広告可能にするという動きもある。これによって、医院はより患者を集めやすくなると考えられる。ただし、競争の激しさはとどまりそうになく、矯正歯科の経営が不安定な状況は続く可能性がある。

 美容医療分野では、最近脱毛店舗の閉鎖が大きく注目されていたが、矯正歯科も受診時には慎重な検討が必要であるのかもしれない。

参考文献

(医)TS会(東京商工リサーチ、TSR速報)
https://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/detail/1198271_1521.html

「補綴歯科専門医」が広告可能に、厚生労働省が医療広告ガイドラインを一部改正
https://biyouhifuko.com/news/japan/3759/

全国展開の「東京プラス歯科矯正歯科」、医療法人が民事再生法申請、経営行き詰まりはなぜか?
https://biyouhifuko.com/news/japan/3598/

東京の矯正歯科が破産の申し立てへ、歯科医師の逮捕で混乱、マウスピース矯正で路頭に迷う人々が発生
https://biyouhifuko.com/news/japan/4022/

歯科矯正で集団訴訟を起こされた会社が破産、「実質無料」うたいトラブル、割安モニター勧誘の問題は美容医療でも
https://biyouhifuko.com/news/japan/4835/

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。